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リアクション
■□■7■□■ ハイナとアメリカンな文化
ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)の前に、
黒の和風ゴスロリ姿の真城 桜紀(ましろ・さき)と、
吸血鬼の仮装のアンドリュー・トランブル(あんどりゅー・とらんぶる)が現れる。
「あっ、ハイナさん!
一緒にパーティー回ろう!」
「葦原明倫館の生徒に会えるとは、わっちもうれしいでありんす」
桜紀に言われて、ハイナも笑顔になる。
「ヒャッハー! イルミンスール武術師範代マイト参上!」
そこに、孫悟空の姿のマイト・オーバーウェルム(まいと・おーばーうぇるむ)が現れた。
「おお、英語が話せるでありんすか?」
アメリカ出身のマイトは、数少ないアメリカ出身の人と共にハロウィンを過ごしたいと、
ハイナに白羽の矢を立てたのだった。
「明倫館のお奉行! 黙って俺についてこい! ヒャッハー!」
英語で言うと、マイトは、ナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)達が盛り上げている
音楽に合わせて、ハイナをダンスに誘おうとする。
強引にバーストダッシュでお姫様抱っこして連れて行こうとするマイトだが、
「これ、毒見してみなんせ」
ハイナが、笑顔で、何かの塊をマイトの口に放り込む。
「ヒャ、ヒャッハー!?」
マイトは口に入れられたお菓子のすさまじい味にぶっ倒れ、ハイナの胸に沈む。
「お、おっぱいは目のやり場に困るから隠してほしいんだぜ……ヒャッハー……」
マイトは、鼻血を噴きながら気絶した。
「え、なんでアンドリューのモザイクお菓子がまぎれこんでたの!?」
「さっき、テーブルの上に置いておきましたけど」
「えーっ!? アンドリューは料理壊滅的なんだから、そんなことしちゃダメじゃない!」
「そ、そうだったんですか!?」
説教を始める桜紀と、初めて自分の料理の腕について知ってショックを受けるアンドリューだが、
ふと気づいて言う。
「マイトさんが食べたお菓子、俺が作ったのとは別のも混じってましたよ」
「え!? じゃあ、あの危険物はいったい誰が……」
桜紀は周囲を見回す。
★☆★
話は少し前後する。
クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)は、
パートナーの島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)と一緒に、初めてのお菓子作りに挑戦していた。
(この際、思い切って告白しちゃいましょうか?)
クレーメックに密かに恋しているヴァルナは、そんな乙女な妄想を繰り広げていたのだが。
「むむ……これはどういうことだ? きちんとマニュアル通りに作っているはず……」
甘いものは大の苦手のため、お菓子作りは生まれて初めてのクレーメックは、
ミスを連発して、黒焦げの有機物を量産していた。
「まあ、なんて美味しそうなチョコクッキー。さすがですわ、ジーベックさま……」
見た目だけはチョコクッキーに見えたため、ヴァルナはクレーメックのお菓子を口に入れ、
次の瞬間、昏倒した。
「お、おい、ヴァルナ!?」
クレーメックは、慌ててヴァルナを助け起こす。
こうして、ヴァルナはお菓子の犠牲者第一号になったものの、
クレーメックに手厚く看病された。
(ジーベックさまと二人っきり……うれしいですわ)
こうして、ヴァルナは至福の想いに満たされ、クレーメックとちょっといい雰囲気になったのであった。
しかし、その間、放置されていたクレーメックの劇物お菓子は、
「わーい、チョコクッキーがあるよー。皆よろこぶよね」
と、空京の町の精 くうきょうがパーティー会場に持って行ってしまったのだった。
マイトは、このお菓子も食べてしまったのである。
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