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【超勇者ななな物語外伝】超覇王の城の地図を探せ!

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【超勇者ななな物語外伝】超覇王の城の地図を探せ!

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◆「良い子のみんな! 約束だぞ」

 何も見なかったことにした2人の近くを通りかかったのは、
「おや、君達は僕と同じく超召喚された人だね」
 フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)だった。パンツ姿に見えるが、これはパンツではないので無問題だ。
「ああそうだ、が」
 ベルクが返事をしてから、フィーアの手に握られた大量の三角っぽい布を見つけて動きを止めた。フレンディスが尋ねる。

「何を、しているのですか?」
「見たらわかるだろう。地図を探しているのだ」
「それでなぜ女性の下着を」
 布……つまりは女性ものの下着を持っているフィーアは、あまりにも堂々と言った。

「ふっ甘いな。超地図……それが僕たちの知っている地図と同じ形をしている、と誰が言ったのだね。つまり、超地図がどんな形をしていて、しかもそれを本当にドラゴンが持っているのかもわからないのだから、固定概念に縛られずに探すべきだろう」

 そう言いつつフィーアは他人の家へと勝手に入り、タンスの中をごそごそし、女性の下着だけを取り出して袋にしまう。
「ほお。これは中々よいな……ふふふ」
 下着を手にニヤニヤ笑っている、そんなフィーアが所属しているのは【光】勢力です、ありがとうございます。

――これはいいのか?

 2人は思ったが、家の主たちが何も騒がないので、きっといいのだろう。
「でも、良い子の皆さんは真似してはいけませんよ?」
「だな」
 とりあえず、フレンディスとベルクは、画面に向かってそう言っておくことにした。



◆「たぶん、チャラランとか音鳴ってる」

 少し時間はさかのぼる。
 ドロシーに召喚された1人、伏見 明子(ふしみ・めいこ)は、文字通り頭を抱えていた。ガシャン。

(状況が全く分からないんだけど、何これ。ええとその、つまり村人から話を聞いてアイテムを探せ的なイベントなのか。王道RPGか! というか、村人Aから魔王の地図が分かるとか情報管理甘すぎるでしょうが!)

 内心激しいツッコミを入れる。ガッシャンガシャン。
(まあ行くけど。他にやることもないし!)
 どこかあきらめの心境で背を伸ばした彼女だが、現在は全身鎧を身につけているため、はたから見ていると大変面白……げふん。
 いや、想像してみて欲しい。頭を抱えて1人突っ込みをする全身鎧を……。

 とにもかくにも、旅の準備をしようと明子は町を歩いていた。

 彼女と同じく困惑していた清泉 北都(いずみ・ほくと)は、パートナーのクナイ・アヤシ(くない・あやし)と共に情報収集をしていた。
「ドラゴン退治に役立つ情報がどこかにあると思うんだけど」
「ええ、そうですね。しかし、本当にここの住民の方々は同じことしか言わないのですね」
「そうだねぇ〜」
 会話をしつつ、クナイは周囲を警戒する。ここは特殊な場所だ。何が起こるか分からない。
 北都とクナイは住民から情報を集めることをあきらめ、文献へ目を通すことにした。借りてきた新しい本から古い本までを流し読んでいる2人の元へ……香ばしいにおいがやって来た。
 なんだろう、と2人は顔を見合わせ、ちょうどお腹も減ったころだったのでそちらへと向かった。

「ちょっと待ってねぇ〜もうすぐ焼けるから」
「かまどの神様が焼いたパンが食べられるなど……ありがたやありがたや」
「長生きはするもんじゃのお」
 住民たちに囲まれて作業しているのは佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)だ。自宅でパンを焼いている最中に召喚された彼は、一緒に召喚されたパンの香ばしさ効果で――自ら名乗ったわけでもないのに――『かまどの神様』と思われてしまった。
 が、そのおかげでパンを焼ける店をただで貸してもらえているのだから、結果オーライだ。
「はいおまたせ〜、どうぞぉ……って、君たちは」
 顔を上げた弥十郎は北都、クナイ。それから同じくにおいにつられてやってきた明子の3人を目に止めた。
 召喚されてからずっとパンを焼き続けていた弥十郎だが、超勇者たちの話は知っていた。パンを焼きながら、何か役に立てたらなぁ、と考えていた。
 弥十郎は、3人へにっこりと微笑み、袋を差し出した。

「お腹が空いたらこれをお食べ」

 袋の中を覗くと、超アンパン、超食パン、超カレーパンの三種のパンである。

「日本では困った時にこの三種のパンが救ってくれるという伝説があるんだよ。
 きっと、何かの役に立つかも。ぜひ持っていってね」
「三種のパン……」
「それって三種のじ」
「そうなのですか。ありがとうございます」
 微妙な顔をする北都と何とも言えない空気を醸し出す明子の隣で、純粋に感謝するクナイ。
「たくさんあるから、他のみんなにも渡してねぇ〜」

 超勇者一行は 三種のパンを 手に入れた!


◆「彼らは超勇者一行です! 誰が! 何と言おうと!」

 その後、それぞれ準備が終わった超勇者一行は、ドロシーの元へ集まった。
「ではみなさん。『“超危険な遺跡”にいる“超強いドラゴン”が持っている“超覇王の城”内部の様子が描かれた“超地図”』を手に入れに行きましょう」

 おーと応える声の中、北都とクナイは目配せをして一足先に遺跡へと向かっていた。
 結局ドラゴンについての情報は特に見つからなかったが、せめてドラゴン討伐に向かう他のメンバーが体力を温存して戦えるよう、雑魚を倒しておこうと考えたのだ。
(クナイ、行くよ)
(ええ、分かっております。あなた1人では行かせません)
(……ありがとう)
 北都は手をぎゅっと握った。お互いに禁猟区を施しあった手袋が、何よりのお守りだった。

「先に召喚されてた連中が愉快そうねえ……何かぶっとんだ個性を付けないと召喚されないとかいうルールでもあるのかしら。
 そこんところどうなの、光のプリンセス」
「明子さんも個性的で素敵ですよ。そのお召し物、とてもお似合いです」
「それは……どうも」
 そんな会話をしながらも、明子はドロシーの傍に待機していた。ドラゴン退治や地図の入手は他のメンバーに任せ、彼女を護衛するつもりのようだ。たしかに要(かなめ)は彼女なのだから護衛は必要だろう。
 しかし、全身鎧姿を褒められても、あまり嬉しくはない。


「そおれ、まだまだいくぞ。ゴーレム、今度はあっちに連れてくぞ」
「う〜ん、そう言えば(略)」
「おおおおお! この下着はまた、すばらすぃ」

 ……遺跡へ、出発だ!