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リアクション
第7章 アーデルハイトとラズィーヤに美味しい料理を
-PM12:00-
「どこへ行っていたのですの?」
ラズィーヤはカフェテラスへやってきた静香の方へ顔を向ける。
「ちょっと料理の手伝いをしてたんだよ」
「お腹すいたのじゃぁ〜・・・」
空腹のあまりアーデルハイトは項垂れていた。
「もうすぐ生徒さんたちが美味しいお料理を持ってきてくれますよぉ」
「あっ、出来たみたいですわ」
「楽しみですわね」
「どうぞ、僕が試食して確認しました。美味しいですよ」
トレイの上からサムゲタンを盛った皿を、リヒャルトが丁寧にテーブルの上に置いていく。
「香は良いようじゃが・・・」
「さぁ、召し上がってください。見た目は悪いけど、味は保証しますよ♪」
「たくさん食べて、早く元気になってくださいね」
「それじゃあ、まず私から・・・いけるのぅ♪」
アーデルハイドはもぐもぐと食べ、歌菜の料理をいっきにたいらげた。
「良い香ですねぇ」
エリザベートは自分も便乗して食べたそうな顔をする。
「―・・・食べますか?」
じーっとアーデルハイトの皿を覗き込むエリザベートに歌菜が声をかけ、校長は嬉しそうに笑顔でコクリと頷いた。
「食べやすいね」
「美味しくいただきましたわ」
静香はすでにラズィーヤから少し分けてもらい食べていた。
「私たちも作ってみたんだが・・・」
サムゲタン風スープの入った皿を、涼介がアーデルハイトたちのテーブルに並べてやる。
「これも美味しいのじゃ♪」
「そうですわね」
「私が作ったリゾットも食べてみて」
マナが彼女たちのテーブルに上へ、丁寧に並べた。
「いただきますねぇ」
「ちょっとおこげの部分が多いのぅ」
「でも美味しいよ」
「ボクのも食べてほしいな。上手く出来たか不安なだけど」
野菜料理にホワイトソースをかけた料理を、悠希がラズィーヤたちに差し出す。
「あの・・・ですね・・・。ラズィーヤさまも勿論、静香さまも・・・とてもお肌も色白でお綺麗ですので・・・そんな感じをイメージして、このホワイトソテーを作ってみましたっ」
「あらうれしいですわね」
顔を真っ赤にして言う悠希に、ラズィーヤが微笑みかける。
「私のお料理もどうぞ」
「美味しそうな混ぜご飯だね」
「お吸い物も丁度いい味加減ですわね」
「刺身も新鮮で美味しいのじゃ!」
もの凄い勢いでアーデルハイトは刺身を口に入れていく。
「大ババ様、他の人の分も考えて食べてください!」
食べようとした石鯛の刺身を横から取られ、エリザベートが頬を膨らませた。
「味噌味のきんぴらと、サラダも食べてみてください♪」
「美味しいよ!(たぶんね・・・)」
テーブルに料理を盛った皿をズィーベンが並べる。
「香は良いようじゃな。―・・・うぅっ!」
きんぴらをいっきに口の中に入れたアーデルハイトは顔を顰める。
エリザベートも顔を青ざめさせる。
「・・・美味しいよ」
「―・・・そうですわね」
笑顔を絶やさず顔には表さないが、静香とラズィーヤのハシを持つ手が震えていた。
「(サラダは大丈夫そうじゃな)」
アーデルハイトは恐る恐る口に入れる。
「薬膳スープも飲んでみてくれ」
「美容にもよさそうですわね」
「そうだね」
「体がぽかぽか温まるのぅ」
「おかわりほしいですぅ」
「あぁ、分かった」
ケイはエリザベートの器に薬膳スープをよそってやる。
「口に合えばいんだけど・・・」
弥十郎たちは薬膳ミルク粥と薬膳茶碗蒸をテーブルの上に並べていく。
「大ババ様〜そんなに急いで食べたら、口からこぼれてしまうですぅ!」
アーデルハイトの口元を、エリザベートがティッシュで拭いてやる。
静香とラズィーヤは上品に茶碗蒸しをスプーンですくい、口の中へ運んでいく。
「デザートも作ったんで、食べてみてください♪」
歌菜は芝麻布丁を乗せた皿をテーブルに置いた。
「いくつでも食べられそうじゃのぅ」
「駄目ですよぉー、これは私のですぅ!」
欲しそうに見るアーデルハイトから守るように、エリザベートは皿を遠ざける。
「私のを分けてやっているのじゃぞっ!少しこっちに戻すのじゃ!」
デザートの取り合いで、ギャーギャーと騒ぎ立てる。
「これも食べてみて」
「おぉー杏仁豆腐じゃ!フルーツがいっぱいあるのぅ」
クレアが作った杏仁豆腐に、アーデルハイトは目を輝かせ、美味しそうにモグモグと食べた。
「レモンの味が効いていて美味しいですわ」
「キャロットケーキも作ったんだよ」
皿のケーキを西園寺が切り分け、アーデルハイトたちの皿に乗せてやる。
「森からの贈り物です」
ルカルカが彼女たちに手書きのお品書きを渡す。
メニュー名は根菜スイーツのフルコース〜貴婦人のために〜。
「見た目も味もバッチリだと思うよ」
ルカルカとエースがゴボウのスナックチップスとカタクリ花ハチミツのスープ、ハスの実入り人参パウンドケーキとマンドラゴラのチョコムースをテーブルの上に置く。
「こちらもどうぞ」
ヤマイモのレアチーズケーキと人参のソルベを、セレスティアと理沙が家庭科室から運んできた。
「デザートいっぱいあるね」
「えぇ、どれも美味しそうですわね」
「どれから食べたらいいか迷ってしまいますねぇ。大ババ様はもうお腹いっぱいですよねぇ?私が変わりに食べてあげますぅ」
「何!?まだまだ余裕で入るわっ!」
取られてたまるかと、アーデルハイトはチーズケーキを頬張る。
「あのー・・・よかったらどうぞ」
「オシャレなデザートですわね。見た目も綺麗ですし」
「うん、すっきりとした味でいいね」
「ほ・・・本当ですか!?」
「凄く美味しいですわ」
静香とラズィーヤに褒められた桜は顔を赤くして照れてしまい、彼女たちを直視できなくなり思わず顔を俯かせてしまう。
「えっと・・・あの・・・。私は・・・これで失礼いたします!」
自分はここに居てはいけない人間だということを思い出し、桜は学園の外から駆け出て行く。
「お茶をどうぞ」
ラズィーヤたちにルカルカとエースがヒラプニラ茶を、ティーカップに注ぐ。
「美味しかったのぅ。満足じゃ〜」
「皆さんのお料理、美味しかったですわ」
「生徒たちが頑張って新鮮な食材をとってきてくれたから作れたんですよ」
「大変だったじゃろう、ありがとうなのじゃ」
アーデルハイトとラズィーヤの感謝の笑顔に、生徒たちも互いに喜びあった。
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