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【2019体育祭】燃えよ…冬の陣!東西丸太戦争

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【2019体育祭】燃えよ…冬の陣!東西丸太戦争

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第3章 勝利を手にするためならば・・・どんな犠牲も厭わない

-PM17:30-

「―・・・はぁ・・・やっぱり4kmなんてかなり距離がありますよね・・・」
 ペースを落とさずに走っていた西軍の影野 陽太(かげの・ようた)は、さすがに疲れてきたようだった。
「休憩している暇なんてありませんわ。ペースを落としてしまうと途中で落ちたりしてしまいますわよ」
 手を引っ張って一緒に走っている陽太が落下てしまうと、同じく西軍のエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)も一緒に丸太からプールにドボンしてしまう。
 サメのエサになるようなことになったら、ただじゃすまさないという鋭い眼光で彼の背を睨む。
「それにしても・・・丸太と丸太の幅が・・・・・・」
「よぉ、得点もらいにいくぜ!」
 1度もたどりついていないうちに、得点を狙いに向かうラルクとすれ違った。
 彼はすでに2度も点を奪っている。
「行かせませんわ!」
 タバスコ満載の激辛パイをブン投げるが、軽くよけられてしまう。
「避けられてしまいましたわね・・・・・・このままでは負けてしまいますわっ、急ぎなさい!」
 エリシアの闘志に火がついてしまい陽太を急がせる。
「あわわっそんなこといっても・・・。な・・・何か向こうから来ます・・・・・・」
「敵ですの!?」
「いえ・・・あれは・・・・・・サメです!!」
 サメは巨大な大口を開けて、陽太たちを丸飲みにしようと襲いかかる。
「後は頼みましたわ」
「えっ・・・うえぇえー!?」
「その尊い犠牲・・・無駄にしませんわ・・・」
 陽太を囮にしてエリシアはキラリと涙を流し、東軍側へ走り去っていく。
「よしこれを盾に・・・て・・・サメに意味ありませんー!!」
 特売で手に入れたお鍋の蓋を盾代わりにしようとしたが、バクッと飲み込まれてしまった。
「いよいよ俺たちの出番だな!」
 太いロープに鉄の熊手をしっかり結びつけ、和原がサメに投げつけた。
「このままではプールに引きずり込まれてしまうぞっ」
「やっぱりバイクで引っ張るか・・・フォルクス、ちょっとそのまま頑張っていてくれ」
「―・・・嘘だろ?無理・・・無理ぃいいいー!!」
 彼がロープから手を離したとたん、ズルズルと引きずられる。
「(く・・・食われる、サメに食われる!)」
 もう駄目だと思った瞬間バイク音が轟く。
 ズザザザァアアーッ。
 勢い良く後ろの方へ引きずられ、プールサイドへ乗り上げたサメは尾を床へバシィンッバシィンッ叩きつける。
「大丈夫か!」
「あぁ・・・我なら大丈夫・・・って!?」
 フォルクスが横たわっている所を通り過ぎ、サメに飲まれた陽太を救出しようと駆け寄った。
 鉄拳でサメの腹を殴りつけ吐き出させる。
「―・・・うぅ・・・助かりました」
「まだ時間はあるから、最後まで諦めないようにな」
「えぇ・・・ありがとうございます」
 救出された陽太は礼を言い、丸太の上に飛び乗って再び東軍の陣地へ走っていく。

-PM19:00-

「暗くなってきましたね・・・なんだか寒いですし、そろそろ焚き火で明かりを確保しましょう」
 ロザリンドは地面に落ちている小枝を拾い集め、ライターで火をつけた。
「これで明るくなりましたね」
 プールの周辺に木々を集め火をつけて明かりを確保すると、再び観戦席へ戻った。
「今の所は東が有利でしょうか?さて・・・時間もだいぶ減ってきましたら、これから得点争いが激化するんでしょうね」
 紅茶の入った暖かいカップで手を温めながら戦況を見守る。