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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第3回/全3回)

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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第3回/全3回)

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 デーゲンハルト・スペイデル(でーげんはると・すぺいでる)が唱えたサンダーブラストが雷が降らせた時、イルミンスールからの追加部隊が到着した所であった。雷鳴の音、そして飛び出したロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)を見て、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は瞬時に状況を理解した。
「ちょっとー、始まってるじゃない!」
「あぁ、そのようだ。行くぞ」
 パートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)がパッフェルを視界に捉えた時、それに反応したかのように、パッフェルはダリルに瞳を向けると、次の瞬間には「赤い光」がダリルを撃ち抜いていた。
 気付いた時にはランチャーが向けられていた。左手が水晶化していたダリルだったが、あと言う間に全身を水晶化させられてしまった。
「ダリルっ!!」
 駆け寄るルカルカに返事をするようにダリルは顔を上げると、火龍の杖を振って辺り一面に炎を振りまいた。
「ちょっとダリル、どうしたのよ」
「操られてるのよ、離れて」
 ペルディータ・マイナ(ぺるでぃーた・まいな)はルカルカの肩を掴んで引き戻した。ダリルの目はパッフェルの右瞳と同じように、赤く輝いている。事前に報告のあった事例とも一致していた。
「ダリルっ!」
「大丈夫だ、離れてろ!」
 七尾 蒼也(ななお・そうや)がルカルカの前に立ち、その背を大きく、大きく見せつけてから胸を張り、
「目を覚ませ! パートナーの思いを、感じないの―――」
「おのれパッフェル!!!」
 操られているダリルに向けた蒼也の精一杯の美声が…。ユウ・ルクセンベール(ゆう・るくせんべーる)の怒声に尻を完全に掻き消されてしまっていた。
「マリーシャ!!」
「はいっ!」
 獣人であるマリーシャ・ヴィッケンブルグ(まりぃしゃ・う゛ぃっけんぶるぐ)は白狼に姿を変えると、その背にユウを乗せて駆け出した。その姿は騎狼の如し姿であった。
 駆けるマリーシャをトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)の一閃が襲いかかった。
「狼狩りは趣味じゃねぇんだがな」
「ぬかせ! 外道に手を貸す者も、また外道なり!!」
「へっ、そいつは誉め言葉として受け取っておくぜ!」
 混乱の中、グレンの銃から脱出したトライブは、雅刀に苛立ちも込めて打ちつけていた。ユウもランスで受け弾くが、ユウの突きも思ったようには当たらなかった。
 トライブとユウが互角の打ち合いをしている中、マギステル・アンジェリカ(まぎすてる・あんじぇりか)はウロウロオロオロしていた。
「わらわは、わらわはどうしたら良いのじゃ…」
 援軍として参加したものの、現場に着いた途端に戦闘が始まってしまった。誰が指揮をとっているわけでもなく、どの行動が正しいかも分からない。自分で判断するより他にはなさそうなのだが。
 聞いている情報によればパッフェルの実力は… いや、己の実力を考えても傷一つ付けられぬような…。 
「えぇい、迷っていても仕方がない、目的はパッフェルの討伐のはずじゃ、奴に、奴に一撃を与えるのじゃ!」
 マギステルがトテトテトテと駆け出した瞬間、目の前に獣人の蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)が立ち塞がった。
「おっと、どこへ行くのだ?」
「あっ、えっ、あの、わらわは、パッフェルに…」
「そのまま進むなら、容赦はせぬ」
「うぅっ… あっ♪ 狼さん狼さん、狼さんの口はどうしてそんなに大きいのじゃ?」
「それを言うなら、おばあさんの口は、であろう! 馬鹿にしているの―――」
 ダンっ!!
 一媛は咄嗟に弾を避けた。マギステルが震える手でハンドガンの引き金を引いていた。
「………… 不意打ちとはな…………」
「えっ? しかし戦いの時は相手の注意をひいて、その隙に攻撃するのが良いって習ったのじゃが」
「おのれぇ、許さん!!」
「のぉぉぉぉぉ〜、なぜじゃ〜」
 パッフェルに向かって駆け出したはずに、出た時よりも速い走りでマギステルは林の中へと駆け戻ってしまった。追手の狼には、すぐに捕まってしまいそうではあるのだが…。
モチッドミスト!
 水晶化され、パッフェルに操られているダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)に対し、
七尾 蒼也(ななお・そうや)はトリモチ状態にしたをザカコの足元に向けて投げつけた。
 モチッドミスト。確かに無属性の攻撃なのだろうが……。
 否! しかし、その威力を甘く見てはならぬのだ。一体どれだけ捏ねたのだと言いたくなるほどに粘ったは、ダリルの両足を封じ、倒れこませる事に成功した。
 手を合わせながらに駆け寄ったペルディータ・マイナ(ぺるでぃーた・まいな)に、蒼也は自慢げに胸を張った。
「ははっ! どうだ!!」
「凄い! お餅で動きを封じるなんて、さすが蒼也!」
「はっはっはっ、任せなさい、俺のモチッドミストに捕えられぬ物など無ぁい!」
「おぉ〜!」
 どうにもテンションの高い2人を余所に、倒れてもがくダリルの姿をルカルカ・ルー(るかるか・るー)は瞳を座らせて見下ろしていた。
「何かしら… 止めてもらったのに… 複雑…… 」
「ルカ! 行くぞっ!」
 背後から過ぎた朝霧 垂(あさぎり・しづり)の声に、ルカルカは正気を取り戻した。垂の後にライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)夜霧 朔(よぎり・さく)もついていた。
「淵! 行くわよ!」
「おう!」
 手鏡を握り締めた夏侯 淵(かこう・えん)がルカルカの後に続いて駆け出した。その手鏡に反応した者がいた。日下部 社(くさかべ・やしろ)望月 寺美(もちづき・てらみ)である。
「どうやら、同じ事考えとるやつが居たようやな」
「はぅ? はっ! ボクたちも行くですぅ〜☆」
「あぁ! 行くで!!」
 社と寺美も、パッフェルに向かって突っ込んでいった。
「好機!!」
 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)の叫び声が響いた時のことであった。