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第7章 真相へ

 第5階層の隠し階段を降りていく棚畑。
 階段を降りた先には、大きな扉がある。
 扉の前で、大きく息を吐き、ふりかえる棚畑。
「なにか、用かい?」
 すると暗闇から現れたのは、ガートルードとシルヴェスターだった。
「きみたち、ずっと僕のあとについてきてたね」
 ガートルードが一歩踏み出す。
「棚畑……、なにが狙いなんです?」
「何が狙いって言われてもね……」
「ずっと見てきたが、おどりゃーの行動は、言ってることとちがわいやぁ」
「……ふむ」
「死にそうになっても、見捨てると言っていたのに、助けてました。しかも大事な物を使ってまで」
「各階でも、色々、目回し、しとったじゃろ」
「参ったね、どうも」
「この研究所は何なんです?」
「……ふう、分ったよ」
 棚畑は降参したように両手を上げる。
「シャンバラ開発機構は、シャンバラへの医薬品の提供や各種技術の指導を行っているんだ」
「技術提供……?」
「ああ。これは、学校なんて小さな単位の話ではないんだ。大陸だって、開発が進んできたといっても、まだまだ未開の地は残っている」
「……」
「生態だって、完全に把握しきれていない。どんな危険な生物が、いつ生徒たちを襲うか分らないだろ?」
「……」
「最近の生徒たちは平和ボケしてるんじゃないかって、心配してたんだけどね。違ったようだ。安心したよ」
「……過去になにかあったんですか?」
「もう、人が死ぬのは見たくない。それだけさ。じゃあね」
 棚畑が、扉の方に向き直る。
「おっと、そうだ。最後にこれも教えておこう。シャンバラ開発機構の創始者はね、行方不明になっているパラ実の校長『石原肥満』だよ」
 その時、扉の向こうで何かが動く気配がした。
「……その扉の向こうには、何がいるんです?」
 棚畑が扉の横のボタンを操作すると、扉がゆっくりと開き始める。
「いずれ君たちの“力”になる存在だよ」
 そう言って、棚畑は扉の向こうへと消えていった。


「なーるほどね」
 物陰で隠れていた悠司がポリポリと頭を掻く。
 帰ろうと踵を返すと、そこにはボーっとした表情の珂慧が立っている。
「おいおい、立ち聞きはよくないぜ」
「……」
 悠司はニッと笑って、珂慧の肩を組む。
「外行こうぜ、なんか皆で打ち上げやってるみたいだぜ」
「……うん」
 並んで歩く、悠司と珂慧。


 その二人の後ろ姿を見ている弁天屋 菊(べんてんや・きく)
「さ、あたしも帰るか……」
 大きく伸びをする菊。