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【十二の星の華】湯けむり! 桜! 宴会芸!

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【十二の星の華】湯けむり! 桜! 宴会芸!

リアクション

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 ホイップが旅館から少し離れた場所で温泉に浸かっていると、いつの間にか人が集まってきていた。
「ホイップさんの水着かわいいですー!」
 ソアがスクール水着姿で登場した。
「ありがとう! ……えっと、スクール水着?」
「はい……ベアに無理矢理……」
 しゅん、としているソアを眺めているのは確かにベアだ。
「ご主人はやっぱりスク水が一番似合うんだって!」
「嬉しくないですよー!」
 ソアは抗議するが、確かによく似合っている。
「まさかここまで胸がデカいだなんて……さすが、乳牛座の十二星華というだけはあるわね」
「いや、牡牛座、牡牛座ですからっ! というか過去最悪にホイップさんに失礼ですっ!」
 ソアの横で一緒に浸かっていたソラがホイップの胸をまたもまじまじと見つめての感想。
 それに突っ込んでからソアがホイップの方へと向くと、胸を押さえて顔を赤くしている姿を見る事が出来た。
(なんで私の胸は――!)
 ソアがホイップにフォローしている横で、ソラは自分の胸を見て、ちょっぴり落ち込んでいた。
「私もホイップさんくらいに成長するでしょーか!?」
 フォローしていたはずのソアだったが、いつの間にか話しがずれていっているようだ。
「うんと……大きくなくても良いと思うよ? 大きいと……服とか胸に合わせて買わなくちゃいけなかったり、可愛い下着も……あぅ」
「そうだぞ! ご主人はそのままで良いんだ!」
 ホイップの言葉にベアが賛同した。
「でも……いつか私も!」
 胸を張ってそう宣言したソアだった。
「わあ、私も話しに入れて下さい!」
 そう言って、ホイップの横に入ってきたのは有栖だ。
 フリルチューブトップに下はフレアスカート付きの水着だ。
「ホイップさんの水着可愛いですっ!」
「ですよね! ですよね!」
 ソアと有栖はすっかり意気投合してしまった。
「有栖さんのも可愛い! どこで買ったの?」
「これはですね。空京デパートの中にあるマル・マロっていうお店で買ったんですよ」
「あそこの洋服可愛いですよね! 私も今度、水着を見に行ってみようかな!」
 ソアが目を輝かせている。
「私も一緒に行きたいな! そのお店知らなかったよ」
 きゃわきゃわと会話をしていると、さらに近づいてくる者達がいた。
 アリスに腕を掴まれ無理矢理引っ張られている輪廻だ。
「だから! 俺は隅っこの方でのんびりと――」
「みんなで一緒が良いんですー!」
 この2人は水着ではなく白い大判タオルを巻いている。
 アリスが強引に湯船の中へと入れてしまった。
「ど、どうも……」
 輪廻はそっぽを向いたまま、赤面してしまった。
「宜しくです! あ、さっき少し話しが聞こえたのですが、空京デパートのマル・マロってなんですか?」
「ああ、可愛い洋服を売っているお店なんですよ! この水着もそこで買ったんです」
 アリスの質問に有栖が自分の水着を見せながら説明した。
「ほんとうに可愛いです! ね、ね! 四条さん! 可愛いですよね!」
 アリスは輪廻を無理矢理女性陣の方へと顔を向けさせた。
「えっと……その……薬がちゃんと効いて良かったですね……」
「助けてくれてありがとうございました!」
 ホイップは薬を調合したあと、すぐに眠りこんでしまった輪廻にお礼がまだだったのを思い出した。
「違いますよー! 今は水着の話しです!」
「えっと……ぶくぶくぶく」
 アリスの言葉に3人の水着を直視してしまった輪廻は鼻血を吹き出して湯の中へとすっぽり入ってしまった。
「きゃー! 四条さん!」
 ベアが慌ててお湯から出したが、のぼせてしまっている。
「しょうがねぇなぁ! 俺が旅館まで運んでくる」
「あの! 私も一緒に――」
「ああ、良いってすぐによくなるだろ。そこで会話でもしてろよ。良くなったら連れてくるから」
 ベアは輪廻を肩に担ぐとそのまますたすたと歩いていってしまった。
 お湯が白濁したものから輪廻の血でピンク色になってしまっていたので少し移動した。
「あの、良かったら一緒にマル・マロに買い物に行きませんか?」
 有栖が提案するとホイップ、ソア、ソラ、アリスは賛成し、楽しそうに計画を立てるのだった。


 のぼせない為に、少し風に当たろうと温泉から出て、桜を眺めていたホイップの前に仲良くお昼寝中のサンティアゴとソプラニスタが目に入った。
 ホイップが近づくと2人は目を覚ましたようだ。
「きゅ〜きゅ〜(お腹空いた〜)」
 ソプラニスタが鳴くと、
「く〜……」
 サンディエゴも鳴いた。
 2人同時に潤んだ瞳に見つめられてしまったホイップ。
「か、可愛い……」
 ふらふらと近寄ると、2人を抱きしめた。
「あ、丁度良いや! ホイップ、ミルクお願いできる?」
 リアトリスがその様子に気が付いて声を掛けた。
「えっと……リアトリスさん……だよね?」
「うん!」
 リアトリスはピンクのストラップレスとローライズの水着に腰には桜舞い散る長いスカーフを巻いている。
 ホイップはミルクを渡されると右腕にソプラニスタ、左腕にサンディエゴを抱きながら、ミルクを手に持ち、あげ始めた。
「今度はホイップがお母さんみたいだね!」
 リアトリスと同じ出で立ちをしたベアトリスが現れ、言った。
「そうかな?」
 2人の温かい体温を感じて、ちょっと嬉しそうにするホイップ。
(可愛い……可愛いんだけど……腕が……あぅ)
 心の中ではほんの少し泣きそうだった。
 結局、げっぷまでさせて、もう少しだけ抱っこをしているとまたお昼寝タイムに入ってしまったようだ。
 ホイップは腕がぷるぷるしているのを悟られないように、その場を退散したのだった。


 ホイップの腕がぷるぷるしているのを見ながら温泉にまったり浸かっているのはルカルカとダリルだ。
 温泉の巡回中だが、休憩も必要だ。
 持っていたタオルは決してお湯につけず、2人とも頭の上に畳んだタオルを乗せている。
「はぁ〜、風呂は命の洗濯ねぇ〜」
「このまま、のぞき部が何もしなければ良いのにな」
「そうね。……本当にホイップが元気になって良かった」
 ぽつりと呟いたルカルカの頭をダリルが撫でた。
 休憩が終わると、ルカルカ達はまた見回りにいった。


 一方こちらはルカルカのパートナーであるカルキノスと淵だ。
 こちらも、見回りの休憩をしていた。
 カルキノスは普段から服を身につけていないので、何も着ていないが、淵は水色に白いラインの入ったトランクスタイプの水着を着ていた。
 タオルを横に置いていて、湯に浸けることはしていない。
「温泉は良いねぇ……俺も里にいる時は偶に入ったゼ」
「へぇ〜。地元に温泉があるのは良いな」
 2人はぼへっと桜を見つめていた。
 カルキノスは思いっきり伸びをして、翼を広げた。
「ぶくぶくぶく……」
「あ、悪りぃ」
 淵はその翼に潰されてしまい、湯の底へ。
「ばっ、馬鹿者っ! 俺を殺す気かっ!」
 翼の下から何とか這い出ると淵は抗議の声を上げた。
「そんなつもりはなかったんだがよ……ついな」
 カルキノスは苦笑いしている。
「まったく……これだからお前と組むと……ぶつぶつ」
 2人は温泉を堪能すると、巡回へと戻って行った。


 こちらもこちらで巡回休憩中の真紀とサイモン。
 のぞき部のことなど頭から追い出し、まったりしているようだ。
「ふぅ〜……気持ち良いですわね」
 その横に入ってきたのは珠樹だ。
 腰にタオルを巻き、頭にもタオルを巻いている。
 普通に男の子に見える。
「桜が綺麗ですね」
 真紀が話しかけた。
「全くだな」
 実がそれに返事をする。
 腰にタオルを巻き、リーゼントが下りているので誰だか見分けがつかない感じになっていた。
「はぁ〜……良い湯っていうのはこういう事をいうのかもしれねぇなぁ……」
 サイモンが言うと、4人は一斉に感歎の溜息を吐いた。
 しだれ桜の枝がその溜息に呼応するように揺れて、濃いピンクの花びらが一枚、温泉に落ちた。