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第9章 見学at隠密科


「クロト、花見には行かないの?」
「あぁ、隠密行動について学びたいんだ……オルカはどうしたい?」
「……僕は、クロトに着いていくよぅ」

 校門をくぐって即、隠密科を目指したクロト・ブラックウイング(くろと・ぶらっくういんぐ)
 思わず訊ねるオルカ・ブラドニク(おるか・ぶらどにく)に、優しく微笑んだ。
 オルカはもちろん、クロトを独りになどしない。
 だからクロトが行きたいのならばと、オルカも一緒に隠密科へと歩みを進めた。

「何か得られることがあればいいのだが……」

 クロトが学びたいのは、ずばり『一般人のフリをするための知識』である。
 あまり大きな声では言えないが、知人の情報を収集するために隠密行動を身に付けようと考えていた。

「隠密科の見学をすることで、より確実性が増すはずだ」
「僕もがんばりますよぅ」

 生徒達に混ざり、一緒に隠密行動の基礎を訓練するクロトとオルカ。
 終了する頃には立派に、歩き方やら身の隠し方やらの基本が身に付いていたのだった。