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第12章 花見at陰陽科棟教室
(でえとっ、でえとっ♪)
今日は朝から、るんるん気分な水無月 睡蓮(みなづき・すいれん)。
恋人に会うのは、葦原明倫館に転校してからは初めてのことである。
早起きした睡蓮は、はりきってお弁当を作ってきていた。
「しかし驚いたよ、転校しただって?
あれだけイルミンでがんばっていたのに、何かあったのか?」
「それはその……もともとお家が神社だし、明倫館のほうが雰囲気に合うかなーなんて思っただけだったり。
あっでも、皆で協力して世界を守るって言うのはすごく魅力的だと思うの。
イルミンは何となくこう、蒼学と仲が悪かったりでちょっとよくわかんなかったし……」
「そうか……睡蓮は大人しい性格だから、新しい学校でちゃんと過ごせてるか心配だったんだ」
「ありがとう……でも、これから色々あるかもしれないけど、九頭切丸もいるし、大丈夫」
教室まで移動して、誰もいないことを確認。
霧島 玖朔(きりしま・くざく)は、とうとつに切り出した。
訊かれるだろうと予想はしていた睡蓮だが、いざとなるとすんなりと答えられない。
戸惑いながらも言葉を選んで、何とか理由を説明する。
睡蓮につられて、玖朔も教室の入り口へと眼を移した。
2人の世界を演出するために、廊下を見張っている鉄 九頭切丸(くろがね・くずきりまる)。
視線を感じて、力強くうなずいた。
「それを聞いて安心した、じゃあ花見をしようか」
「えぇ……あの、お弁当、作ったの……遠慮せずに食べてね」
窓から射し込む陽光のなか、睡蓮の料理を堪能する玖朔。
弁当箱を空にすると、箸を置いて、後ろから睡蓮を抱き締めた。
「桜も綺麗だけど……睡蓮はもっと綺麗だ」
「霧島さん……」
睡蓮の髪をくるくるといじったり、においをかいだり。
挙句、玖朔は、制服をチェックするという名目で睡蓮の身体に触れてみる。
あまりない機会に、睡蓮も嫌がることなく誘いに応じた。
「イルミンでも明倫館でも俺のやることは変わらない、すぐにすっ飛んでくるからな」
「待ってるわ、ずっと」
暮れる陽を眺めながら、玖朔は睡蓮へと申し出る。
睡蓮のピンチには、他の何を放ってでも駆け付ける覚悟。
嬉しくて、胸の前で握られた玖朔の手に涙を落としたのだった。
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