リアクション
繋章
「システム、再起動します」
パラミタ内海に眠る『アーク』は、静かに目を覚ました。
「システム復元率、六十五パーセント」
魔力炉は、完全に破壊されたわけではなかった。
「あと一秒、遅れていたら今頃は海の藻屑だったろう」
声を発したのは、若い男だった。
「一時的にシステムを全解放、『全能の書』本体を魔力炉に同化、加えて私の肉体とネットワークをリンクさせる事によって何とかここまで復元出来た、というわけか」
それは、アントウォールト・ノーツであった。
「見かけだけ若返っても、代償の方が大きいな」
アールマハトと、魔導力連動システム、アントウォールトが繋がっている。この中の一つでも欠ければ、他も崩壊する。一蓮托生だ。
「ヘイゼル」
アントウォールトが、『灰色』に声を掛ける。
「なぜ、あのような真似をした?」
『灰色』は答えない。
「……出来損ないめが」
吐き捨てるようにして、若い男はその部屋を出た。
「伊東さん……」
藤堂 平助は、悔やんでいた。
目の前でかつての同胞を殺され、あろう事か意思に反し逃がされてしまう。
「なぜ……あのまま戦わせてくれなかった!?」
アントウォールトに詰め寄る、平助。
「悔しいか?」
「え?」
「憎いか? 同胞を殺した者達が。悔しいか? 自分の力が及ばなかった事が」
アントウォールトが、無感情に平助を見下ろしていた。
「力をやろう。復讐のために、使うがいい」
平助は、一度考えるような素振りを見せた。
そして彼は決断した。
悪魔に魂を売るという、決断を。
「ワーズワースよ、お前の記憶と娘は、全部私が頂く」
To be continued to last episode……
大変お待たせ致しました、五機精編、ついに完結です。
今回、場面数は減りましたが、字数は最終回拡大スペシャルになっております。これでも泣く泣くカットした場面は多いわけですが。
しかも、情報を無理に詰めてしまった場所も多く、ちょっとちぐはぐです。これは私の力量不足です、申し訳ありません。
さて、今回の最後を見ての通りです。ワーズワースを巡る物語自体は終わりませんでした。
とはいえ、次回が本当の最終回です。今度こそ、本当に最終回です。大事な事なので二回言いました。
今回、アクションで気になったのは、前回に引き続き、PC情報とPL情報の混同ですね。ただ、それ以上に世界設定考慮ミスが目立ちました。
百合園女学院は、外見性別女性しか入れません。マニュアルにあるので大丈夫かと思い、明記しませんでしたが、何名かおりました。
もし、入れる事が前提のアクションだった場合、容赦なく行殺になりますので、今後はご注意ください。
リアクションの中身についてを少し。
これまでのNPCがほぼ総出演です。二十名超えてます。
実は、本来ならもう死んでるはずのキャラもいるので、こうなるとは思ってませんでした。
今回、当初の予定では芹沢 鴨は死ぬはずでした。ですが、彼を守ろうというアクションが多かったしために、伊東があんな事に……
まあ、ここまで五機精の五人にスポットを当ててきて、思うところは色々あるわけですが、あまり長くなるのもあれなんで、マスターページで裏話はしようと思います。
ワーズワース関連のシナリオ、完結編『灰色の涙』は今月中の公開予定です。
それでは、次回も皆様と物語の結末を見届ける事を祈りつつ、失礼致します。