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リアクション
「なかなか見つからないわね」
雪だるま王国の四方天唯乃はエルやルイと別れてから船内を探していたが、まだ艦橋は発見できていなかった。
「どこにあるのですかね? 私はもう探し疲れたのです」
エラノールは小さくため息をつく。
「内部は思ったよりも複雑な構造をしているようです。計画的ではない改造をされているようですので、その影響でしょう。飛んでいるのが不思議なくらいです」
と、銃型HCを片手にマッピングをしながら進んでいたフィアがそう言った。
「そうなんだ。だからなんかごちゃごちゃしてる感じなのね――んっ?」
と、唯乃のポケットの中でバイブレーションにしておいた携帯電話が震える。
「もしもし」
唯乃はそう言って電話に出ると、向こうからルイの声が聞こえてきた。
そのルイがいうには艦橋の場所がわかったらしいので、もう一度最初にわかれた場所で落ち合って合流しようということらしい。
唯乃はそれに了解と答えると電話を切った。
「というわけで、合流ポイントまで向かうわよ。フィア、最初にみんなとわかれた場所ってわかる?」
「最初の場所ですね。はい、わかります。私についてきてください」
そう言うと唯乃たちはフィアについて元の場所へと戻っていった。
ブラックローズ号艦橋。そこに佇むのはブラッティローズではなくガートルード・ハーレック。
彼女は敵がやってくるその時を静かに待っていた。
「……来ましたか」
人の気配を感じたハーレックはそうつぶやくとゆっくり後ろを振り返る。
と、艦橋のドアが開き、そこから数人の人間たちが飛び込んできた。
「HAHAHA、雪だるま王国の黄金騎士エル・ウィンド見参!」
そして光術を使って自分自身をライトアップするエルがいの一番に名乗りを上げる。
「むむ! 金ピカさんが面白いことを! 光術セラの分を追加だ!」
と、セラがそんなエルをさらにピカピカと輝かせた。
「HAHAHA、センキュー!」
「……なっ、なんなんですか? このギャグな人たちは?」
ハーレックはなんだか少し拍子抜けして呆れた表情を浮かべる。
「コホン、ここは雪だるま王国が制圧しました。皆様、武器を捨て不審な動きはしないでください」
と、少し調子に乗っている契約者に代わってパートナーのホワイトが星輝銃をハーレックに向けながら真面目にそう言った。
「……なるほど。事情はよくわかりませんが、あなた方はガーディアンナイツではないようですね」
「ええ、私たちは雪だるま王国のものです。故あってこの飛空船を拝借したいのですが、抵抗せずに投降していただけますか? そうであれば私は何もしませんよ」
ルイはにこやかな笑みを浮かべながらそう言う。
「そうですか……ですが残念ながら、そういうわけには行きません。相手がたとえ誰であろうと、私の自由を奪うことは誰にもできない!」
ハーレックがそう言うと、部屋の隅にいたウィッカーとネヴィルがゆっくりとその後ろについた。
「なら、覚悟はいいですか?」
エラノールがそう言うと、その体から突如として漆黒のオーラが立ち込め、瞳が赤く染まる。
普段は抑制している魔力を解き放ったエラノールからは、その小さな姿からは想像できないほどのおぞましい気配が漂う。
「どうやら戦いは避けられないようですね」
「――そのようね!」
と、いつの間にハーレックの死角に入り込んでいた唯乃が忍刀を走らせる。
目の前に迫るその微かな殺気に気づいたハーレックは体を仰け反らせて、間一髪のところで唯乃の攻撃をかわす。
「まだよ!」
だが唯乃の攻撃はまだ終わらない。軽やかな身のこなしですぐに態勢を低くするとハーレックの足を素早く払った。
「くっ!?」
「もらった!」
ハーレックがバランスを崩したのを見て、唯乃は逆刃にした忍刀を振り下ろす。
「そこまでじゃ!」
だがそこにウィッカーの横槍が入り、唯乃の刀が弾かれた。
「ドラゴニックマグナムッ!!」
そして今度はドラゴンアーツを使用したネヴィルの強烈な拳の一撃が唯乃を襲い、彼女の体を大きく後ろへと吹き飛ばした。
「唯乃!?」
フィアが吹き飛ばされた唯乃の元へ駆け寄る。
「すぐにケガを治さないと!」
と、フィアと一緒に駆け寄ったセラがヒールで唯乃を癒していく。
「よくも唯乃を……許さないのです!」
自分のパートナーを傷つけられたエラノールは、先ほどよりも凄まじい闇黒の瘴気を漂わせハーレックたちを睨みつけた。
「仲間がやられては黙っているわけにはいきませんね」
「うむっ、その通りだルイ!」
ルイとリアはそれぞれ攻撃態勢に入る。
「俺たちもやるしかないな――!」
「はい、私はミサイルポッドを撃っちゃいます!!」
エルとホワイトも前の2人と同様に武器を構えた。
それを迎え撃つハーレックたちもそれぞれの得物を手に、相手を睨みつける。
「来なさい! あなた達の計画もガーディアンナイツたちの作戦もすべて私が阻止します!!」
そしてどちらからともなく動き出し、両者の剣を交えた激しい戦いが始まった。
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