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決戦 天沼矛!

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決戦 天沼矛!

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07:第一次防衛ライン 撃破

 西で敵を全滅させた戦力と【ダークウィスパー小隊】そして教官たちが前線に出てきた以上南方面の決着もすぐに付くかと思われた。
 【ダークウィスパー小隊】小隊長エルフリーデ・ロンメルこと【シルバーフォックス】は全速で移動してきたがすでに交戦中だった戦場で何をすべきかを冷静に考え、突入する。ちなみに小隊機の機体左肩部にはオルカの紋章が描かれている。
 ちなみにエルフリーデは銀の三本編みおさげに青い瞳の美少女だ。
 突然増えた攻撃対象に対処できなくなった鏖殺寺院はでたらめにマシンガンを打ち放すがそんなものが当たるはずもない。
 アクロバティックな空戦機動を駆使してエルフリーデ達は敵の背後をとった。
「右上30度。それで太陽と重なるぜ」
 ショートの銀髪に金色の瞳、毛並みが良くてかわいいリーリヤ・サヴォスチヤノフ(りーりや・さう゛ぉすちやのふ)がそう言ってエルフリーデに操作を要請する。
「よし、背後が取れた。このまま一気に行ってしまおう」
 イングリッド・ランフォード(いんぐりっど・らんふぉーど)がそう言って急かす。
 金髪のロングに青い瞳、美形で大人びている少女だ。
(お姉ちゃん、焦ってもいいことはないですよぅ?)
 妹のキャロライン・ランフォード(きゃろらいん・らんふぉーど)が姉を嗜める。乳白金のロングウェーブに赤い瞳、はかなげな美少女である。
「こちら【トニトルス】。仕掛けるタイミングはまだッスよ。取り敢えずライフルで牽制しておきましょう」
 狭霧 和眞(さぎり・かずま)がイングリッドを抑えつつ発泡する。ちなみに和眞はショートの茶髪に青い瞳を持ちばかっぽくて顔に傷がある少年だ。
 流れ弾が天沼矛に当たる。
「兄さん、やはり精密に狙いをつけないと駄目なようです」
 青色の髪で緑色の瞳を持ち、はかなげで頼りない印象の少女ルーチェ・オブライエン(るーちぇ・おぶらいえん)が火器管制担当としてそう告げる。
「どうやらそのとおりのようッスね。こっちからだと敵は天沼矛を背にしていることになるッス。正確に狙わないとッスね」
「このままでは背後をとった意味がなくなる。早く攻撃指示を!」
 イングリッドがエルフリーデに許可を求める。
「もう少しです。もう少しで敵は動きを止めます。その時がチャンスです」
「了解!」
 マシンガンの射撃を教官たちが華麗にかわしていく。
「すごい、これが教官の本当の動き?」
 そして教官のビームライフルが命中する。
「今です!」
 エルフリーデの指示でダークウィスパー小隊の面々の攻撃はシュヴァルツ・フリーゲとシュメッターリングのブースターに直撃。敵を落とすことに成功する。
 そしてさらに【チャーリー小隊】の射撃で確実に敵機は落ちていく。
「そうすると、この後はどうしましょう?」
 綾がそう言うと、教官が
「格納庫からエレベーター……すなわち最終防衛ラインに抜けるルートがある。おまえたちはそこでイコンによる陣形を組み頭部バルカンで敵に対抗しろ。
 と答える。
『了解』


08:最終防衛ライン組み上げ

 そして40機以上のイコンが補給を終えて最終防衛ラインへとたどり着いた。
 イコンは匍匐する形で最終防衛ライン前に陣取り、その上にさらにイコンが乗っかる形で立体的に防衛網を設計していく。
 イコンが防衛ラインを構築しているさまは凄まじく強烈で、最終ライン防衛担当者に「俺らっていらねーんじゃねーの?」と思わしめた。
 それに対する誤解を解くために教官が拡声器で説明する。
「このイコンはあくまでも予備の防衛ラインだ。固定砲座だ。これを抜けられたらやはり諸君に頼るしかないだろう」
 と。
 とはいえどこまでの敵がこのイコンの重厚な防衛ラインを突破できるものだろうか?
「涼司さん、イコンってすごいですね」
 花音・アームルート(かのん・あーむるーと)が無邪気にイコンに触れて回る。
「危ないぞ花音。むやみに触るんじゃない」
「はーい」
 涼司の言葉もどこ吹く風で、花音はイコンと戯れていた。

「シャンバラ教導団【第一師団中尉】クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)である。隠密偵察ならともかく、威力偵察で複座の機体を乗り捨てるとは帰りの足に執着がなさすぎる。自爆テロに切り替えてくる可能性もないとは言えん。警戒が必要だ」
 ショートの黒髪に黒い瞳、大人びていて厳しそうな女性クレアが、天沼矛の職員を捕まえてそう言い放つ。
「はい。直ちに手配いたします」
 クレア・シュミットは有名人である。この若さで教導団の中尉にまで上り詰めたことがそれを表している。
 したがって他校であっても、いや、他校だからこそその肩書は信頼するに足りる。
 そのためクレアの言葉は軍事専門家の言葉としてとらえられ、重みを増していくことになる。
「それとだ、『敵が迂回してくるルート』はないか?二次防衛戦を通らずに、だ。防衛ポイントはこの二箇所で事足りるのか?」
「は、はい。今回敵が侵入してきているポイントからということのみを考えれば迂回ルートはありません」
「そうか。協力感謝する。ん……これはルカルカの組み上げた防衛ラインか。これを利用しない手はないな。おい、手の空いているものがいたら手伝いを頼む」
「はい、わたくしが。このハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)に何でもお名じください」
 ハンスは金髪を坊ちゃん刈りにした優しそうな青い目を持つ美形の青年だ。
「そうか。ではよろしくたのむ」
「はい。一命に変えましても」
「涼司、カノンを守れなかったこと、後悔してるんでしょ。だったら今度は、しっかり守ってあげなきゃ!」
 そう言うのは小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)。緑色のツインテールに青い瞳、小柄でかわいい涼司の友人だ。
「ほら、カノンはあそこの防衛ラインにいるんだから、速く敵を倒してカノンを迎えに行かなきゃ!」
「ああ、そうだな。クレア、俺の手も空いているぜ」
「アタシとベアトリーチェもね」
 パートナーのベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)の分もついでに名乗りでておく。
 ベアトリーチェは茶髪のポニーテールに青い瞳を持ってメガネを掛け優しそうで真面目そうな剣の花嫁である。
「僕も」
 リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)
「やるよ」
ベアトリス・ウィリアムズ(べあとりす・うぃりあむず)
 二人が異口同音に言う。
 リアトリスはポニーテールの青い髪に緑色の瞳かわいい美少女だ・
 ベアトリスの容姿はリアトリスにそっくりで、服装で見分けるしかない。
 ベアトリスは魔道書ということだが、ここまで所有者の容姿にそっくりの魔道書というのも珍しいだろう。
 この二人もルカルカの残した防衛ラインの強化の手伝いをすることになった。
「私も、手伝いますぅ」
 メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)がパートナーたちと挙手をした。
 メイベルは乳白金のロングウェーブに白の瞳、胸が大きくて優しそうな少女である。
 パートナーのセシリア・ライト(せしりあ・らいと)
「助け合わないとね」
と悟った調子で黒のポニーテールの髪を揺らし赤い瞳で前を見据えながらかっこよくて端正な顔立ちを凛と見せる。
 シャーロット・スターリング(しゃーろっと・すたーりんぐ)はメイベルの幼い頃の容姿にそっくりな魔道書でメイベルトとの違いは「胸の大きさ」だけだ。
そしてフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は金髪のロングヘアに青色の目をした知的で胸が大きい女性で、生前は英国ガーター騎士団所属だった。
「私も山葉君を手伝うよ」
 薄茶色の髪を後ろで束ねて緑色の瞳を持ち清潔な印象の五月葉 終夏(さつきば・おりが)がそう告げる。
「はい、幸運のお裾わけ」
 と言いながらSPタブレットを手渡し涼司の手を握る。
「終夏……おまえ……」
 終夏は震えていた。
 だが終夏はそれを笑ってごまかし、「終わったらラーメン食べに行こうよ」
 と終わった後の約束をする。
「なんだよ、ルカルカといい、終夏といい、らしくねえ。死亡フラグぶっ立ててんじゃねえよ。んなもん俺がへし折ってやらぁ」
「さすがだね、山葉君」
 終夏はちょっぴり涙ぐんでいた。
「ずるい、私も……」
 火村 加夜(ひむら・かや)が反対側の手を握る。
「涼司くんのことは、私が守るからね」
 青い髪を後ろで束ね同じ色の瞳をした、真面目そうな美少女がそう告げる。
「加夜までかよ……おいおい、勘弁してくれ。とにかく、死亡フラグなんてみんなへし折ってやる。フラグをへし折るのだけは得意なんだ」
(だから私とのフラグも壊しちゃうんですか? 前回告白したことは涼司くんの中にどう残っているのか気になります。それとも、やっぱりカノンさんが……)
 加夜はそう言いたかったが我慢した。
「おう、姉ちゃん、俺達も使ってくんな」
 そう言ったのはアレクセイ・アスカロノフ(あれくせい・あすかろのふ)。ベリーショートの茶髪に青い目、精悍で顔に傷のある中年の熟練整備士だ。
 ロシア軍から天御柱学院にエンジニアとして派遣され、おやっさんと慕われている。
「行くぜ野郎共! 日ごろ整備で鍛えた腕力見せてやるぜ!」
『応!』
 整備員たちが咆哮を上げる。
「まて、非戦闘員を巻き込むわけには!」
 クレアがそう言いかけるが
「お待ちください中尉。彼らも天御柱にいる以上覚悟は出来ているはずです。彼らの誇りを尊重すべきです」
比島 真紀(ひしま・まき)少尉か。なるほど、貴君の意見ももっともだ。その意見と諸君のプライドを尊重する」
「アイアイ・マム。任せてくだせえ。そこらのやわな兄ちゃんには負けませんぜ」
 どこかの整備士が敬礼しながら言う。
「ご苦労。早速作業に入ってくれ」
「了解」
 真紀はセミロングの黒髪に茶色の瞳、精悍でかっこいいシャンバラ教導団の第3師団少尉だ。所属は違うが階級が上のため、この場ではクレアを上官として扱っている。
「この俺、サイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)も手伝わせてもらうぜ」
 そう言ったのはパートナーのドラゴニュート。まだ歳若いがそれなりの経験を積んでいる。
 そんなメンバーがえっちらおっちら言いながらバリケードの強化をして、手榴弾を引っ掛けるといったブービートラップも用意しておく。
 一連の作業が終わった頃声をかけてくるものがいた。閃崎 静麻(せんざき・しずま)である。
「やあ、ここらで互いの行動の宣言をしとこうや。そのほうが楽になるだろ?」
「それもそうですわね。わたくしは<幸せの歌>や<護国の聖域>で支援しますわ」
 フィリッパが言う。
「僕は<則天去私>や<その身を蝕む妄執>で敵を苦しめてあげよう」
 セシリアがそう言った。
「私は魔法で皆様の支援をしようと思います。<ヒール>もありますよ」
 シャーロットがそう言うと、なぜか歓声が沸いた。
「私は<則天去私>や<アルティマ・トゥーレ>で戦闘をします」
 メイベルはそう答えた。
「<クレセントアックス>で<轟雷閃>を使用して攻撃だね」
「<アシッドミスト>で敵の銃器を錆びさせよう」
 リアトリスとベアトリスがそろって言う。
「私と真紀少尉、それに秋月 葵(あきづき・あおい)の三名で私が全部隊、真紀少尉と葵には分隊の指揮を頼む。静麻は参謀として私のそばに控えていてもらう」
「了解であります」
「わかったよ」
「へいへい……お任せください中尉殿」
 それからも作戦会議という名の行動宣言は続いたが、ここでは割愛させてもらう。
 ともかく、クレア・シュミットを頂点とした組織的な抵抗集団が出来上がったことだけは確かだった。

 そして舞台は第二次防衛ラインに移る。