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リアクション
第三章 兄弟たちの一幕
グラン・バルジュの最奥――
あらゆる貴金属を贅沢にちりばめた、煌びやかかつ繊細な意匠の壁に囲まれたその部屋は、一般的な戦艦の最奥というイメージとはかけ離れた造りになっていた。
最奥の部屋にしては、この空間は広すぎる。
王城の謁見の間といった言い方のほうが合っているかもしれない。
あくまでも戦艦型の『国家』なのだから当然といえば当然なのだろうが、かなり違和感のある場所であることは間違いなかった。
「侵入者か……面白くなりそうだね……」
「うん、おもしろくなりそう!」
そんな部屋の中、怪しく光る銀髪を豪奢な椅子に座りながら静かな口調で語るグスト・バルジュと、彼の隣の椅子で子供のようにはしゃぐソレント・バルジュがいた。
二人は、二つ並んだ椅子に座って雑談に興じている。
「グストにいさま! いっぱい、いっぱいころせそうだね!」
「ああ。好きなだけ殺していいぞ。ソレント。でもその前に、さっき捕まえた女で遊ばなくていいのかい?」
「あっ、そうだった。みまわりしていたへいしが、さきまわりしていたおんなをつかまえたっていってたっけ」
「ふふっ、侵入者たちが来るまで結構時間がかかるだろから、先に遊んでおいで」
「うん! そのおんなのところにいってくる!」
椅子から飛ぶように立ちあがると、ソレントはキャハキャハと笑いながら部屋の出入り口へと向かっていった。
扉が閉まると同時に訪れる、静寂。
(ソレントの辱めを受けて今まで壊れなかった女はいない……。どうなっちゃうのか楽しみだ)
黙考の底へと意識を沈めながら、グストは白い歯を見せて笑った。
◆◇◆
「いやっ! やめてっ……。そんなとこ、触らないでっ!」
「やべ〜! チョー気持ちいいんですけど〜」
薄暗い拷問部屋で、兵士に太ももを摩られたアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)が嫌悪の声を上げる。
斥候としてグラン・バルジュへと先行していた彼女は、光学迷彩を使ってある程度バルジュ兄弟のところまで進んだものの、落とし穴のトラップにかかり、落ちた衝撃で光学迷彩が解除されてしまうという不運に見舞われてしまった。
その上、落下の物音を聞いた兵士たちによって捕まり、捕縛されたことも不運の一つだろう。
結果、こうして、兵士たちから、拷問という名の凌辱を受けているのである。
「うは〜! 肌すべすべだぜ!」
一人の兵士が、拘束されているアリアの後ろに回り、乱暴に胸を揉みながら首筋に舌を這わせる。
「痛っ……ひうっ!」
「おお、いいリアクションするねぇ……」
少し空気の抜けたサッカーボールのような、アリアの胸の柔らかい触感が兵士の指先に伝わる。
その快楽的な感覚によって興奮が増したその兵士は、さらに動きを激しくしていく。
「あっ、くっ、いやっ!」
「たまんねぇ……。マジたまんねぇわぁ……」
前で太ももを摩っていた兵士が、どんどんアリアの内股へと手を伸ばしていく。
下着まであと数センチもない。
「やっほー。ぼくもまぜてー!」
そんなとき、薄暗いこの部屋には不釣合いな、ソレントの明るい声が響き渡った。
「ソ、ソレント様……」
急に現れた自分たちのボスに、引きつった表情を浮かべる兵士二人。
そして、すぐさまアリアから離れる。
「そんなにこわがらなくてもいいよー。かってにそのおんなにてをだしたことをおこりにきたわけじゃないからー。それよりさー、いいことおもいついたんだよ」
「は、はぁ……、いいこととは?」
「ふふっ、はいってきてー!」
ソレントの声を聞いて部屋に入ってきたのは、軽く2mを越す何か。
でっぷりと出た腹に、毛髪がまばらな禿頭、そして、歯並びの悪い口の端からは、涎が滴り落ちているという、醜悪ここに極まった魔物だった。
「ウウーーー……オオオオオッ!!」
アリアの姿を見て、目をぎょろりと大きくする。
「このコのあいてをしてもらおうかな」
にこやかにアリアへを笑顔を向けるソレント。
「ホッホ! ホーーーーー!!! ニ、ニンゲンノメス……。メ、メスウウウウゥゥゥ!!」
絶叫し、アリアへと向かっていった。
「ひっ!!!」
図太く、汚らしい指をアリアの服にかけると、一気に引き剥がした。
「やっ、いやああああああああっ!!!」
「ああ、そのコ、いま“はんしょくき”だから、こわれないようにがんばってねー!」
涙を流しながら身じろぎして、何とか逃げようとするアリアだったが、巨人の圧倒的な力に押さえつけられ、無意味に終わっていた。
「ニ、ニンゲンノオオォ、メ、メスウウゥ……。シ、シタイ! シタイイイイイ!!」
巻いていた腰巻が、中から棒で押し上げられたかのように張っている。
しかも、その張り具合は尋常な大きさではない。
「こないで……。い、いや……や、やめて……」
これから起こる惨劇に恐怖し、ぶるぶると顔を振るアリア。
「やめてえええええええええっ!!」
少女の悲痛な声が、響いた。
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