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救助隊出動! ~子供達を救え~

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救助隊出動! ~子供達を救え~

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エピローグ
 
 
 こうして、ならず者達を相手にした救助作戦は、無事に成功を収めることが出来た。
 合流ギリギリまで上空から探索してマッピングデータを作ってくれた四方天唯乃の先導で森を脱出し、街道で馬車を護衛していたメンバーと合流を果たす。
「はい、これで大丈夫ですよ」
 九条ジェライザ・ローズが子供の手に絆創膏をつける。森の中の移動で細かな傷を負った者達の為に、医療技術の心得があるローズが献身的に動き回っていた。その横ではようやく護衛から解放されたコウオウロが子供達と戯れていた。
「本当に助かりました。皆さん、ありがとうございました」
 篁花梨が助けに来てくれたメンバーに頭を下げる。
「気にするでない。民を護るのは当然の事。それに、まだ事は終わってないぞ」
 織田信長の言葉に疑問符を浮かべる花梨。その疑問に桜葉忍が答える。
「信長が相手のリーダーからアジトの場所を聞きだしたんだ。街道で戦ってた奴が聞きだした場所とも一致してるから間違いは無さそうだし、せっかくだから潰してこようって訳」
 どうやら信長達の他にも何人か同行するメンバーがいるらしい。近くではゾリア・グリンウォーターがロビン・グッドフェロー、ザミエリア・グリンウォーターと話をしていた。
「それでお嬢、俺達はどうするんだい?」
「あら、決まっていますわ。アジトに残っている皆さんとも闘争を楽しむべきでしょう?」
「ザミエリアの言う通りですね。せっかくの狩りですから、最後まで楽しみましょうにょろ」
 彼女達の他には、ヘイリー・ウェイクが団員である長原淳二と話していた。
「なるほど、確かにアジトからなら戦利品がそれなりに稼げそうね」
「ああ、俺とミーナは行くつもりだけど、二人はどうする?」
「そういう事ならあたし達も同行するわ。リネンもいいわよね?」
「……うん」
「ふむ、ならばわしらも行くとしようかの」
 『シャーウッドの森』の面々がアジト襲撃に参加するのを聞き、ファタ・オルガナも同行を申し出る。
「アジトまで叩き潰してギルドから追加ボーナスをせしめるのもよさそうじゃ。それに……わしは女の子の味方じゃからな」
「……!」
 ファタの視線を感じ、リネン・エルフトがヘイリーの後ろに隠れる。それを見て、ファタが妖艶な笑みを浮かべた。
「んふ、やはり可愛いのぅ」
「……これがまだ続くのね」
 間に挟まれたヘイリーはため息をつくしかなかった。
「まぁ、何だ……お疲れ様。さて、ミーナ、そろそろ行こうか」
「はーい。それじゃ皆。お姉ちゃん、行ってくるね」
 ミーナが子供に別れを告げる。一緒に子供達の相手をしていたリアトリス・ウィリアムズとベアトリス・ウィリアムズも同行する為に別れを告げた。
「囮作戦は大成功とは言えなかったし、今度は頑張ろうね。アトリ」
「うん、一緒に頑張ろう、アリス」
「うはwww今度はアジトとかwwwww敵オワタwwマジオワタwww」
『来るの!?』
 クロ・ト・シロの参加に二人の声がハモる。先ほどの戦いで引っ掻き回された事を思い出し、嫌な予感が頭をよぎるのだった。
「ふふ、さあ頑張りましょうか、皆さん」
 ラムズ・シュリュズベリィの言葉に答える気力も無い二人。ともあれ、何だかんだでアジト襲撃のメンバーは結構な人数になろうとしていた。
「そうか、じゃあそっちの皆とはここでお別れだな。……二人には本当に世話になった。俺からも礼を言わせてくれ」
 篁透矢が忍、信長と握手をする。それを機に三船敬一が皆を促した。
「それじゃあ行こうぜ。またな、篁!」
「ああ、また会おう!」
 
 
「うーん、結局影に徹したまま終わっちゃったねぇ」
 透矢達の近くの森の中、彼らを見ながら霧雨透乃がつぶやいた。隣にいるラルク・クローディスが笑う。
「へっ、いいじゃねぇか。別に感謝されたくてやってる訳でもねぇんだしよ」
「ま、そうなんだけどね」
「それで透乃ちゃん。これからどうするのかしら?」
「この人と戦うんだっけ?」
 緋柱陽子と月美芽美の質問に腕組みをする。そんな透乃の考えを見透かしたようにラルクが口を開いた。
「悩むふりなんかしなくてももう決まってんだろ? 大方あいつらを手伝ってアジトに乗り込むって所だろうがな」
「うーん。そこまで当てられると逆らいたくなるなぁ」
「ははっ、素直じゃねぇなぁ、おい。ま、手ぇ貸したついでだ。最後まで面倒みてやるさ」
「そうだね。それでその後は……」
「……ああ、手加減無しだ」
 再び二人が拳を軽くぶつけ合う。そしてアジト襲撃のメンバーを追うように森の中を駆けていった。
 
 
「や、やっとついた〜」
 ふらつく小型飛空艇を何とか着陸させ、山本ミナギが一息つく。他の皆と一緒に出発したはずなのに、例によって重量オーバーの状態で飛んだ為に到着が遅くなったのだった。
「……あら、何か人数少なくなってない? もしかしてもう解散したの?」
「えぇまぁ、解散というか……他の方はアジトの場所を聞き出したとかで、そちらに向かいましたよ」
「何ですって!?」
 花梨の言葉に驚くミナギ。そして降りたばかりだというのにまた小型飛空艇に乗り込んだ。
「こうしちゃいられないわ! 今度こそあたしがヒーローとして活躍するのよ! ほら、行くわよ二人とも!」
「う〜、ミヤギさん。私お腹が空きました〜」
「だからあたしはミナギだってのー!!」
 獅子神玲と何度目になるか分からないやり取りをしながら、三人が乗った小型飛空艇はふらふらと飛び去っていった。
 
 
「それじゃあシンクに帰るとするか。ツァンダ以外の皆ともここでお別れになるな」
「そうですね。本当に皆さん、ありがとうございました」
 透矢と花梨に見送られ、蒼空学園以外の学生達はそれぞれの住む街に帰って行った。
「では、わらわ達も帰るとするかの」
 黄泉耶大姫達も他の教導団所属の学生と共にヒラニプラへと帰ろうとする。その時、何者かが大姫を引っ張る感覚がした。
「……む?」
 振り返ると、女の子が装束を掴んでいた。顔を伏せ、モジモジとしている。大姫は怖がらないように扇で顔を隠した。
「な……何か用かえ?」
 どう扱って良いか分からずうろたえる大姫。そんな大姫に女の子は思い切って顔を上げると、精一杯の笑顔を見せた。
「あ、あの……ありがとう」
(……!)
 女の子は、洞窟で大姫が刹那の攻撃からかばった子だった。まさかお礼を言われるとは思ってもみなかったので、どうして良いかと更にうろたえる大姫。だが、女の子の笑顔を見て、おそるおそる頭を撫でてみた。女の子は嫌がる事はせず、それを受け入れている。
「……気にするでない。わらわは当然の事をしたまでじゃ。……娘よ、元気で暮らすのじゃぞ」
「うん!」
 女の子が大姫へと抱き付く。その時の笑顔は大姫の心にしっかりと焼きついたのだった。
 
 
 それから馬車は無事にシンクへと辿り着き、子供達は長い旅路を終え、両親の下へと帰ってきた。
 今は完全に襲撃の恐怖は子供達から消え去り、それぞれの家で空京での思い出話に花を咲かせている。
 陽が落ちてすっかり暗くなった村の入り口で、透矢と花梨は火村加夜達と話していた。
「やっと終わりましたね……。無事に終わって良かったです」
「本当ですよ〜。花梨ちゃんが子供達と一緒に襲われてるって聞いて凄く驚いたんですから」
「うん、ごめんね、加夜ちゃん。でも加夜ちゃん達が透矢さんを助けてくれて本当に助かったわ」
「そうだな。最初に三人が助けてくれて、それで皆がそれに加わってくれたんだ。……三人には何回お礼を言っても足りないな」
 花梨の言葉に透矢が同意する。それを聞いて西表アリカは照れるばかりだった。
「もう〜、花梨さんも透矢さんもさっきからそればっかりだよ。ボク達はただ友達が困ってたから助けただけだもん。ね、大吾」
「ああ。それにもし逆の立場だったらきっと君達も助けてくれただろ? だからお互い様さ」
「そう……だな。でも、子供達が無事に両親の下へ帰れたのは……やっぱり皆のお陰だ」
 透矢が子供達の家の明かりをどこか眩しそうに見る。その横顔を見て、無限大吾は思い切って聞いてみる事にした。
「なあ、透矢くん。もし答えづらい事だったら言わなくていいけど……。君達の両親は――」
 大吾がこの先を続けたものかと迷う。透矢は一度空を見上げ、そして花梨と顔を見合わせた。花梨は「大丈夫」とばかりに頷く。
「……そう、だな。別にどうしても秘密って訳じゃないし、三人には話してもいいか」
「うちは、色んな理由で両親を亡くして今の父に引き取られた……孤児の集まりなんです」
「だから俺と花梨、それから下の弟や妹達も皆、血が繋がっている訳じゃないんだ。そのせいかな……。あの子達はちゃんと両親達と幸せに暮らして欲しいって思うんだよな」
「透矢さん……」
 加夜が言葉に詰まる。その空気を払拭するように、透矢が明るい声で続けた。
「まぁ、あまり深く捉えないでくれ。今の時代、俺達みたいな境遇は珍しくないし、それに俺達はちゃんと『家族』として幸せにやってるからさ」
「そうか。……ありがとう、透矢くん。話してくれて」
 大吾が礼を言う。透矢はそれに頷きで返した。
「さて、それじゃあアリカ。俺達も帰るとしようか」
「そうだね。それじゃ、透矢さん、花梨さん。またね〜」
「はい、気をつけて帰って下さいね」
 花梨が大吾達に手を振る。アリカがそれに振り返しながら大吾の小型飛空艇に乗り込み、空へと飛んで行った。
「私も帰りますね。二人とも、お休みなさい」
「ああ。またな、加夜」
 続いて加夜も光る箒にまたがり、夜空へと軌跡を残しながら飛んで行った。
 
 
 二人だけが残され、村の入り口には静寂が訪れた。
「……今日は色々あったな」
「そうですね。空京でも色々ありましたけど、今日はそれ以上だった気がします」
「そうか、そっちの話も聞かせてもらわないとな」
「ふふ、それじゃあ家でゆっくりとお話しましょうか」
「ああ……帰ろうか。俺達の家に」
 二人が兄弟達の待つ家へと帰って行く。この日、シンクの家々では遅くまで、家族達の笑い声が響いたのだった――
 

担当マスターより

▼担当マスター

風間 皇介

▼マスターコメント

 初めまして。風間 皇介です。
 自分が担当する初のシナリオとなりましたが、いかがだったでしょうか?
 まさか初回から100人超えのシナリオを担当する事になるとは思わず、嬉しい悲鳴をあげ続けながら執筆しました。
 期日までに仕上がってかなりほっとしています。
 皆さんの活躍のお陰で、無事に子供達は笑顔で旅を終える事が出来ました。有難うございます。
 ……といいますか、むしろオーバーキル状態で各プレイヤーの活躍場所を搾り出す事の方が大変だった気がしますね。えぇ。
 ともあれ、参加された皆さんにとって良かったと思えるシナリオである事を祈りつつ、お届けしました。
 そして今回参加されなかった皆さんも、これを見て次回は参加してみようかなと思って頂けたら幸いです。
 
 それでは今回はこの辺で。次回また、篁ファミリーの冒険にお付き合い下さい。

 ※12月22日 一部修正を加え、リアクションを再提出しました。