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救助隊出動! ~子供達を救え~

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救助隊出動! ~子供達を救え~

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第2章「空からの探索」
 
 
「千歳、見えました。あちらに馬車がありますわ」
 篁花梨達がいると思われる森の上空。小型飛空艇で捜索をしていたイルマ・レスト(いるま・れすと)が操縦者の朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)に促す。千歳がその方向を見ると、確かに馬車の幌と思われる白い色が見えた。
「確認した。近くにいる仲間は?」
「えぇと……あちらに見えますね。確か御凪さんとおっしゃいましたか。何人かの方と一緒にいらっしゃるようですわ」
「よし、なら彼らを呼んで着陸するとしよう」
 そう言って小型飛空艇の進路を変える。1分後、千歳とイルマ、そして近くで捜索していたメンバーは馬車の前に降り立っていた。
「これは……車輪が完全に破損していますね。軸にも損傷が見られますし、少なくともここで修理して再び使うというのは無理だと思いますわ」
 テクノクラートであるイルマが馬車の状態を分析する。それを受けて沢渡 真言(さわたり・まこと)が言葉を続けた。
「では、当初の予定通り子供達を街道まで連れて行く必要がありますね。まずは子供達が隠れている場所を捜す必要がありますか」
「そうですね。しかしそうなるとこの馬車はどうしたものか……。このままだと他のメンバーが見つける事よりも、ならず者達に見つかってしまうリスクの方が高いですね」
「それなら私に任せて下さいっ♪ アリス、やりますよっ」
「はい〜」
 御凪真人の懸念に葉月 可憐(はづき・かれん)アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)が答えた。二人は素早く馬車の偽装を施し、傍目には周囲の木々の生い茂る風景と見分けがつかないようにしてみせた。
「さすがに近くまで寄られたらバレると思いますけど、これでしばらくは大丈夫だと思います♪」
「凄いな−。轍の跡も消してあるし、確かに遠くからなら見つけられないんじゃないかな」
 四谷大助や感心したように頷く。
「でもここまできちんと隠すとまだ上にいる人達の手がかりが無くなっちゃうね。それはどうしようか?」
「なら、俺達が連絡役に回らせてもらおうか」
 そう言って天城 一輝(あまぎ・いっき)が自分の小型飛空艇に再び乗り込む。
「こっちにプッロを置いて俺だけ上に上がっとくぜ。他の奴らが近くを通ったらそっちに送るし、敵が見えたらプッロに連絡を入れる。それでいいだろ?」
「分かった。上は一輝君に任せるよ。プッロさんもよろしく」
 大助がユリウス プッロ(ゆりうす・ぷっろ)を見る。プッロはそれに対し、しっかりと頷いた。
「うむ、大助よ。我がお主らを支援しよう」
「そんじゃ、また後でな!」
 一輝が小型飛空艇で上空へと飛んでいく。それと入れ違うようにして、森の中から橘 恭司(たちばな・きょうじ)が姿を現した。それに気付いた真人が声をかける。
「恭司さん。来てくれたんですね」
「よう。キミから連絡を受けてすぐに森に入ったんだがな。やっぱり空からの方が早かったか」
 どうやら真人が出発の前に応援を頼んだ人物らしかった。たまたま森の近くまで来ていた為に一足先にここまで来られたらしい。
「細かい事情は後で聞くとしてだ。これからはどうするつもりなんだ?」
「馬車の隠蔽と連絡手段の確保は出来たので、次は子供達の隠れている場所を捜す事ですね。多分この近くにある洞窟に隠れているはずですが……」
「なるほどな、それじゃ俺がやってみるか。皆、少し静かにしててくれよ」
 そう言って恭司が超感覚を発動した。犬の耳と尻尾が生え、聴力が強化される。程なくして手がかりと思える音が聞こえてきた。
「……向こう、だな。あっちの方から子供の泣く声が聞こえるぜ」
「分かりました。それじゃあ、行きましょう」
 
 
 恭司の先導で歩く事しばし。やや視界が開けた先に、子供達が隠れていると思われる洞窟があった。
「あそこだな。あの中から子供達の声が聞こえる」
 洞窟に近づくと、中から杖状の光条兵器を持った少女が姿を現した。最初は油断なくこちらを見渡していたが、真人の姿を見つけるとその警戒を解いた。
「真人さん!? それじゃあ、もしかして……」
「お久しぶりです、花梨さん。透矢さんから連絡が行ってると思いますが、君達を助けに来ました」
「良かった……。またあの人達が来たらどうしようかと思ってました」
 花梨がほっと息をつく。そして後ろの洞窟の中、子供達が隠れているであろう奥の方を見つめた。
「子供達も不安でたまらなかったみたいで……。これで少しは安心させてあげられそうです」
「それならここは詩穂の出番ですね☆」
 そう言って騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が、前へと出る。そして手荷物からチョコやバナナなど、色々なお菓子を取り出した。
「皆様を幸せにする魔法少女、騎沙良詩穂がこの材料を使って新しい虹色スイーツを作っちゃいます♪」
「……魔法少女って関係あるんですか〜?」
 アリスがもっともな疑問を口にする。
「細かい事は気にしちゃいけません! そこに皆様の笑顔があれば、理由なんてどうでもいいのです! それでは一足お先にっ☆」
 アリスの疑問を華麗にスルーして、詩穂が洞窟の中へと入っていった。
 子供達の相手はひとまず詩穂に任せ、花梨達は洞窟の前に座ってこれからの事を相談する。
「さて、無事に花梨さん達は見つかりましたが、こちらへ向かっている透矢さん達や馬車を守っている牙竜達からはならず者に遭遇したとの連絡は来ていません。もちろん森の中だから繋がらないという可能性もあるでしょうが、透矢さんから花梨さんへ連絡が来ていない以上、いつどこで戦闘になってもおかしくない状況と言えるでしょう」
「そうなると、子供達を連れての移動は危険ですねぇ。透矢さん達の到着を待ってから移動をした方がいいと思います」
 真人の状況説明を受け、ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)が意見を出す。それに反対する者は誰もいなかった。方針を受け、イルマが立ち上がる。
「それでは、こちらの護衛は皆様にお任せして、私は透矢さん達の所まで行ってあちらの方々を案内してきますわ」
「待てイルマ、一人では危険だぞ。それなら私も――」
「いいえ千歳。あなたにはこちらに残ってもらわないといけませんわ」
 そう言ってイルマが銃型HCを取り出す。同じものを千歳も持っている為、データリンクでお互いのマッピングデータを融通させようという算段だった。その意図を理解した千歳は黙り込むしかなかった。代わりに長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が名乗り出る。
「だが、千歳さんの言う事ももっともです。俺が飛空艇に乗せていきましょう。ミーナ、お前はここで子供達を護っていてくれ」
「えぇ、分かりました淳二。その代わり、早く透矢さん達を連れてきて下さいね」
「ふむ……念の為、もう一人ついて行った方が良さそうですね。……隆寛さん」
「分かっていますとも。私が同行いたしましょう」
 真言の言葉で沢渡 隆寛(さわたり・りゅうかん)も立ち上がる。彼が乗ってきた小型飛空艇ヘリファルテは一人乗りであるものの、軽量化により高速移動が可能となっている為に護衛には最適と言えた。
「それじゃあよろしくお願いします。私はこの事を透矢さんに知らせておきますね」
 花梨が携帯電話を取り出す。だが、それを淳二が止めた。
「大丈夫。もう連絡は行ってますよ。……ほら」
 淳二の視線の先ではゼラ・バルディッシュ(ぜら・ばるでぃっしゅ)が精神を集中させていた。どうやら透矢に同行しているパートナーと精神感応で会話をしているらしい。しばらくして、会話を終えたゼラがこちらへと向き直る。
「おう! バッチリ兄貴に伝えておいたぜ! 淳二達が早く来るのを待ってるってよ」
「そうか、なら急がないといけないな。イルマさん、行きましょう」
「はい、お願いいたしますわ」
 淳二とイルマの乗った小型飛空艇が飛び立ち、隆寛のヘリファルテがそれに追従する。彼らを見送った後、大助が皆へと振り返った。
「それじゃあオレ達は子供達の相手と、ならず者達に見つかった時に備えて迎撃の準備かな?」
「うむ、それがよかろう。一輝を見つけて降りて来る者がいれば、我が状況を伝えておく故」
「頼みます、プッロさん。それじゃあ皆、行動開始です」
 真人の言葉でその場にいた全員が再び動き出す。大助や恭司などは地形の確認に向かい、ゼラや千歳、花梨達は子供達の相手をしに洞窟へと入っていった。
「へへっ、それじゃあオレもガキどもの相手でもしてやるとすっかな〜」
「私に子供の相手が務まるだろうか……」
「大丈夫ですよ。さぁ、行きましょう」