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【怪盗VS探偵】煌めく船上のマジックナイト

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【怪盗VS探偵】煌めく船上のマジックナイト

リアクション

 火焔達はアシッドミストが晴れると、ワイバーンの姿がない事に気が付き、慌てて、会場出口に走った。
「わわっ!」
「……言ったよね……食事の……邪魔したら……めっ……って……綺麗な氷像に……してあげる……♪」
 火焔は急いでいたあまり、周りが見えず、白の料理が乗ったお皿を落としてしまったのだ。
 ニッコリ笑っている顔が怖い。
 白は何のためらいもなく氷術を火焔に向けて放った。
 しかし、当たったのは近くを通った青太の方だった。
 ドジっ子ここに極まれり。
「とにかく! 青太を持って、逃げるわよ!」
 蝶子は青太の氷像を抱え、火焔よりも先に会場を出た。


 外で待っていたのは――
「待ちくたびれたぜ! リリィ、変身アイテムを!」
 なんと、乗船する事が出来なかった牙竜とリリィが借りたボートで無理矢理、乗船してきていたのだ。
「あれ? 牙竜、魔鎧(ケンリュウガーの衣装)持ってこなかったの? しょうがないなぁ、はい。別の変身アイテムの携帯電話。最近はこれで変身するのがお約束」
「すまないな、返信! じゃなかった……変身!」
(しめしめ、魔法の携帯電話を渡したのよね。最近、私はほったらかしだったから久々に冥土漢になって暴れてきてねー!)
 リリィの思惑通り、牙竜は冥土漢へと変身を遂げた。
「グハハハハハ、冥土漢改め魔砲少女アームストロング冥土漢。参上!」
 緑の髪を振り乱し不気味な威圧感を漂わせて、目は暗闇に光り夜空に紅い粒子を散布して、バーストダッシュを使って宙に浮いている。
 かなり異様な光景だ。
 思わず、蝶子や火焔達の足も止まってしまった。
「ん? 確か……専属の冥土漢だよね?」
「有給申請してきたわ! 冥土漢に抜かりなし!」
 美羽の疑問を、華麗に解消した。
「そこのホルスタインタレ乳娘! 我の目の黒いうちは盗みはさせぬぞ!」
「失礼ね、どこが垂れてるっていうのよ」
 さすがに聞き捨てならない言葉を言われ、固まっていたのが回復したらしい。
「夜の暗闇に紛れて逃げることは出来ぬぞ【ダークビジョン】でしっかりと貴様の胸の内側のほくろの位置まで見えてるからな」
「あら……じゃあ、背中のほくろも数えてもらえるかしら? 自分じゃ見えないのよね」
「お安い御用だ! ふむふむ……7つあるぞ!」
「あら、ありがとう……って、ちょっとニュアンスが違うのよね。空気を読んで欲しいわ」
「グハハハハハ! 冥土漢にそんなもの必要なし!」
 蝶子のお色気はまったく効かない。
「……あれ? なんか、痺れてる?」
 リリィの言うとおり、怪盗、探偵問わず、皆痺れてきている。
「計算なんぞしてないからな! 先ほどから散布してる紅い粒子は【しびれ粉】だ!」
「バカー!」
 リリィはなんとか動ける体を無理矢理動かし、ヘキサハンマーをぶん投げて、牙竜の頭に直撃させた。
「ぶくぶくぶく……」
 船の外へと飛び出し、牙竜は海へと消えて行ったのだった。