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【怪盗VS探偵】煌めく船上のマジックナイト

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【怪盗VS探偵】煌めく船上のマジックナイト

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■沈みゆく船


「どうしたというんでしょうか?」
 そして、その直後、船が突然動きを止めた。
 いち早く気づいたのは火焔だ。
 突如!
 大きな爆発が機関室から起こった。
 その爆発を皮切りに船のあちこちで爆発が起こり、あっという間に船は沈んでしまった。
 パニックの中、なんとか船に設置してあった脱出艇で全員脱出することが出来た。
 率先して誘導してくれたのは珠樹だという。
 そして、いつの間にか、怪盗側のメンツは消えていた。


「橙歌くん……大丈夫ですか?」
「何、人の心配してやがる……ですの。怪盗にまた逃げられ、クズ探偵が決定したというのに……ですの」
 脱出艇に乗った火焔と橙歌だが、橙歌の顔色は蒼白だ。
「そんなことより……!」
「探偵になるって決めやがったんでしょう? それなのに、この事態をそんな事呼ばわりすんな……ですの」
「橙歌も探偵と同じくらい大事なんですよ?」
「……」
 火焔の言葉には返事をせず、ただ黙って目を閉じ、蹲ってしまった。


 岸では、もう着いた怪盗達がいた。
「いっつ……」
「大丈夫か!? ちょっと見せてみぃ! なんやこれくらいならこれで治るわ」
 脱出艇が一緒だった社が蝶子の怪我している手を取ると、アリスキッスで治療をした。
「ありがとう……そうね……うん、社さん」
「な、なんや!?」
 何か嫌な予感がして身構える。
「あなた、うちにいらっしゃい。青太と同じ扱いをしてあげるわ」
「いやいやいや!」
「遠慮しなくて良いのよ?」
「ほな、これでー!」
「いつでも来て良いからねー!」
 逃げ帰る社の背中に蝶子はそう叫んだのだった。
「それにしても……なんで沈んじゃったんだろう?」
 青太は首を捻った。


ーーーーーーーーーーーー


 ヴァイシャリーのラナ・リゼットの自宅前。
 そこにレッサーワイバーンは無事に到着していた。
「エスコートはここまでにしておくね」
 正悟はワイバーンから美緒を下ろすと、そう告げた。
「送って下さり、ありがとうございました。とてもスリリングで楽しいパーティーでした。またエスコートしてくださいね」
 美緒に見送られ、正悟は自分の家へと帰っていったのだった。