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「あーあ、やっぱりね……」
 モニターを見ながらアテフェフがつぶやいた。
 モニターには『侵入者あり』と警告表示がされている。
「何人か寝てないみたいだからもしや……と思ったけれど、結構早かったわね」
 そう言いながら彼女は部屋の中にある機器のいくつかを破壊している。
「あー、コレ高いのよねぇ、でも足がつくよりはマシかぁ……」
 もったいないオバケに呪われるな、などと思いながらも容赦なく破壊する。
 自分が関わった証拠は一切残すわけにはいかないのだ。

「さて、ずらかるとしますか……ぐっばぁい☆」
 モニター上に移る雇い主に別れを告げ、部屋を抜け出すと、そのまま裏口へ……
 裏口の扉に手をかけ……固まった。
「な、なんでかな……外から危険を感じるよ……」
 全身から冷や汗が噴出す。
 この先は危険と、彼女の直感が全力で告げているのだ、躊躇わざるを得ない。
 しかし、この場に留まるのも危険だった。

「舞、こっちよ、誰か居るわ!」
「ブリジット、気をつけて」
 通路の先から声がする、おそらく侵入者だろう。
「大丈夫、怪しい奴は先手必勝で叩き潰すわ!」

 ……なんか物騒な事を言っている。

「妙な予感より、今目の前の危機よ!」
 ここに居る方が危険度が上と判断したアテフェフは覚悟を決め、扉を開ける……その直後。
「!!」
 アテフェフの喉元に突きつけられる二本の剣。
 ちょうど裏口から突入しようとしていたルカルカ達だった。
「ちょ、ちょっと! いきなりなにすんのよ!」
「その風体……朔、この女か?」
 アテフェフの姿を見たダリルが後ろに控えている朔を呼ぶ。
「え゛……さ、朔!」
「アテフェ……ああ、人違いでした、そんな犯罪者知りません」
「ちょ、朔ってば、お願い、助けてぇ〜」
「甘えた声を出してもダメだ」
 なんとか朔に助けてもらおうとするアテフェフに朔は厳しく言い放つ。
「うぅ、そんなぁ……
 あ、そうだ、朔は奴らを捕まえに来たんでしょ? あたし、証拠とか隠してある場所知ってるよ! だから助けてよ、ね、ね?」
「はぁ……しょうがない、今回は多めに見てやるか……放してやってもらえますか?」
「うん、わかった」
「おい、そいつのいう事を信用して良いのか?」
 あっさりと剣を収めるルカルカ、ダリルは不満げだ。
「この子は私にだけは嘘つきませんから……信用して良いと思います」
「朔……」
 きっぱりと言い切る朔にアテフェフが涙を滲ませる……
「ほら、証拠はどこ?」
「あ、うん、こっちよ、こっち……」
 と、きびすを返したアテフェフ、そこに……
「逃がさないわ、覚悟なさい!」
 ……ブリジットの放った一撃が炸裂した。
「むきゅぅ……」
 目をまわして倒れるアテフェフ。
「ふふ、犯人確保よ! ……って、あれ?」
 ここでようやくルカルカ達に気付くブリジットだった。