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【怪盗VS探偵】昼に瞬く2つの月

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【怪盗VS探偵】昼に瞬く2つの月

リアクション


ーちょっと一休みー



 守るべきルンルンと合流してから、すぐに橙歌達が向かったのは……イルミンスールの大浴場だ。
「その……せっかくですし……入って行きませんか?」
 というベアトリーチェの提案に橙歌や他の人も頷いたのだった。
 勿論、男性陣は更衣室の外で待機だ。
 密林をイメージしたジャングル風呂は温泉に生える特殊なマングローブが生い茂っていた。
 さすがに動物達までは放たれていないが、マングローブがあるだけでかなり雰囲気は出ている。
「はぁ……気持ち良い〜! ね、ツッコミ助手ちゃん♪」
「そのあだ名は微妙すぎる……ですの」
「そう? 結構、的を射てると思うんだけどなぁ?」
「……」
 美羽はタオルを巻いたまま、湯船に浸かっている。
 下には水着も着用しているのだが、パッと見はそうとはわからない。
「橙歌さん、何か手伝えることはありますか?」
「お気づかいどうも……ですの。でも大丈夫……ですの。ただのお風呂ですから」
 ベアトリーチェが気遣って、橙歌に声を掛けたが、全く気にしていない様子で、橙歌は普通に水着でお風呂へと入って行った。
 水着はフリルをふんだんに使った真っ白なビキニだ。
「あの……水が苦手だとお聞きしたのですが……?」
「水が苦手なわけじゃない……ですの」
 ベアトリーチェが不思議そうに聞き返すと、橙歌はたんたんと返した。
「そういえば、あんたは船の上で顔が真っ青だったよな」
 ルンルンを守る目的で一緒に入浴しているメイコ・雷動(めいこ・らいどう)が前回の船での事を思い出し、そう口にした。
「…………海が苦手……ですの」
「そうだったのか!? なのに船なんてよく乗ったな。火焔が無理矢理乗せたのか?」
「火焔様はむしろ止めてくれた……ですの。でも、橙歌は火焔様の助手……ですの。一緒に行かなければ助手じゃない……ですの」
「そうか……」
 メイコはよしよしと橙歌の頭を撫でる。
「橙歌は子供じゃない……ですの」
「わかってるよ」
 あまりそういう事に慣れていないからか、橙歌は無表情のまま顔を赤くしてしまった。
「なんだか色々あるんですねぇ」
 隣でルンルンの尻尾の毛をもふもふしていた咲夜 由宇(さくや・ゆう)が会話に加わる。
 水着を着て入っているルンルンは毛をもふもふされてご満悦のようだ。
(ルンルンくんのしっぽの毛に幸運を呼ぶ効力があったなんて、全然気付かなかったですぅ〜。抜け毛とかでも良いんでしょうか? それとも抜かないと? ……一本くらい貰っても……)
 由宇はごくりと喉を鳴らす。
(いえいえダメですぅ! 色んな怪盗さんに狙われて、ふさふさじゃなくなったら嫌ですぅ!)
「ねえ、橙歌さんはどうして海が苦手なの?」
 ふさふさの毛に触られながらルンルンが質問する。
「…………海は……捨てられた場所だから……ですの」
 それ以上はいくら質問しても教えてくれる気配がない。
 もっと仲良くなれば別かもしれないが……。
 そんなやりとりをひっそりと聞いている者がいた。
(ふ〜ん……まあ、今のところはどうでも良い情報よね〜)
 紫の長い髪を1つにまとめ、湯船には2つの大きな山が浮かんでいるかのような胸が見える。
 他にも色々な人が入浴しているので、紫の髪の人物が入っていても、まったく違和感なく融け込めてしまっているようだ。
 なんとなく会話が終了すると、皆は着替える為に更衣室へと向かっていったのだった。
(さっき仕掛けておいたものは……うまくいってくれると良いが……)
 更衣室に向かいならが、メイコはそんな事を考えていた。