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春一番!

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攻防
 

 白波 理沙(しらなみ・りさ)が、パンダ隊を引き連れてシズルとおサエの元にやってきた。

「乙女の敵はパンダ隊の敵! パンダ隊隊長、白波理沙参上っ!!!
 乙女の敵は私が許さない!!
 スカートめくりなんて私が阻止してみせるわ」

理沙のパートナー、チェルシー・ニール(ちぇるしー・にーる)も言う。

「わたくしは優しいですから、メクリパワー使ってないならセーフですわ。
 頭の中だけの妄想でしたら許しましょう、なんといってもわたくしは優しいですから。
 大事な事なので2回申しましたわ」

広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)が、

「女の子のスカートを覗いて、恥ずかしい目にあわせようとするなんて、許せませんですー!!
 パンダ隊副隊長・広瀬ファイリアがこの事態を収めるのですっ!!」

ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)と、ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)も一緒だ。ウィノナが手をぽんと叩いて言った。

「そうだ、囮作戦がいいですよ!! 犯人を釣ることができるし、他の子を守る事が出来るから!
 と、言うわけでウィル、お願い! キミなら出来る!」

「……え? 他の子を守るために、あえて囮に? えー!?
 いえ、女性を守るのは騎士の務め、しっかり任務を果たさねば……」

そこへ秋葉 つかさ(あきば・つかさ)がひょっこり現れた。ファイリアが叫ぶ。

「……あ!女子のぞき部部長のつかさちゃんですっ!? 
 加能シズルちゃんの所に! ……さては、シズルちゃんのスカートめくりをする気ですね!!」

つかさが肩をすくめた。

「普段であればこういう場合は『女子のぞき部』部長としては見るほうにまわるのですが……
 未来ののぞき部員(予定)の加能シズル様、部長として部員(予定)は護りませんとね」

シズルが目を見張った。

「ちょ、ちょっとなにを勝手に……」

蝕装帯 バイアセート(しょくそうたい・ばいあせーと)の声が、つかさのスカートのあたりから聞こえてくる。

「つかさは捲りやすいぞ?
 だが捲っても見えるのは俺だ。俺は今回は基本的には魔鎧状態だからなっ
 ……弄っている報酬代わりだ、押さえるのには協力してやる」

 同じくパンダ部隊の霧雨 透乃(きりさめ・とうの)は、さきほどカフェから街路のほうへ出てきたメクリの方から、パワーを貰っていたのだった。

「同じパンダ隊としてがんばるよ。襲撃者はきっとメクリパワーを使っている間は無防備になると思うの。
 だからウィルちゃんがめくられている間に、めくっている相手をめくってしまおう」

緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が柳眉をしかめてこぼした。

「私はこういういたずらは絶対にいけないと思います。
 ……人のいないところで透乃ちゃんにされるならいいですが」

月美 芽美(つきみ・めいみ)は一人沈黙していた。

(正直私は誰がめくられようがどうでもいいわ。私も自分自身を守る気はないし。
 めくられた人の反応を撮影する法が楽しそうだしね。
 ……ところでめくる人を誰かイメージで特定してない? 男だったらどうするつもりなのかしら)

陽子は言った。

「あの。 ……抑えるほうに回ったほうがよいのではと思うのですけど……」

「守りが堅いほどめくった時の達成感が凄いから、こっちがめくったほうがダメージが大きいのよ」

芽美がせっかくの撮影を邪魔されてたまるものか、と、反対案を出す。透乃はうんうん、とうなずく。

「そうだそうだー。やられる側の立場を味わせてやれー!」

「……そ、そうですか?」

ニアリー・ライプニッツ(にありー・らいぷにっつ)はそんな面々から離れた場所で、一人つぶやいていた。

「こんなことで騒げるなんて、平和というか何と言うか……
 巻き添えにされるより、傍観しておいたほうが面白そうですね。
 ちょっと離れて様子を見るとしましょう」

「なんだか騒動が広がってるね」

シズルが言った。

「でも、皆さん協力してくれて、よかったです」

おサエがにっこりする。が、その表情には疲労の色があった。

「おサエちゃん、大丈夫?」

「うん、パワーをみんな分けちゃったから、あたしは力がもうなくなっちゃっただけ」

「そっか。少し座ってたほうがいいかもね」

そこへメクリが姿を現した。

「あ、メクリ君……」

だが、おサエが何か言う前に、七刀 切(しちとう・きり)が現れた。

「スカートめくりってのはそんな力に頼ってやるものじゃない!
北風の精霊、本当のスカートめくりってのを教えてやる!」

そして、目を見張って棒立ちのウィルヘルミーナに向き直った。

「メクリっていったかぃ? そんな力に頼ってたんじゃまだまだ!!
 ……見てな、これが本当のスカートめくりってやつだぜぃ」

そう言うなり七刀は瞬時に封印解凍で力を引き出し、超感覚でウィルヘルミーナ一気に接近し、計算されつくした角度と力加減でスカートをめくり上げた。ニアリーは一人街路樹の影でナレーションをはじめた。

「あ。ウィル様のスカートの中が丸見えです。さあ、今後どうなるのでしょうか。」

「……あれ? 風が? ……え??? 
 ……きゃーっ!? み、見ないで下さいーっ!?」

ウィルヘルミーナが悲鳴を上げる。すばやい動きに、誰も凍りついたように動けなかった。余波ですぐ傍にいたファイリアとウィノナのスカートも舞い上がる。つかさはしっかり二人の下着を目に焼き付けた。すかさず芽美はデジカメで気づかれないように盗撮し、

(撮ったものは…やっぱり顔を隠してネットに流すのが面白いかしらねえ)

などと考えていた。

「あら……いい眺めですこと」

「……俺には見えねーよ」

にやりと笑うつかさに、こぼすバイアセート。ファイリアが突っ込みを入れる。

「ちょっと秋葉さん! 思いっきり覗いているじゃないですか〜!?
 守ろうとしていたのはシズルちゃんだけだったのですー!?」

つかさは七刀に向かって言った。

「……決まってるじゃないの。
 シズル様をメクルなら私をメクリなさい。
 シズル様は大切な部員(予定)どんな視線からも護って見せます」

ニアリーが手にしたキャンデーをマイク代わりに言う。

「ファイリア様、ウィノナ様。私、陰ながら精一杯応援しております。頑張ってください」

透乃が呆然と、

「あれ? めくってるの、秋葉さんじゃないや……」

理沙がにっこりと笑い、七刀に向かって甘い声を出した。

「……そんな悪戯をしたんだから、それなりの覚悟はしてるんでしょうねぇ?」

チェルシーも艶然と微笑んだ。

「二度とそんな発想が思いつかないようにお仕置きしてあげないといけませんわね?
 さぁ、フルボッコにしでさしあげますわよ〜」

「え、あ、いやあ、軽いイタズラでしょう。ははははは」

七刀はじりじりと後ずさる。背後で鬼のような表情のウィノナとファイリアが喚く。

「スカートのぞきは成敗ですっ!!!」

「のぞきはゆるしませんですーっ!!」

「うわあああああああーーーー……」

七刀の悲鳴が響き渡った。透乃はにっこりと笑った。

「それではお約束、ということでー。星になってください」

透乃と、陽子、芽美がスキル、メクリパワー、すべての力を解き放って、七刀を空のかなたに吹き飛ばしたのであった。