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WahnsinnigWelt…全てを求め永遠を欲する

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第3章 その身を屈辱に沈められし過去

「不老不死なる方法があるなんて・・・。研究者としてぜひ知りたいわね」
 きっといい研究材料になるわ、とアテフェフ・アル・カイユーム(あてふぇふ・あるかいゆーむ)はニヤニヤが止まらない。
「(はぁ・・・そんなもののどこがいいんだか)」
 鬼崎 朔(きざき・さく)の方は興味がなく、彼女の目付け役として来ただけだ。
「って、アテフェフ・・・?逸れてしまったのか!?―・・・困ったな、合流できればいいが」
 草むらをかきわけて探してみるが見つけられなかった。
「どこかで暴走してなきゃいいけどな。幻影へ引き込む香りもしてきたな・・・。一刻も早く見つけないと」
 精神感応で彼女に話しかけようとしたその瞬間・・・。
「―・・・悲鳴?」
 テレパシーを送るのを止め、聞き覚えのある声音に耳を澄ます。
「やめて、いやっ。やだぁあ!!」
「あの木の向こうか。(―・・・何だかこの感じ・・・。前にもあったような気が・・・)」
 尋常じゃない悲鳴と知った声に、そこへ行ってはいけないと心が警告するものの、何かに引っ張られるように走る。
「おい、お前ら!そこで何を・・・。―・・・!?」
 鏖殺寺院の者の向こう側の信じられない光景に、朔は思わず言葉を失ってしまう。
「(あれは・・・私。昔の私だ・・・)」
 そこには刺青を入れられ、強姦されて汚された幼い頃の自分の姿を見てしまったからだ。
 “殺してやる”と小さく呟いたとたん、心を荒んだ復讐で満たし、独りで膾に叩く。
 ビシャッ。
 幻影の血肉が汚らしく木々に張りつく。
 “こんなことがなければ、私は幸せに暮らしていたはず・・・”だと、小さな声音で言い憎々しげに臓物を踏み潰す。
 私を汚したこの者たちと理不尽な世の中が憎くてたまらない。
 こんなにも私は恐ろしい目に遭ったというに、何事もなく幸せに暮らしているヤツらが恨めしい。
 逆恨みのような妬み。
 負の感情に心も身体も囚われてしまう。
「そうだ・・・私はこうして、復讐鬼に成り果てていったんだ」
 スラム街での荒れてた自分が現れ、血みどろの両手を見せつける。
「私は壊れた復讐鬼となった、内なる私自身」
 変貌していった自分自身が、幻影となって彼女の目の前に佇む。
「これが本当の・・・、今の私自身だ」
「違う・・・私には護る者がいる。それだけで生きているわけじゃない・・・」
 何度闇を受け入れ、清濁併せ持とうとしてきた。
 復讐のためなら全て殺すと闇に沈んだ彼女を、どこか受け入れきれない。
「ライトブリンガーを避けただと・・・?」
「私は内なる存在なのだから・・・、それくらい行動予測で読める」
「だったら歴戦の武術で・・・!」
 ズパァアッ。
 互いに行動予測をして脇腹を斬りつける。
 鏡を見ているかのように、ほとんど同じ行動パターンで動いている。
「避けているだけでは、持久戦になったら明らかにこっちが不利だ・・・」
 ここはアテフェフと精神感応で位置を知らせ合って逃げるべきか・・・・・・。
「(・・・今度こそ、彼女を受け入れたいのに・・・!)」
 しかしここで逃げたら、彼女を否定してしまうのではと、傷口を片手で抑えて受け入れる方法を考える。
 その頃、アテフェフは逸れた朔と精神感応で会話しようとしている。
「どこにいるのかしら、私の朔・・・。―・・・あら、鏖殺寺院のヤツらに囲まれているのって昔の私ね」
 あれがトラウマの幻影かと、朔と同じような目に遭わされている少女を見ても、フンッと笑い飛ばす。
「もっと奥深くまで蝕もうとしないと、私に精神ダメージはないわ」
 今の私は全てを朔に捧げているから、昔の私がどうなろうとどうだっていい。
 所詮は幻影・・・。
 今に影響はないのだから。
「その少女ごと、消えてなくなりなさい」
 火術を連発させて焼きつく。
 炎に身体を焼かれながら、鏖殺寺院の者の幻影がアテフェフの片手を掴む。
「熱っ、触らないでよ!」
 転経杖で頭部を砕き撲殺する。
「うーん・・・ちょっと焼けどしちゃったわね。まぁ、これくらいなら後で治療すれば平気ね。朔のためにSPを少しとっておかなきゃいけないし」
 精神感応を頼りに彼女を探し歩く。
「フフッ、待っててね、朔♪」
 早く来て欲しいと言われ、嬉しそうに彼女へ向かう。
「見つけたわ♪―・・・どうしたの、その傷!?朔をいじめるのは、朔の姿をしていても排除してあげる。ちょっともったいないけどね♪」
「やめてくれ、アテフェフ」
「え、どうして?」
「あれは消しちゃいけないんだ」
「―・・・とにかく治療するわ。早く止血しないとね」
「すまない・・・」
 私の傷はだんだんとアテフェフに癒されていくが、受け入れたいはずの心まで傷だらけの彼女を見据える。
 今受け入れなかったら、いつ受け入れることが出来るのだろうか、と・・・。



「―・・・うっ、うぅ。このままじゃ、ネットの動画に・・・」
 録画されたデータを消そうにも、磔にされているアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は身動きがとれない。
 泣き続けたせいで目はもう真っ赤だ。
「(汚いブタ女・・・こんなに汚されたら、まともに人として見られないわよね)」
 ザウメンシュ、その通りに人じゃなく道具にように、研究者たちに飼われていたトラウマを思い出す。
「いけない、思い出したら・・・っ」
 実態となった研究者の幻影に身体検査と称して、“へぇバストは84、ウエストは54かぁ、ヒップも84”、と舐めるように触れられチェックされる。
「契約者の女と普通の女って、どう違うんだろうな」
 声にならないほど彼らに陵辱される。
「―・・・検査は終わったんでしょ。だったら開放して・・・」
「休憩中はコイツがお前の相手だ」
「もう・・・・・・やめて・・・・・・もう、汚さないでぇ・・・・・・」
 休むことも許されず、機械によって責め立てられる。
「反抗する気か、実験体のくせに!」
「きゃあっ、許して・・・もう反抗しないから・・・」
 平手で殴られパシンッと頬が鳴る。
 ずっと立ち直れなかった抹消したい過去のトラウマに、絶望の谷底へ突き落とされる。



「弱ってる女なんて、どこにもいないじゃないか」
 弄ぶチャンスだと思い、森の中を探索しているレアル・アランダスター(れある・あらんだすたー)だったが、1人も見つけられない。
「ボクはあの女がいると面白いんだけどな」
 ティム・プレンティス(てぃむ・ぷれんてぃす)の方は十天君たちの行っている実験に興味があった。
 失敗に終わったけれど、ゴーストタウンで手伝ってくれた友人の頼みに断りきれず、彼に付き合って道案内をしてやっている。
「あいつ、アリアだったけ?別に恨みなんてないけど、体だけはイイ感じだったよな」
「森に入っていったらしいからな」
 レアルのターゲットの女、アリアを見つけたら弄んで復讐してやるためだ。
「今、悲鳴が聞こえなかったか?」
「早く見つけろ、ティム!」
「そう急かすなって。超感覚がないから分かりづらいな」
 声がする方を探そうと耳を澄ませる。
「こっちみたいだな。―・・・あの木に磔にされている女がいるぞ」
「よくやったレアル!あいつさえいりゃぁ、ぞんぶんに遊べそうだぜ」
 ティムが指差す方を目を凝らして見ると、そこにはターゲットの女が泣き疲れてぐったりしている。
「いいカッコしてんじゃねーか」
 アリアの腕を掴み、いやらしい目つきで彼女を舐めるように見る。
「あぁ〜、もう服がズタボロだな。せっかくゆっくり切り刻んでやろうと思ったのに」
 すでに服をボロボロに引き千切れているせいでティムは残念そうにため息をつく。
「テメーのせいで俺は大火傷だ。代償はその体で払ってもらうぜ」
「う・・・ぁあっ」
 火傷を見つけるレアルに頭をギリギリと掴まれ、アリアが呻き声を上げる。
「レアル、先にやらせてくれない?」
「案内の代金代わりにいいぜ」
「まずは体力を奪ってやろうか」
 アリアの首筋に噛みつき、吸精幻夜で奪いつくす。
「―・・・くぁっ。力が・・・抜けていく・・・・・・」
「泣き叫んだとしても、あんたなんか誰も助けに来ないしね」
 唇や胸・・・体中に喰らいつくように苦しめる。
「頼る者のいないあんたは、ここでボクらに遊ばれるしかないのさ」
 助けなんて絶対来ないと絶望に落とす言葉を投げつけ、下着姿の彼女を嘗め回すように眺める。
「おい、そろそろ俺にも貸してくれ」
「あぁいいよ。服なんて着ていないも同然だし。レアルに代わってやるよ」
「よし、今度はお前を俺が弄んでやる番だぜ」
 自分も楽しもうとアリアの下着を毟り取る。
「その火傷なんて・・・自動自得じゃないの・・・。どうして私ばかり狙うのよ」
「フンッ、愚問だな。そんなエロイ体、誘ってるようにしか見えないしな。ホント、いい体してやがるぜ」
「―・・・私がブタ女なら、あなたたちはブタ男ね!弱った相手を・・・んっ、こんな・・・マネをするなんて・・・あぁっ」
「今まで何度もヤられてんだろ?まだまだ平気だよな?」
 残る力で逃れようともがくアリアを陵辱する。
「これ以上・・・・・・汚されたくないのに・・・」
「もう抵抗する力なんて残っていねぇだろ」
「じゃあ、持ち帰って遊んでやろう」
 ぐったりしているアリアを、レアルと一緒に抱えて森から出て行った。