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【空京万博】海の家ライフ

リアクション公開中!

【空京万博】海の家ライフ
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リアクション

「はい、続いてはエントリーナンバー2! 秋月 葵(あきづき・あおい)さんの登場でーす!!」
 ジークフリートの紹介を受け、ふりふりのワンピース水着に身を包み、地面に着きそうなツインテールに大きな蒼いリボンの葵が登場する。
「こんにちはー!!」
「葵さん、またロリロリな可愛い水着ですよね。私、もうそんな水着着れないわ」
 幽那が羨む。
「ありがとう! でも幽那ちゃんも着てみたら似合うと思うよ?」
「いやいや、TPO無視の水着は寧ろ……」
 未散が突っ込みかけ、衿栖が慌ててそれを遮る。
「はいはい!! っと、えー……葵さんは、ご自身での参加ではなく、どなたかの推薦を受けたって聞きましたけど?」
「そうなの。黒子の策略で『ミス・セルシウス海水浴場コンテスト』に勝手にエントリーされたんだよ。まぁ、良いけどね。楽しいこと好きだし〜♪」
「その黒子さんは? 今、観客席にいるのかしら?」
 未散の足を踏んだ幽那が葵のマイクを向ける。
「うーん。どうなんだろう? いるのかなぁ?」
 その頃、パートナーの葵を勝手にエントリーした黒子、フォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)は、海の家にいた。
 白いチャイナ服姿の黒子は、そこでビールを飲みながらのんびりと読書中であった。
 本のページを捲りながら、コンテストが開かれている方向を見やる黒子。
「まったく主は泳げないのに海へ行きたがるし、騒がしくていかん!」
 そう呟き、ややぬるくなったビールを氷術でキンキンに冷やし、再び口をつける。
「主の事だから、きっと参加したがると思ってコンテストに申し込んでおいたぞ。我はココで応援するからさっさと行って楽しんでくるがよい!」と葵を見送った後は、応援などそっちのけで、黒子は読書を楽しんでいた。
 海の家で読書をしてくつろぐのもそれなりに楽しいらしい。
「のびたラーメンに、微妙に不味い食べ物……まぁ、冷えたビールがあれば文句はないがな」
 そう言いつつ、彼女はまたページを捲るのであった。

 そして、そんな葵はステージ上で文字通り変身していた。
 衿栖に特技か自己PRを求められた彼女は、
「えーと、特技の披露っと……歌かな」と言い、ステージの上で『光精の指輪』の眩い光と共に「変身!」と叫ぶ。
 眩い光に包まれる葵の体!! バッと水着がはじけ飛ぶ!!
「サングラスだ! サングラスはないのか!?」
「ええい!! 光などお兄さんには邪魔だー!!」

 ジークフリートとクドが叫ぶ中、マジックッステッキを持ち、リリカル魔法少女コスチュームに瞬時に着替え、魔法少女に変身した葵が、「いっくよぉ〜みんな〜! あたしの新曲『夏空のシューティングスター☆彡』を聞けぇ☆」と叫んで歌いだす。


蒼い空に煌く
シューティングスター☆彡
夢に向かって真っ直ぐ往くよ

たとえどんなに辛くても
諦めなければ、きっと乗り越えられるよ
真っ直ぐな君の夢に向かって
蒼い空に煌く
シューティングスター☆彡
夢に向かって
シューティングスター☆彡


 マジカルステッキをマイク代わりにした葵の【リリカルソング♪】や【マジカルステージ♪】の歌と踊りで魅了されていく観客達。
 葵もノリノリで観客を指さしたり、可愛くウインクしてそのボルテージを上げていく。
 歌う葵の背後には、アロハシャツを着た三匹のDSペンギン達がバックダンサーとして踊り、審査員席では飛び出そうとするクドを緋雨とセルシウスが抑えている。
「地下アイドル……いや、マイナー系もいいものだな」
 最前列にいたシンが呟くと、ラルがその肩を叩き、
「ふ……やっとわかったようだな」
「シン総統閣下。ラル大尉……あのお二人が仲良く鑑賞するライブ等初めてでゴザル」
 二人が仲良く肩を組んで応援する様を見たグッとジョニーが涙を堪える。

「何より、あの幼さがチャーミングだぜ」
「何? 小僧、貴様何と言った?」
「ラル? 俺はあの幼さが……」
「かーッ!! やはり貴様は小僧だな。どこを見ておる!!」
「違うと言うのか!?」
「見るべきは葵たんのペッタン胸一択だろう!! このロリめ!!」」

「ラル!! 貴様という男はッ! 裏切ったな!?」
 いつか、自分の好きなアイドルのために命を投げ出す覚悟であるシン。彼の夢は幼いアイドルを其の身を呈して守り、「ありがとう、お兄ちゃん……大好きだったよ」と言われて人生を終えるという、常人には理解し難い夢であった。
 ところが、ラルは「ペッタン胸こそ至高!!」と固くなに主張する。そこに持ち主の年齢は関係ない。余談だが、彼の内縁の妻はそこそこのサイズを持っており、「豊胸手術はあるが、減胸手術というのは無いだろうか?」と真剣に悩んだ時期もある。
「ロリとは違うのだよ! ロリとはッ!!」
「くっ……やはり俺達には戦いの運命しか待っていないようだな! ラル!!」
「ハッハッハ、そう焦るな……ライブが終わってからでもよいだろう?」
 一旦、ラルが休戦宣言をしたため、二人はまた並んで思い思いの応援を再開する。
「(一見、同じ穴のムジナでも、その根底まで行けば殴りあう悲しき宿命にあるのでゴザルな……)」
 ジョニーはそう考えつつ、今この瞳に溜まった涙を悔やむのであった。

 熱狂の葵のライブが終わった後、ジークフリートが声をかける。
「いやぁ、魅惑のボイスがコンテスト会場をジャックしましたねぇ…… さあ、かき氷を食って頭が痛かった所を緋雨さんに拉致られたという審査員のティファニーさん、 今の歌はどうだったでしょうか?」
「ワンダホーネ!! ベリーキュート!!」
と、グッと親指を立てるティファニー。
「バット……日本の文化はワビ・サビ・モエだと聞いていましたがー、チャンバラシーンが欲しかったデスネー!!」
「いや、魔法少女にチャンバラは……」
 未散が突っ込もうとすると、審査員のリューグナーが声をあげる。
「ボクが契約した子には剣士タイプの魔法少女がいたよ」
「え?」
「うん。残念ながら魔女になってしまった彼女の名はさや……
 衿栖が何かの危険を感じて、言葉を遮る。
「リューグナーさん! 過去の話より現在の審査をお願いします!!」
「そうだね……キミは立派な魔法少女になれると思うんだ。後はボクと契約してソウルジェ……
「続いて! 緋雨さん!!」
 衿栖が再びリューグナーの言葉を遮る。
「え……と」
 コホンと緋雨が咳払いをして、
「二つの衣装とも可愛さがあって良かったんじゃないでしょうか。ただ、変身前と変身後の衣装のコンセプトが同じというのが少し残念です。例えば、普段眼鏡をかけていたドジっ子が、それを外すと途端にクールで知性的になったりとか……変身によりギャップがあればもっと貴女の意外な一面が見れるし、その魅力も引き立つと思いますよ」
「それは、ほむ……
 再び口を開こうとしたリューグナーを、幽那の指示を受けたアルラウネ四体が飛びかかって抑える。
「……と、クド審査員等は大満足だったんじゃないでしょうかねぇ?」
 ジークフリートが慌ててクドに話を振る。
「お兄さんは残念です」
「え?」
「どうして変身シーンが光で包まれるのでしょうねぇ……ああ、後で電話番号を教えて頂きましょうか」
「……」
 そして、最後にセルシウスが「まぁ、アリなのではないか?」という評価を下した葵には審査員五名と観客席の評価で、3・3・3・5・3・4の計『21点』が与えられた。