リアクション
プロローグ
アイラは見つけた。スキュラの支配から抜けて唯の屍の山となってしまったその中から良く知る人物の顔を。アイラはただ兄だったものを抱きしめて泣いた。声もなく静かにないた。
「おかえりなさい」
スキュラは複雑な気持ちでそれを眺めていた。スキュラ自身人間をゾンビにして使役していた事は好きでやっていた事、そこに罪悪感は勿論なく人が食べ物を食べるように行っていた。
「私は今までの事をイケない事だったなんてこれっぽッちも、思えていないのよ。あなたの兄に対しても顔がよかったからゾンビとして使っていただけだし、これからもそれについて謝るなんて感情が生まれてくるか分からない。……生かしてよかったのかしら?」
アイラは涙を拭い応える。
「あなたが今悩んでいる。それだけでも未来は明るいわ」
スキュラは声もなく。ただ、アイラの目を見つめ返した。
「アイラが……生かした。お前はこれから人間として……罪を償って、いくのよ」
「すぐ逃げだしてあげるわ」
スキュラは悪態を吐くがアイラの姿がどうしても目から離せなかった。
「みなさん帰りますよ」
イングリッドがそう告げると帆船は来た道を辿り出発地を目指す。
「これで……ローレライの……疑いは完全に……晴れたようね」
「はい、でもアイラさんのお兄さんは……」
「いいんです。やっと会えましたから」
目的海域まで来るのと半分以下の距離なのではないか? という感覚になるほどすぐに港に到着した。
海の見える丘に沈没した船員たちの慰霊碑を作ることになった。簡単な作りではあるが少しは供養になるだろうとの事だ。
アイラの兄や他の船員達はスキュラの制約から解放され時間がたつと共に塵に消えていった。
この慰霊碑は形だけだが確かにその人達が生きた事の印として残る。
「アイラ、その……バンダナは?」
「これは兄に私が作ってあげたものなの。兄はバンダナを、私を大事にしてくれていたの」
アイラはバンダナをギュッと握りしめて笑顔で応える。
「ローレライさん、疑ったりしてごめんなさい。パッフェルさんに、イングリッドさん今回はいろいろとありがとうございました」
「いいえ、良かったです。事件が解決して、結果はどうあれアイラさんの仇打ちが果たせて」
「私達は……なにも…していないさ」
「ええ、ワタクシ達だけではどうしようもなかったですもの。今回沢山の人の力があって達成出来たのですから」
慰霊碑を背にお別れとここまでこれた事に感謝をしながら慰霊碑を後にする。アイラの右手にはバンダナが強く握られていた。
はじめまして羊です。今回は私の初めてのシナリオにご参加いただきありがとうございます。拙い文章ですがこのシナリオをご覧になって様々な感情を持っていただけると幸いです。それではありがとうございます。