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リアクション
人影からは美麗な歌が流れてくる。どうやら岩場の人物が歌っているようだ。とても美しい歌声でローレライの歌声と比べても遜色ないものだった。
エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)とそのパートナー、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)が岩場の人影を確認しその応対について相談していた。
「もしかしたら漂流者かもしれない。それか今回の事件で沈没させられた船の関係者である可能性もあるんだぜ。なによりも見た限りでは女性、女性が助けを求めているのに助けない訳にはいかないんだ」
「エース危険です。確かにエースの言う事も一理あるかもしれないです。ですが今回は慎重に行った方がいいと思います。まぁそう言ってもエースは化け物が出たとしても、その化け物が助かる道を探すんでしょうけど」
「良く分かっているじゃないか」
エースは笑顔をむけると颯爽と岩場に向かった。メシエはやれやれと言った感じでエースの後に続いた。
「お嬢さん、こんな所でどうしたのですか? どこか怪我でもされているのでしょうか?」
女性は岩場に横たわり痛々しいと言わんばかりの態度で足をふらつかせて、顔は下を向かせて立ち上がった。
「助けてください。いきなり乗っていた船が…沈没してしまって。たまたまここの岩場に運良く流れついたのです。それで助けを求める為に歌を歌っていました」
女性は静かにゆっくりとした口調でエースに囁く。決して顔は上げずにこちらの声に反応している。
女性はどこか挙動不審な様子を隠し切れていない気がしたメシエはエースを下がらせた。
「感がいいですね。まぁいいです」
さっきまでの女性とは思えない声で呟くと女性はスッと後方へと飛びのいた、それと共に無数のゾンビが岩場に出現した。
「さぁ、私のかわいいゾンビちゃん達、相手してあげなさい」
無数に現れたゾンビ達が女性の指揮の元、襲いかかってきた。
「エースさすがにこの多数を二人であいてするのは骨が折れます。他の方達が参戦してくるまで防御に回りましょう」
「そうだね。無闇に手を出したくはないからね」
「まったく君はこういう時でも甘いのですね」
メシエはそういうとゾンビ達の方向を見据える。
「ファイアストーム」
メシエは杖を体の前に突き出して、言葉を発すると同時に炎の嵐がゾンビ達を包んだ。一瞬で灰と散った肉片が飛散した。
「行くわよ、ミアキス」
「ええ」
船から勢いよく飛び出してきたのはセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)、そして後方からパートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が続く。
シャーレットは飛び出すと同時にスキル、レビテートを使用した。地面すれすれで浮き上がりゾンビ達に向かって突撃していった。メシエの放ったファイアストームの炎の残り火が舞う中を突っ切り、謎の女性目掛けて一直線に突っ切る。有無を言わせぬ動きで対物ライフルを相手に向かって放つ。
「はっ」
ドンッという発砲音が響く。
相手を確認しようとシャーレットが見据えるとそれと同時に勢いよく恐ろしい犬の頭がシャーレットを襲った。
「シャーレット!!」
ミアキスが犬の鋭利な牙をトライデントでぎりぎりの所で捌いた。
「正体現してきたわね、お前がスキュラだな」
「いきなり王手は駄目ですよ、それに女と遊ぶ趣味はないわ」
そう言うと同時にまた新たに無数のゾンビが現れる。スキュラはゾンビの出現と同時に海の中に入った。
「しばらくその子達と遊んで頂戴」
そう言うとスキュラは海上を移動しようと海の中へと潜っていった。
その様子を見ていた榊 朝斗(さかき・あさと) とパートナーのルシェン・グライシス(るしぇん・ぐらいしす)は海へと飛び込んだ。二人はフタバスズキリュウに乗り込みウォータブリージングリングの効果を使って水中でスキュラに相対した。
「スキュラ!! 待つんだ」
「待てって言って、待ってあげるほど私は優しくないですよ」
「お前が船を沈めたのか?」
朝斗はスキュラに切実に問いかけた。
「まぁ、応えてあげるわ。もちろんそうよあのゾンビ達を見たでしょう? イケメン揃いで気に入ってるのよ」
「朝斗、ディテクトエビルの効果で周辺にスキュラ以外の敵はいないのが分かります」
「分かった。スキュラを捕獲する。」
「あなたに出来るかしら?」
スキュラは異常と言って良いほどの速さで水中を移動している。逃げるなら逃げれるだろうに遊んでいるのが分かる。
朝斗は行動予測を使いスキュラの行動を見極める。
「くらえっ」
朝斗はワイヤークローをスキュラ目掛けて放つ。あまりに狙いが正確な攻撃にスキュラは思わず海面へと回避した。グライシスは銃型HCを使い、同行しているパッフェル達にすぐさま通信を飛ばす。
「スキュラが海面に出ます。」
スキュラは朝斗の攻撃にひるみ海面から出された形になってしまった。
次百 姫星(つぐもも・きらら)とパートナーの鬼道 真姫(きどう・まき)はグライシスからの通信を聞くや否や二手に分かれて戦闘態勢を取る。
姫星はエアカーに乗り込み飛び出した。その時海面が揺らぎスキュラの姿があらわになる。その瞬間姫星はスキュラの真上へと飛び降りる。
「くらいなさい」
姫星は口から火術を放つ。その攻撃がスキュラを襲う。しかし、スキュラの6頭の犬によって火術は霧散する。だが姫星が落下の勢いに鬼神力を上乗せして大鎌を構える。
「乙女の怒りと悲しみを思い知ってください」
「ザンッ」
布が破けるような音と共にスキュラのヘルハウンドの頭が空中に舞う。
「くそっ」
スキュラはすぐ様海に戻り姿を隠した。
「よし、あっ私カナヅチだった。どうしよう」
姫星は勢いよく飛び降りはしたもののその先を考えていなかった。
「だと思ったんだよ」
真姫は軽身功で海面を走って姫星の方に向かってきていた。
「ボスっ」
「ナイスキャッチ」
「ナイスキャッチじゃない。いつも後先を考えてないんだから」
「まぁ結果オーライということで良いでしょう?」
真姫は呆れた様子で姫星を見て苦笑いした。
一方船でも無数に現れたゾンビを撃退するために攻防が続いていた。
エリザベータの声の元一斉にゾンビ達を一気に掃討している。
「臆するなっ! 全軍、私に続けぇー!」
その後ろでローレライを守りながらオルフィナが戦っている。
「聞かせてくれないか、お前の歌を…」
「私でも力になれるのなら」
そう言うとローレライは歌いだす。ローレライの歌声は海上に響き渡った。
そして、残りのゾンビ達をパッフェルの星銃パワーランチャーが撃ち抜く。
「これじゃ……ただの的だわ」
パッフェルが撃ち抜いている間を縫って、セフィーが小型飛空艇ヘリファルテに乗ってモンスターの死角から斬り込む。
「分かっていない。狩りを楽しむにはお互いの力が拮抗していなければ。私とつり合うのはあんたじゃない。」
操られたゾンビはまるでそこに無かったようにどんどん消滅していく。
あっという間に無数に存在していたゾンビ達は消えていた。
「なんとか……沈没は防ぐ……事が、できました。」
乗船していたもの達の活躍により何とか危険を回避する事に成功した。
しかし、狡猾なスキュラは正面からでの力押しではいけないと勉強している。海の中を移動しながら次の作戦を練っていた。
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