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荒野のピストルランチ!

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荒野のピストルランチ!

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主核へ向かれる牙

「お、火の手が上がったか。妖蛆の奴が仕事したようじゃのう」

 ルドウィクのファイアストームの合図を受けた衛は、ファイアストームを発動させる。
 衛の行動に驚きながらも部下は衛に銃を突きつけてきた。

「な、なにをスル!?」
「とーう」

 そのヤンの部下になぎ払いをかけるメイスン。
 頭に突きつけられていた銃もなくなり、衛は近辺に密かに配置していた火術のルーン符に引火させて大爆発を起こした。
 それと同時にメイスンも破壊工作で予め館に仕掛けておいた爆破を発動させる。

「ん、怖い顔してなんじゃ?」
「う、裏切るアルか……」
「裏切ったじゃと? わしは裏切っておらんぞ。あくまで契約を履行しただけじゃ。酒場の店長から『妹を逃がせ』とな。今はその雇われ傭兵じゃ」
「傭兵としてのプライドがないアルか!?」
「最初の依頼主の契約達成のため、おぬしに雇われ裏切るのが仕事じゃ。それにおぬしは好かん。裏切った方が楽しそうじゃからのう! わしの傭兵時代の異名は『災害(ディザスター)』じゃ。まあ台風に当たったと思って諦めることじゃな、カッカッカッ!」

 ぎりぎりと歯を噛みしめるヤン。

「あー、気の毒じゃが、こいつに倫理なんぞ糞食らえじゃけー。諦めんさいな。それに酒場の店長の報酬の『お好み焼きランチ』開始のためじゃしな」
「うるさいヨ!」
「うるさいのはそっちじゃけぇ」

 激昂しているヤンに、メイスンは金剛力で持ち上げた机をブン投げる。
 騒動を聞きつけてきた部下たちに、衛は歴戦の魔術でなぎ倒していく。メイスンも乱撃ソニックブレードで暴れていく。

「さあ、あとは楽しむだけじゃ! 大暴れするぞ、メイスン!」

 部屋を出ると、目に入った部下を片っ端からなぎ倒していく衛とメイスン。
 二人の通り過ぎた場所には屍が散乱している。



◇          ◇          ◇




 あちこちで騒動がある中、ノノンを連れて逃げていた郁乃たちは館に隠密潜入していた、レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)と出会う。

「ねぇ!」
「誰!?」
「敵か!?」
「ま、待ってくださいですぅ」
「私たちは味方です」
「味方? ではお二方に聞きます。桃花たちの中には人質の弟はいますか?」

 桃花は郁乃に危害が出ないよう味方かどうか判断する為にそう聞く。

「あれ、人質は妹ではなかったですかぁ?」
「そうです。弟さんはお兄さんと一緒に酒場に居ましたし、人質はノノンさんという妹さんのハズです」

 レティシアとミスティが顔を見合わせていると、質問してきた桃花はほっとしたような表情を浮かべる。

「どうやら本当に味方のようですね。すみません…敵か判断する為にわざとこう聞きました」
「あ、そうでしたか」
「良かったぁ。あちき、聞き間違えたかと不安になっちゃたですぅ」

 ティシアはノノンを見ると自分と体型がそう変わらない事に気が付く。

「ねぇ、あちきと服を交換してほしいんだけど良いかなぁ?」
「え、服を? どうしてですか」
「あちきがノノンさんの身代りになる為だよぉ」

 レティシアの身代り作戦を受け、誰も居ない部屋で服の交換をしたノノンとレティシア。

「ごめんね。周りに敵は出なかったぁ?」
「あぁ。だいじょう…ぶじゃねぇな」

 アンタルがいち早く敵の気配に気が付き構える。

「ようやく見つけタヨ」
「大人しク、部屋に戻ってクレヨ」

 ヤンの部下たちが大勢で郁乃たちを囲む。

「……部屋なんて焼け尽きて閉じ込められる状況じゃないじゃ」
「まぁまぁ、郁乃様」
「捕まらなければ良いだけですよ。……ノノンは下がっててくださいです」
「あ、はい」
「…今はレティシア、よ。ノノンさんは私が守ります!」

 思わずノノンがそう言ってしまうが、ミスティがうまくごまかしてレティシアをノンンとして守りに入る。

 ミスティの神の目で撹乱させ、灌の抜刀術とソニックブレードで部下を倒したり、桃花のライトニングランスや拳で沈めていくアンタルによって大勢いた部下が倒されていく。
 しかし、数が多い。

「後から後から湧いてくるねぇ。ノノン、あちきから離れちゃだめだよぉ?」
「はい」

 ノノンがレティシアを庇っているような風を装って小さくノノンに言う。
 そこへヤンの部下が連れてきた猛獣がノノンに襲いかかってくる。
 とっさにレティシアがノノンを抱きしめて庇う。