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荒野のピストルランチ!

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荒野のピストルランチ!

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 決まった! といった風に格好つける吹雪に対し、部屋全体は水を打ったように静まり返った。

「……もしかして、これをやりたいが為に今まで」
「あぁ、タイミングを見てたな」

 思わずアランとクライブがそう突っ込みを入れていると、今まで隠れていたアリカが流星のアンクレットの力で一気に加速しレティシアへ近づきレティシアを救った。

「大丈夫?」
「え、えぇ。あちきは大丈夫」
「そっか無事で良かったよ」

 にこりとアリカがレティシアに笑うと、アリカと同じようにベルフラマントを使って今まで隠れていた騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が現れる。

「失礼しますね!」

 詩穂はガードラインとお下がりくださいませ旦那様をダッドリー兄弟三人にかける。

「詩穂も及ばずながら御兄弟をお守りさせて頂きます」

 ナラカの蜘蛛糸を持ち、ヤンと向き合う詩穂。

「次から次に湧いてくる虫共メ……」

 思うようにうまく事が進まずイライラするヤンは隠しスイッチを押して檻に閉じ込めていた猛獣を全て解き放った。

 四方から溢れるように集まってきた猛獣は次第にアランたちを囲んで行く。
 ヤンはそれをメイスンと衛が暴れた事で積み重なった家具の山から見下ろしている。

「フハハハハッ! ワタシが丹精込めて作りあげた猛獣のえさになるがイイ!!」

 一匹の猛獣が飛びかかってくるのを皮切りに戦闘が始まる。

「御兄弟のみなさんは詩穂の後ろに隠れてて下さい」

 ナラカの蜘蛛糸とお引取りくださいませ、実力行使による体術で戦っていく詩穂。

「ここが踏ん張りどころ! 大吾、気合入れていくよ!!」
「わかっているさ」

 大吾はインフィニットヴァリスタの巨大な大口径自動拳銃で猛獣の頭部をスナイプで確実に当てていく。
 アリカも兄弟三人との前でガードラインと受太刀を駆使して守りに徹する。

「守備がこれだけいるなら俺も戦いに参加するぞ」

 バーニィの影から佑也が出てくる。そして機晶爆弾を投げるとカタクリズムで飛ぶ方向を乱しながら爆破させていく。

「……そろそろ良いですね。行きます!」

 ダッドリー兄弟たちを守り抜くという意志が強くなり、詩穂は絶対領域を発動させる。



◇          ◇          ◇




 全ての猛獣を倒した面々。
 ヤンは苦し紛れに弾が残っていた銃でレティシアを狙う。

「無駄ですよ」

 詩穂の言葉通り、詩穂の展開させていた絶対領域に拒まれレティシアまで届かない。

「ふふ……もう後が無さそうですね」
「更なる絶望をやろうか」

 裕也は素早く新型麻薬の苗が入った籠を籠ごと刻み、クライブが燃やし尽くした。

「な、なんてことダ……」

 部下も猛獣も侵入してきた契約者たちによって倒され、新型麻薬の苗も目の前で燃やし尽くされしまったヤンは全てを失い呆然とする。
 ぶつぶつと誰にも聞こえないような声で呟き続けるヤンをそのままに、ダッドリー兄弟と侵入者の人たちは館を出ていく。

 ただし、詩穂はそれにはついて行かずに館に残った。

「さて、詩穂は館に残された麻薬の処理でもしましょうか」

 ハウスキーパーで館を隈なく捜索しながら、パラミタドーベルマンの嗅覚で麻薬の在処を探しだす詩穂。

「これで麻薬市場を広げるための資金が尽き、ヤン一家もここまででしょう。バーボン一家のほうも酒場で退治されているかな」

 手に着いた埃を払うようにパンパンと叩く。

「これで両勢力を制圧できれば酒場で乾杯したいものです」

 詩穂は祝杯をあげる為に酒場を目指し館を後にする。