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第9章 夏の終わりの……

「わぁ……」
「特等席ね」
 浜辺で、雅羅と夢悠、理沙たちが空を眺めていた。
 視線の先には、花火。
 勇たちが打ち上げた花火が、空に輝いていた。
「本当、海と花火は素敵ね」
「そうでしょ!」
 雅羅の言葉に、理沙は顔を赤らめ頷く。
「これでチョコバナナでもあれば最高だったんだけどなあ……」
 夢悠は残念そうに呟く。
 海に向かう前に、チョコバナナを買いに行こうとした夢悠だったが、既に全部売り切れてしまっていたのだ。
「また今度お祭りで買えばいいじゃない」
「そりゃそうだけど……え?」
 その声の調子に、聞き覚えのあるものを感じ夢悠ははっと雅羅を見る。
「雅羅……戻ってる!」
「雅羅だー!」
「え?」
 喜ぶ夢悠と理沙を、怪訝そうな顔で見つめる雅羅。
 二人の笑顔を、花火が照らす。

   ※※※

「……美しい星空を案内するつもりだったのですが、予定通りにならないのもまた面白いかもしれませんね」
 空を見上げ、メシエは苦笑する。
「いえ……どちらも、綺麗です。星空も、花火も」
 空には、そのどちらもが輝いている。
「パラミタの自然は……そして人の作った物も、美しい。少しずつ変わりながら美しい姿を見せてくれる」
(世の中は綺麗なもので溢れているから、幽霊さんも早くこちらの世界へもう一度生まれてこれるといいね)
 外界でメシエが、心の中でエースが、幽霊に話しかける。
「ありがとう……とても、綺麗だった」
 星空も、花火も、そして二人の気持ちも……
 皆まで言う前に、光が零れた。

   ※※※

「綺麗綺麗きれーい。花火って綺麗ねー。あっ、ほら赤くなったと思ったら黄色に!」
「ね、サニー、盆踊りに行かない?」
「一緒に踊りましょう」
 はしゃぐサニーにルカルカと柚が声をかける。
 境内には、盆踊りの輪が出来ている。
「えっと、私、踊り知らないけど……」
「簡単ですよ。他の人の真似をしてれば、すぐできます」
「ルカが教えてあげるよ!」
 サニーの手を引くルカルカと柚。
 笑いながらそれについて行くサニーだが、ふと足を止め、寂しそうな顔をする。
「どうしたの?」
「ん。もう、お祭りも終わり……夏もあっとゆう間に終わっちゃうなぁと思って……」
「まだまだ夏は続きますよ。もっといっぱい楽しいコト、きっとあります」
「それに、秋は秋で楽しいよ! 栗拾いとか紅葉狩りとか……どう?」
 気の早い計画を立てはじめるルカルカ。
「いいわね! そうか、食欲の秋ね」
 あっとゆう間にそれに乗るサニー。
 少女たちの四季は、楽しいコトでいっぱいだ。

 盆踊りが始まった。
 櫓の上では、激しく太鼓が叩かれている。
 太鼓を叩いているのは、ハデスだった。
「フハハハハ! これぞ、我ら秘密の踊り『オリュンポス音頭』だ! ……いやそれただの盆踊り! 自分で音頭って言っちゃってるし!」
 相も変わらず一人でボケツッコミしていた。
「俺のリズムで民衆を強制的に躍らせるのだー!」
 ハデスの太鼓の音に合わせ、盆踊りを踊る人々。
 それを見ながら、ハデスは高笑いする。
 ハデスの体からぽわりと光が零れたが、太鼓の音は変わらず境内に響いていた。

 どんどんどんっ。

担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 初めての方ははじめまして、もしくはこんにちは。
 「こ・わ〜い!」を執筆させていただきました、なんだかんだで海も花火も参加できました、こみか、と申します。
 夏のイベント第2弾、夏祭りと幽霊、楽しんでいただけましたでしょうか?
 積極的に楽しむ方々、楽しませようとする方々。
 出店の方々やお祭りを楽しむ方々とのやりとりが楽しそうで、こちらもとても楽しく執筆させていただきました。
 各地に出番が散らばっている方もいらっしゃいますので、ゆっくり探してみてください。
 今回は、比較的(海に比べれば……)エロ控え目でほっと一息です。

 それから、お詫びしなければいけません。
 ダイス目の右と左の表記が、分かりづらくて申し訳ありませんでした。
 アクションで、向かって右・左と書かれた方もその逆の方もいらっしゃったのですが、どちらも正しいとして採用させていただきました。
 混乱させてしまい、すみませんでした。

 皆さんと一緒に夏の夜を堪能することができ、嬉しいひと時でした。
 またどこかでお会いする機会がありましたら、よろしくお願いいたします。