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開催、第一代目パートナーバカ決定大会

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開催、第一代目パートナーバカ決定大会
開催、第一代目パートナーバカ決定大会 開催、第一代目パートナーバカ決定大会

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「まだまだ、足りん。成っていないな」
「あの、どうしてさっきからそんなにやる気まんまんなのですか?」
「想いが、想いが足りん。俺が見せてやる、俺の想いを!」
「ちょっと! 話を聞きなさい!」
『次に登場したのは、ただならぬ殺気をもった水神 誠(みなかみ・まこと)選手と、
 困惑気味の巫女さんのような装いの佐々木 樹(ささき・いつき)選手です』
 紹介された誠が観戦席に向けていきなり宣言する。
「パートナーバカなどではない。俺が優勝した時は、樹バカと呼んでもらおう」
「ちょっとさっきから何を言って」
 樹の話も聞かずに大きく息を吸い込んだ誠。そしてありったけの想いを、言葉と共に吐き出す。
「俺の双子の姉、樹は昔から美人だった! 樹に悪い虫がつかないようにいつも護っていたんだ。
 10年程離ればなれになっていたが、再会した樹はさらに美しく育っていた!」
「ちょっ! ばか、何を!」
「ちょっと裁縫は苦手だ! 白い糸がいつの間にか赤くなるくらいには苦手、だが!
 料理はうまい! しかも、心は乙女なんだ! 俺の大切な姉なんだ! 人妻になった今も、俺の思いは変わらないぞ! 樹ー!」
 誠の止まらないアピールを聞いて、赤面が止まらない樹。
「人前で何を叫んでいるの……! こ、こうなれば、なんとしても止めなくては!」
 手に持っていたティアマトの鱗を誠目掛けて投げつける。が、その攻撃を華麗に避ける誠。
「なんで避けるのよ!」
「こんなに赤面しているのも可愛いだろう! 乙女だろ! 存分に見るがいい! いいや見るな! 見るんじゃない!」
 ○○コン最高潮の誠と攻撃を避けられて驚きつつ赤面が止まらない樹。そしてついに起こってしまう事態。
「聞き捨てならないわ。妹に勝る姉なんていないという現実を見せてあげる!」
「べ、ベルー! いきなり乱入なんてだめだってば!」
『ついに起こってしまいました。乱入です、乱入が勃発してしまいました』
 しかし会場からは「モットヤレ!」というコールと共に大歓声が沸きがっていた。
「……俺は姉を褒めているのではない。樹を褒めているんだ」
「私だってこれから、妹を褒めるのではないわ。この子、師王 アスカ(しおう・あすか)を褒めるのよ」
 誠と睨みあうメイドのような出で立ちのオルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)
「語弊があったな。俺は樹への愛を叫んでいた」
「私も、アスカへの愛を叫ぶ予定よ」
 依然、にらみ合いをやめない二人とは打って変わり、気まずそうに謝りあう者が二人。
「すいません。うちの弟が」
「いえいえこちらこそ、私の姉が」
「さあ! 聞かせてみろ! お前の愛とやらを!」
 そう叫んだと誠が【理影】を使い攻撃を開始。その攻撃を余裕を持ってかわし、乱入アピールで倍返しするオルベール。
「一番この世で可愛いのは、そう! アスカに決まってるじゃない!
 気まぐれで好奇心旺盛な猫みたいな性格で! 見た目だって正統派黒髪ロングの帽子付きなのよ!?」
「ちょっとベル、何言ってるの?」
「芸術家として活動して、個展も開いてるし仕事だって、ちょっと抜けてるけど、頑張ってる!
 名声とか知名度とかすごいんだから! 主に可愛いっていうので!」
「ふっ、うちの樹の可愛さは俺だけが知っている! それで十分だな!」
「そんな独りよがりじゃだめよ! 見なさいっ、この絶対領域を確保している美脚を!
 無意識よ!? このちょっと太ももつんつんしたくなる領域をっ! 無意識なのよ!」
「……樹も長いポニーテールの裏に隠されたうなじ、そして戦闘時に垣間見える鎖骨がそれはもう芸術を超えるほどだ!」
 激しい攻防を繰り広げながらアピール合戦は更なるデットヒートを見せる。その渦中の人物たちは。
「ああもう! 敵チームを倒す前に、誠を! だから避けるなー!
 こうなったら敵チームを! ……だから誠! 恥ずかしいこと言わないの!」
「ベル!? 人のファッションをどんな目で見てたのよぉ!? 太ももつんつんって何っ!
 普通のアピールは!? ス、スカートもう少し下がらないかな〜……!」
「これ、みなさんこれも無意識です! 無意識ポーズです!」
「え? ……いやいやっポーズじゃないから!? 今ものすっごく会場からの視線に焦ってるから!?
 うう〜っ、今度から黒のタイツを履いてくるもんっ!」
「それもありね!」

―――「アリ!」「アリ!」「ナシ!」

「さあ、戦闘の動いているそのベストショット! 活目して見なさい! 今日だけは許すわ!
 あとナシと言ったもの、あとで私のところに来るように! 更正してあげるわ!」
「樹の鎖骨こそ至高、いいや樹が最高だ! 樹を見ろ! いいや見るな! 見るんじゃない! 樹と同じ空気を吸うな!」
「見るなー!」
「見ないでー!」
『熱いアピールが繰り広げられています。姉vs妹、圧倒的な勝負ですが残念ながらここでアピールタイム終了です』
「樹が!」
「アスカが!」
『さあ本会場ではヒートアップして選手が引っ込まない場合の措置として、いくつかの簡易的なリングを設置しています。
 そちらに四人を移して、他の選手のアピールを見ることにしましょう』

―――「サコツ! ウナジ!」「マコト! イツキ!」
―――「ゼッタイリョウイキ! アスカ!」「ボウソウアネ! オルベール」

 そんな乱戦を観戦していたメルキアデス・ベルティ(めるきあです・べるてぃ)フレイア・ヴァナディーズ(ふれいあ・ぶぁなでぃーず)
「いやーいい具合に白熱して、こりゃ観戦にも力が入るな」
「何言ってるの? そろそろ時間よ」
「へっ?」
『次はメルキアデス・ベルティ選手とフレイア・ヴァナディーズ選手です。観戦席からどうぞ』
 そう言われたフレイアは堂々と観戦席からリングへと移動。メルキアデスも少し戸惑いながらもそれに付いていく。
「あー、今呼ばれたのって俺の名前だよな……? 登録したの俺じゃねぇのに」
「私が登録しといたわ。面白そうだったから」
「は? フレイアちゃんが登録したのか!? 意外っつか……でもフレイアちゃん俺様のこと、大好きだったんだな」
「? 何言ってるの?」
「いやいやいやだって! これパートナーバカ決定大会だろ?
 つまりは俺様がどれだけすんばらしいか、フレイアちゃんが称えてくれんだろー♪」
 嬉しそうに話すメルキアデスに、一切笑わない目で見つめながら返答をするフレイア。
「はぁ? なんで私があんたを褒めなきゃいけないのよ。これは、パートナー馬鹿決定大会でしょ?」
「……フレイアちゃん、心なしか目が笑ってねぇ気がすんだけど?」
 決定的に、確定的に、圧倒的に二人の認識の違いが見受けられるが、そんなことはつゆ知らず大会は進行するのだ。
 するったらするのだ。
「さて、このメルキアデスの馬鹿っぷり。まずはあとさき考えず一番前に走っていくこと。
 それを止めるためにどれだけ苦労するか。更に不必要なまでにモノを壊す。あとでくる修繕費やらを見たことがないのかというくらい壊すの」
「フ、フレイアちゃん?」
 明らかに先ほどまで行われていたアピールとは違うアピール。そう、それは本物の馬鹿加減のアピールだった。
「他にも、
 部下がしりぬぐいをする
 真っ先にやられる
 結局自滅する
 目的達成までに無駄が多い
 俺様キャラがうざったい

「痛い! なんか心抉られっから! フォークなんかでこう、ぐさっときてっから!」
「あとガングロ
「それ直しようがねぇっすよ!?」
「他にもあるから。原稿用紙50枚のところ20枚にまとめたんだから感謝なさい?」
 どこからともなく出てきた原稿用紙には、箇条書きでメルキアデスのチャーム(馬鹿)ポイントがまとめられていた。
「ていうかこれパートナーバカを決定する為の試合であって、パートナーの馬鹿加減を提供する場じゃねーし!」
「さて次は」
「怖い、怖いからフレイアちゃん! 悪かった! 俺様が悪かったからもうやめてマジで凹むから!」
「あら、怒ってなんかないわよ?」
「目が笑ってないんです! すいませんでした! ホント許してください!」
 目だけ笑っていないフレイアと若干マジ涙目のメルキアデス。
「ほら、メルキアデス、ちゃんと聞いて。いつも私や他の子たち大変なんだから、ちゃんと聞きなさいよ、ねぇ」
「マジで! これから気をつけるんで、マジで! マジデ!!!」
『大会の文字を巧みに利用しましたフレイア選手。これには「バクハツッ」コールから一変、メルキアデス選手を慰める声があがっています』

―――「ムチャシヤガッテ……」

 しかしまだまだ続くフレイアの鬱憤解放。しばらくの間、メルキアデスは本気で凹むことになるのだった。