薔薇の学舎へ

波羅蜜多実業高等学校

校長室

葦原明倫館へ

開催、第一代目パートナーバカ決定大会

リアクション公開中!

開催、第一代目パートナーバカ決定大会
開催、第一代目パートナーバカ決定大会 開催、第一代目パートナーバカ決定大会

リアクション

「みなの叫びは聞かせてもらった。だがそれでもなお! 俺はリイムを推そう!」
「どうもみなさん、初めましてでふ」
 リングに現れたのは十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)の二人。
 普段は冷静な宵一も今日ばかりは黙っていられないようだ。
「確かに他のパートナーたちのアピールも素晴らしく、愛が込められていた。たが! リイムの抱き心地には敵うまい!」
 宵一がリイムを引き寄せて思い切り抱きしめる。見ているだけでもふかふか、もふもふという擬音が聞こえてきそうだ。
「うちのリイムは最高の抱き枕なんだ! ふかふかでもふもふな抱き心地は勿論! 眠れない時は、子守唄を唄ってくれるんだぞ!」
「歌いますでふよ〜」
「あと朝は必ず起こしてくれる、今日はこんな寝言を言っていたとか伝えてくれるんだ! そんな抱き枕がこの世にあるか? いいやない!」
「ちなみに今日の寝言は『リイムの優勝は……間違いない……』でふ」
「そして何よりも、な・に・よ・り・も! リイムの寝顔がめちゃくちゃ可愛い!
 そりゃもうこっちの目が覚めるくらいに! もちろん余裕で携帯の待ち受けじゃあ!」
 取り出した携帯の待ち受け画面には幸せそうに眠る、鬼も悪魔も閻魔もルシファーも顔をゆるめるリイムの姿があった。
「この待ち受けにしてからというもの、待ち受け画面にはこれ以外何も設定していない! 時計? カレンダー?
 そんなものは他のものでどうにでもなる! それだけじゃないぞ! さあ、リイム。お前の力を見せるんだ!」
「はいなのでふっ」
 宵一の剣幕に終始推されっぱなしだった、というよりあとずさっていた対戦相手(MOB)がぎょっとする。
 なぜかと言うと今まで無邪気に可愛さをふりまいていたリイムの手に【魔銃ケルベロス】と【パンドラガン】、二挺のごつい武器が握られていたからだ。
 そのままリイムは容赦することなく、二挺の銃を使い交対戦相手の足元周辺を威嚇射撃。
 その可愛さとのギャップにすっかり戦意喪失した相手に、リイムがばしっと、
「降参してくれまふか?」
 と、極上の可愛さをふりまけば、いつの間にか対戦相手の頬もほころび降参していた。
「なあ、強いだろう? それにリイムはとてもいい子だから、俺の訓練に根を上げたことは一度もない!
 可愛くて強い抱き枕という最強の組み合わせに敵うはずはない! というか、ちょっと鍛えすぎたと思うくらいだ!」
『さあ宵一選手。今までなかった、猫のような可愛さをもつリイム選手の』
「猫よりももっと可愛い!」
『……とにかくリイム選手の極上の可愛さ、確かに伝わりました。それでは相手も降参していることですし、次へ』
「フフフ……その小動物の可愛さ、十二分。だがそれ以上がある」
 どこからともなく聞こえてくる怪しげな笑い声。しかし周りにはそれらしき人物は見当たらない。
「俺のリイムの可愛さを認めながら、それ以上だと……? 面白い! 見せてもらおう!」
「いいだろう。その小動物よりも、どのアピールよりも、上をいくもの、それは」
『おーっと! 上空からなにやら謎のシルエットが! そして落ちてきた!』
 ずどーん、と豪快な落下音とともにリングに現れたのは。
『出ました! 我らがキング、猫の王? マネキ・ング(まねき・んぐ)選手の乱入だー!』
「外見だけではどうにもならぬものがある。そして我らには真の絆があるのだよ。
 それを人民に知らしめてくれようではないか……」
 いつもどおりの姿ではなく、人型にてマネキ・ングならではの通常運転で今も爆走中だ。
「優越を競うなどしなくとも……我らが最上なのは至極当然……。我とセリスは心で繋がっている。
 ただただパートナーを賛辞し、甘言で誑かすだけの諸兄らとは、格も! 次元も! 違うのだよ!! そうだろう? セリス」
 マネキ・ングが横を振り向くがそこには誰もいない。その呼ばれたであろうパートナー、
 セリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)は観戦席でいまだのんびりと観戦中だった。
「……ああ、好きにしてくれていいぞ。俺抜きで」
「フフフ、照れなくともよい。見せつけてやろうではないか? 我らの絆を」
「見せつけてやれ。俺は遠慮しておこう」
「セリス、我の深い情愛に対しても臆することなくその物言いとは……流石、筋金入りのツンデレさんだな……」
「……それでいいから、手短に終わらしてくれ」
 通常運転(暴走超特急)のマネキ・ングに何ごともなかったかのように平然と、冷静に受けるセリス。
 見ようによってはお互いを信頼している証にみえ、なくもない。
「……あえて言おう。意義あり! さっきから見ていれば、全部お前の一方通行な想いばかりじゃないか!
 そもそも俺とリイムにだって何があっても断ち切れん絆くらいとっくの昔にできてる!」
「フフフ、セリスの態度だけで判断しているうちはわからんさ。我と、セリスの絆、そのものの本質をな」
「な、なんだかすごい人でふ」
「怪我だけはしないよう。後で直すのが面倒だからな」
『対照的なアピールですね。ですがその二組のアピールはこれまでにないものとなっています。
 新鮮さの部分でかなり高得点が出るかも知れませんね』

―――『ダキマクラ! ダキマクラ!』『リイム! リイム!』
―――『イッポウツウコウ! マネキ・ング!』『レイセイクロウニン! セリス!』