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すいーと☆ペンギンインベーション

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すいーと☆ペンギンインベーション
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リアクション

 ペンギンは飛べない。
 故に、移動手段は徒歩となる。
「纏めて始末してやるであります!」
「あまりやりすぎないようにしないとねー」
 葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)はブービートラップを仕掛けていた。
「数の多い相手には範囲攻撃が有効なのであります。それと手加減はかえって残党を出すだけ、不必要なのであります」
「珍しくまともね」
 複数の戦闘の作戦を説く吹雪。
 コルセアは、「これでお菓子を販売するのであります!」と言い出すと思っていたのだが、退治に行くとは予想外。
「だけど、これなら大丈夫よね」
 また暴走を抑えることにならなくて一安心。これがフラグにならなければいいが。
「さあDSペンギン、罠に掛かるのであります!」
 狙撃で進行方向を遮断、退避先を誘導する吹雪。
 先程仕掛けたブービートラップもあり、退却通路は一本に縛られる。
 その先に待ち構えるものは、
「ふう……これだけの大穴を掘るのは苦労したのだよ」
 イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)の掘った落とし穴。
 先頭のDSペンギンが気付き踏みとどまる
「まだまだ、後続が居るのあります!」
 狙撃は止まず、後ろから背を押され、最終的に防波堤は決壊。
「ペンギンの雪崩ね」
 DSペンギンはコロコロ、穴の下へと落ちていく。
「準備完了、ここからが本番であります!」
 吹雪が取り出したのは爆弾と火炎放射器。
「食らうのであります!」
 爆弾を投下。コルセアとイングラハムが火炎放射を開始。
「ヒャッハー! 汚物は消毒なのだよ!」
「それ、やられ役の台詞だわ……」
 突っ込むものの、日頃溜まったストレス発散にはもってこい。
「偶にはこういう役回りも悪くないわね」
 新しい感情が芽生えたコルセア。
 爆煙が去った後に残ったのは、プスプスと煙を上げるDSペンギン達。
「一丁上がりであります!」
「次もこの調子で行くのだよ」
 気をよくする吹雪とイングラハム。コルセアは、
「よかった、フラグにならなくて」ポツリと漏らし、「さあ、鬱憤晴らすわよ」
 珍しく二人に同調していた。


「チョコレートになっちゃえー! ……って、どこかで聞いたことあるよね」
 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が記憶を探ると、ピンク色のぷよぷよした生き物が浮かび上がった。
「えっと、これは確か、魔人ブ――」
 危機感に駆られ、言葉を途中で止めて屈む。
 残像をすいーつびーむが掠める。
 咄嗟に動かなければお菓子になっていただろう。
「危ない危ない」
 気を取り直し、立ち上がった詩穂は【銅鏡】を構える。
「これを【モモンガ】で拭いて……」
 雑巾としても使える【モモンガ】。そのおかげで【銅鏡】は輝きを取り戻した。
「ビームってことは、光ってことよね。鏡を当てればどうなるのかな?」
 生徒に尋ねる化学教師のよう、それを自身の前に掲げる。
 そして、詩穂に向かって放たれたビーム。射線を計算して、狙い違わず【銅鏡】へ。
「やっぱり、そうなるよね」
 詩穂の想像通り、反射したすいーつびーむ。
「ペルセウスの神話みたいね」
 ゴーゴンに鏡の盾で立ち向かったペルセウス。詩穂もそれに倣い、DSペンギンへ立ち向かう。
「想像してみてよ。ペンギン型チョコ、カワイイと思うよね?」
 笑顔で語りかける脅迫じみた台詞。
「さあ、人間に従いなさい!」
 いや、脅迫だった。


 御神楽 舞花(みかぐら・まいか)は通話をしていた。
「――ありがとうございます。使わせていただきます」
 通話を切り、舞花はポンッと隣にそびえる物を叩く。
 それは舞花が乗り合わせていた【機晶戦車】。
 連絡していたのは中継基地本部。
 住民の避難状況を確認し、使用許可を貰っていたのだ。
「これで平和を取り戻します、陽太様」
 ここには居ない御神楽 陽太(みかぐら・ようた)へと思いを馳せる。
「さあ、手始めに一発お見舞いしてあげます!」
 舞花は戦車に乗り込むと、装着していた【機晶戦車用大砲】をぶちまける。
 轟音と共に発射された砲弾は、放物線を描くことなく着弾。
 瞬間、更なる轟音が辺りを支配する。
 音と衝撃で混乱するDSペンギン。
 闇雲に放たれたすいーつびーむが戦車に被弾するも変化は無い。
「どうやら生き物にしか反応しないみたいですね。それなら!」
 巨体を盾に、DSペンギンへ突進。
「お菓子に変わってしまった皆を元に戻しなさい!」
 戦車が蹂躙を始めた。