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【琥珀の眠り姫】密林深く、蔦は知る。聖杯の謎

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【琥珀の眠り姫】密林深く、蔦は知る。聖杯の謎

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第二章 探索

 鍛錬所の中では、調査をしている皆がバラバラに動いて聖杯を探していた。
「なかなかややこしい作りをした建物だね」
 長い回廊に張り巡らされた蔦をそっと避けるようにして歩きながら、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)に問いかけた。
「五千年前の建築様式が使われてはいるけれど、多少変わった作りになっている。
 とはいえ、中央が円形闘技場になっているだろうから、四方から潰していけばいいだろう」
 メシエは、自身の持っている知識と照らし合わせながら周囲を探索していた。
「まあ、HCで皆のマッピングした情報を総合すれば、部屋を見落とすことはないだろうからね」
 二人はところどころにある部屋を覗き込んではみたが、ほとんどの家具や書物は腐り落ちてしまっていて確認が取れなかった。
「そこら中に生えているんだし、蔦にも話を聞いてみようか。何か知っているかもしれない」
 エースはそう言うと、近くに生い茂る蔦に向かって話しかけた。
「ーーおかしいね。植物たちが随分と人間に対して敵対意識を持っている……。
 話を聞いても教えてくれないという事は、何か事情があるのかもしれないよ」
 厳しい表情をして、エースは立ち上がった。
「……あちら側でもモンスターが出たようだ」
 メシエの視線の先で、ガーゴイルが飛び上がった。

「荒事なら、わたくしの出番ですわね」
 エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)が魔導銃の銃口でガーゴイルを指す。
「この廊下、罠も仕掛けられているみたいです。今から解除しますけれど、気をつけて戦って下さいね」
 その背後から、御神楽 舞花(みかぐら・まいか)が心配そうに声をかける。
「サポートするよー、どんどん倒していこー!」
 ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)も、そう言ってエリシアを応援する。
 エリシアが盾を構えて飛び上がった。手の内の魔導銃から放たれる魔力の弾丸が、ガーゴイルの羽を貫く。
 急降下してきたガーゴイルの爪先を盾で弾くが、エリシアはその反動で数歩後ろに押される。
「これでとどめですわ!」
 エリシアはガーゴイル目掛けて、無数の光の雨を降らせた。ガーゴイルは鈍い叫びのような声と共に、バラバラの石片となって崩れ落ちた。
「ふむ、まだ余裕がありますわよ」
「舞花ちゃん危ない!」
 トラップを解除する舞花がはっと顔を上げる。壁に沿って這うように伸びていた太い蔦が、ハンマーを振り下ろすように、その身を叩き付けようとしていた。
 咄嗟にノーンが烈風のフラワシを呼び出す。フラワシのかまいたちが舞花の眼前で蔦を切り裂いた。
「ありがとうございます! もう少しでトラップは解除できますよ」
 カタン、と軽い音がした。舞花は銃型HC弐式を見る。
「これで、円形闘技場以外の全ての部屋と廊下の探索が終わったようですね」
「やっぱり闘技場が怪しいよね。早速いってみよー!」
 ノーンが、真っ先に廊下を駆け出す。途端、カチ、と何かのスイッチが押されたような音がした。
 轟音と共に、廊下が揺れ始める。
「えっ、何?!」
「床が動いていますわ!」
 どうやら、ノーンが踏んだのは隠し通路のスイッチだったようだ。揺れが収まると、廊下の中程に上りの階段が現れていた。