校長室
婚活卯月祭、開催中!!
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「夕暮れを背に告白ですか。素敵な逸話のあるイベントですね」 サンドイッチを食べながら、眼下一面に広がる草原の景色を眺めているのはザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)とアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)だ。 「それにしても、ここは本当に良い景色じゃの。告白するにもピッタリそうじゃ」 「ええ、空気も美味しく感じられますね。たまにはこうしたピクニックもいいですね」 二人は広がる緑を見ながら、バスケットの中に並んだザカコの作ってきたサンドイッチを食べている。 そこには、ハムに野菜、たまご、ツナと様々な味が詰まっていて、彩りも鮮やかだ。 「イルミンスールで普段から緑は見慣れていますが、ひらけた丘の景色はまた新鮮ですね」 「普段と違う場所に来た、という感じがするのう。それが、気分転換になるんじゃろう」 最後一つのサンドイッチを、アーデルハイトがつまんだ。 「うむ、なかなか美味かったぞ」 どうやら、アーデルハイトの気に召したようだ。 「それなら良かったです。デザートには、シャンバラ山羊のミルクアイスとリンゴを用意してありますよ」 濃厚なミルクアイスの甘みを堪能してから、二人はその場でリンゴの皮を剥き、カットしながら食べた。 新鮮なリンゴは甘くて瑞々しい。 「草原で横になって、空と緑の景色に挟まれて食べるものは美味しいですね」 「そうじゃのう」 ザカコたちはひとしきり食事を終えると、草原に横になって景色を眺めた。 青空と白い雲と、草原の緑。淡く混じり合うその風景を眺めているだけで、心が穏やかになっていくようだった。 そうこうするうち次第に日が落ちてきた。しばらくは二人で落ちて行く日を眺めていたが、ようやくザカコたちは立ち上がった。 「たまには、こうしてのんびりと気楽にピクニックを楽しむのも良いですね」 夕日を眺めながら草原に向かって丘を下っていく途中、ザカコは空を見上げてそう言った。 「この爽やかな時期だからこそ、楽しめるイベントでもあるからの」 アーデルハイトもすっかりリラックスできたようで、どこか楽しそうに坂を下っていく。 「できれば、こうしてまたアーデルさんと一緒に出かけたりしたいですね」 ザカコの言葉に、アーデルハイトは笑みを浮かべた。 「ザカコは、良い気分転換のできるところへ連れて行ってくれるからの」 「そう思ってもらえて、嬉しいです」 アーデルハイトの笑顔を見て、ザカコも自然と笑みがこぼれた。 こうしてアーデルハイトが笑顔でいてくれたら――と思いながら、ザカコはオレンジ色に染まって行く空を眺めていた。