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婚活卯月祭、開催中!!

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婚活卯月祭、開催中!!
婚活卯月祭、開催中!! 婚活卯月祭、開催中!!

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 恋人同士でデートを楽しむ人たちもいる。
 眺めのいい、空京側の丘の一画。ここは、カップルや夫婦用に解放された特別なスペースである。祭りの賑やかさは充分に伝わってくるが、穏やかで静かな時間の流れが感じられる場所だ。
 その付近を、永井 託(ながい・たく)南條 琴乃(なんじょう・ことの)はのんびりと遠くを眺めながら歩いていた。
「向こうに空京がうっすらと見えて、凄く綺麗だね!」
「うん、いい眺めだねぇ〜」
 そんな話をしながら彼方に薄く見える空京のビル群を眺めている託たちの背後から、近寄ってくる二つの影があった。
「おや、アルクラントさんにシルフィアさんじゃないか、久しぶりだねぇ」
 気配を感じて振り返った託の目に、ぎこちなく手を繋ぐアルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)シルフィア・レーン(しるふぃあ・れーん)の姿が映った。
「あ、託さんと部長さん。ほんとに久しぶり!」
「長いこと揃ってるところに会っていなかったな。花見以来か」
 シルフィアがすぐに挨拶をし、アルクラントが後から言葉を続ける。
「去年のお花見以来かぁ……そういえばそうだったかもねぇ」
 託が記憶を引き出すように、遠く丘の下を眺める。祭の会場から少し離れれば、そこには草原が広がっている。
「ふふ、そういえばあの時は誘おうと思ったら二人とも『約束が』なんて言ってたんだった。他の皆は気づいてなかったみたいだが、私は色々と勘付いていたんだよ」
「まあ、アルクラントさんに気づかれたのには、気づいていたけれどねぇ」
 あはは、と笑う託を見て、アルクラントも笑みを浮かべる。
「皆が知るところになったらからかってやろうとずっと思ってたのに、なかなか機会がなかったね」
「むしろ他の人に気づかれていないのが不思議なくらいだったしねぇ」
 そう言って託は、琴乃と視線を交わして幸せそうに微笑んだ。
「それはそうと、ここにいるってことは二人も……」
 託の言葉に、アルクラントとシルフィアは照れたように顔を見合わせる。
「うん……私達も二人から遅れること1年、ようやくちゃんと、ね」
「やっぱりそうなんだねぇ、おめでとうだよ」
「二人ともおめでとう! 幸せなんだなって感じが伝わってきて、私も嬉しいな!」
 託と琴乃の祝福に、恥ずかしそうにと笑うシルフィア。
「私たちだって、二人よりも……その……ら、ラブラブなんだから! う、腕だって組んじゃうもんね!」
 そう言って、アルクラントの腕に自分の腕をぎゅっと絡めるシルフィアと、驚いて焦りながらも照れるアルクラント。そんな二人を、託と琴乃は微笑ましそうに見つめた。
「琴乃、僕らも組むかい?」
「……うん」
 琴乃も、託の腕にそっと自分の腕を絡めた。
「もしお邪魔じゃなかったら、一緒に行かない? 二人の一年も聞きたいし、私達の一年も沢山話したいことあるし」
「うん! みんなでもう少し上の方の、眺め良いところ行こうよ!」
 シルフィアの提案に、琴乃が賛成する。四人は丘を登り始めた。

「……パラミタでの数多くの素敵な出会いの数々は部長のお陰でもある」
 丘を登り始めると、アルクラントが琴乃にそう言った。
「あの時出会った探検団の仲間達の多くは、今は世界すてき発見の仲間として私と共に歩んでいる」
「突然どうしたの?」
「いや、部長には本当に感謝している。その事をずっと伝えたかった。どうか二人、幸せに素敵な日々を過ごして欲しい」
 琴乃は、アルクラントの言葉が終わると、微笑んだ。
「うん、ありがとう……! これからも、幸せな日々を過ごしていきたいな!」
「――あ、託にはちょくちょく会ってるからノーコメントな。いや、君にもこの地の先輩として感謝してるけども」
 託は苦笑いをしながら、物思いに耽る。

 ……幸せな日々を過ごす、かぁ。
 僕はこの1年が本当に幸せだったと思えるわけだから……。

「ねえ、琴乃。ずっと一緒にいてほしいといったら、どうする?」
 足を止めた託は、琴乃にそう問いかけた。
「え、それって……」
 アルクラントとシルフィアが見守る中、琴乃は言葉を続けた。
「それって、もしかして……?」
 琴乃の目が、少し開かれる。
「……琴乃?」
 沈黙に不安になった託は、小さく琴乃の名前を呼ぶ。
「ううん、私……そう言ってもらえるの、待ってたんだ!」
 少しだけ頬を赤く染めて、満面の笑顔を返す琴乃。
「私も、これからもずっと一緒にいてほしいって、思ってる」
 託は、そんな琴乃を思わず抱きしめた。アルクラントとシルフィアはそんな二人を見て、微笑んだ。