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婚活卯月祭、開催中!!

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 そんな二人のすぐ近くで、理知と翔もシートを広げていた。二人の前に置かれたのは、理知が作って来たお弁当とレモンティーだ。
「翔くん、それ一口ちょうだい?」
 レモンティを飲んでいる翔を見て、理知はそう言い手を伸ばした。
「理知の分のレモンティ、まだ残ってるぞ?」
「だって、翔くんが飲んでると美味しそうに見えるんだもん」
 少し照れたように、翔はカップを差し出した。理知はえへへ、と笑って翔の飲んでいたレモンティを受け取った。
「……じゃあ、俺も理知のレモンティ、飲んでいいかな」
「うん、もちろん!」
 理知は笑って、自分のレモンティのカップを差し出した。

「――翔くんは、理想の家庭、みたいなものってある?」
 お弁当も半分以上食べたころ、理知はそれとなく訊ねた。二人の将来について、理知は翔の考えを聞きたいと思っていたのだ。
「ええと……家庭っていうと、つまり……こう、子供が居て――」
 翔は今まであまり具体的な想像をしていなかったのか、想像を働かせるように視線を上空に彷徨わせた。
「あ、子供は男がいいかも。イコンの話とかさ、女の子じゃ盛り上がれないもんな」
 言葉にしながら少しずつ想像をまとめていくように、翔は少しずつ言葉を紡いだ。
「理知は、どんな家庭が理想?」
「私は、何でも言い合える明るい家庭が理想かな。お父さんとお母さんが私の目標だよっ。翔くんは?」
「うん、俺もそんな感じかな?」
 理知と翔は顔を見合わせて、微笑み合った。
「それから、休日は理知と子供と一緒に演習場に行ったり、イコプラの大会見に行ったりしてみたいかな。
 ――って、あ、もちろん、理知の行きたいとこにも行きたいよ。いや、理知が子供を連れて行きたいとこ、かな」
「私が子供を連れて行きたいところ、かあ」
 理知も、将来の自分の姿について想像する。翔くんとこれからもずっと一緒に居れたら良いな、と思いながら。



 接客をしながら、ネージュたちは近くに座る二組のカップルを眺めていた。
「……どう、ヒントは見つかった?」
 ネージュの言葉に、ディアーヌは小さく頷いた。
「ヒント、と言えるか分かりませんけれど……。お互いのことを思い合っているのが伝わってくるのは、それが楽しそうで幸せそうに過ごせる理由なのかな、って思います」
 ネージュは何も答えずに微笑むと、また一組、芽依に誘われて屋台にやってきたカップルを見る。ディアーヌはそんなネージュや夢十夜たちと接客をする。
(幸せになってくれますように)
 そう、微笑むカップルたちの幸せを願いながら。

 屋台の行列は、まだまだなくなりそうにない。