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婚活卯月祭、開催中!!

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 フリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)は、レン・オズワルド(れん・おずわるど)に誘われて卯月祭に足を運んだ。
「いつもお弁当を用意してくれるレンの為に今日は私が腕によりをかけてお弁当を作ってきたわ」
 丘の麓にある草原にシートを広げて、フリューネは淑やかな微笑みを浮かべる。
「フリューネ、料理中に怪我したりしていないか?」
「大丈夫! この日の為に料理の練習はちゃんとしてきたんだから! 今日はもう食べられないよって根を上げるくらい、私の手料理を楽しんでもらうんだからね!」
 ふふ、と笑ったフリューネが、サンドイッチ等が山盛りに詰め込まれたバスケットをレンに見せる。
「そうそう今日はいつもの服じゃなく白いワンピースにしたわ。こんな長いスカートじゃエネフには乗れないけれど、折角のデートなんだからオシャレにいきたいからね」
「フリューネ……」
「――それに、何かあってもレンが守ってくれるって信じているから。……こ、光栄に思いなさい」
 そう言って、フリューネは照れたように笑う――


「……という夢を見たんだ」
 レンが言い終わらないうちに、ペシ、とフリューネの突っ込みが後頭部に入る。もちろん、フリューネはワンピースなどを着ているはずもなく、いつも通りの動きやすそうな格好をしている。エネフも少し離れた場所で草を食んでいた。
「いや、お前が料理が苦手なのは知っているし、お嬢様らしい服装をしないのも知っているんだがな。たまには意外性というものをだな……はい、すいませんでした」
「分かればいいのよ、分かれば」
 レンの妄想に突っ込むフリューネ。そんな二人を、リネン・エルフト(りねん・えるふと)が笑って眺めている。
 今日の卯月祭には、リネンもレンもフリューネを誘っていた。そして、リネンからもレンからも、フリューネと二人きりではなく皆で一緒に過ごそう、と提案したため、こうして一緒にピクニックをしている。
「ユーフォリア様とヴァレリアは元気そう?」
 レンの用意したお弁当に手を伸ばしながら、フリューネはリネンに訊ねた。
「二人とも、屋敷でのんびりと毎日過ごしているわよ。ヴァレリアもすっかり回復してきていて『もう少し回復したら、助けてくれたキロスにお礼を言いに行きたい』って言っているわ」
「それなら良かった」 
 リネンは微笑んで、草原へと視線を向けた。
「考えてみれば、ユーフォリア様に恋人がいてもおかしくないとは思うけど……ちょっと意外だったわね」
 ぼんやりと草原を眺めながら、リネンが呟く。
「……フリューネも結婚するならやっぱり、男の人の方がいい?」
「――それ、ズルい聞き方じゃない?」
「バレちゃったか」
 フリューネの突っ込みに、リネンは冗談ぽく笑った。
「まあ、私の場合、どっちの性別の人がいい、とかじゃなくて、女性でも男性でも関係ないという感じね」
 フリューネもそう言って、微笑み返した。
「こうして、ゆっくりと過ごせる時間って本当に貴重よね。だから、今日は二人に誘ってもらって本当に嬉しかったわ」
「ああ。戦ってばかりでは誰かを気に掛ける余裕もなくなってしまう。また戦うことが目的になり、何の為に戦うかも忘れてしまう」
 レンが、フリューネの言葉に同意する。
「こうした『日常』を過ごすことで、自分が何の為に銃を手にしたのかを思い出す」
「日常?」
 レンは笑って、言葉を繋げた。
「フリューネと過ごすこと、傍に居ることが。俺にとっての『日常』だということだ」
 こうして三人は穏やかな『日常』を過ごしていた。