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魔の山へ飛べ

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魔の山へ飛べ

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   終章

 全ての契約者たちが山を下りたのは、それから二日後だった。
「ヒャッハー! オレ様登場!!」
 木の上でテンション高く叫んでいるのは、第六式・シュネーシュツルム(まーくぜくす・しゅねーしゅつるむ)だ。
「うるさいなあ、もう」
 東 朱鷺子(あずま・ときこ)は口を尖らせ、声を大きくした。
「今、大事な話をしているんだから静かに!!」
「お主もナ!」
 朱鷺子は周囲を見回し、誰もいないことを確認すると、東 朱鷺(あずま・とき)に合図をした。
「漁火さんねえ……朱鷺子のいた次元の未来では茶飲み友達だったけど、この次元では違うんですねえ……興味深いです」
 朱鷺子は自称未来の「東 朱鷺」自身だ。曰く、その次元の違う未来でも漁火は過去を語らぬミステリアスな人物であったらしいが、この世界の朱鷺が漁火に手を貸すというなら、協力は厭わないという。
 ちょうどその頃、漁火の正体についてハイナ・ウィルソンへの報告がなされているが、もちろん、朱鷺たちはそれを知らないでいる。
「……あれ? 何か踏んだ?」
 朱鷺子は足元に違和感を持ったが、直後、頭上の第六式がまた叫んだので「うるさいなあ!」と怒鳴り返してそれを忘れた。
「……彼らを『神』の元へ行かせて構わなかったのですか?」
と朱鷺は尋ねた。「邪魔をすることも出来たはずです」
「他の人にはお願いしましたけどね、どの道、あの人はあたしの邪魔をするでしょう。昔っからそうなんですよ、五千年前もね」
「五千年前……というと、前にミシャグジが復活したときの?」
翼ある大蛇と呼んでほしいですね。その方がいい名前でしょう?――それにね、ほとんどのお人があっちに行ってくれて、ほっとしてるんですよ」
「と言うと?」
「遠征隊の人数が、大分減ったでしょう?」
 捜索は人数の限界もあり、やはり同じ日にいったん捜索を打ち切っている。可能な限り範囲を広げたが、漁火にとって幸いなことに彼女と彼女の道具は見つからなかった。近いうちに第二次遠征隊が組まれるかもしれないが、
「その頃には、もう間に合わないでしょうから。あの坊やはいい仕事をしてくれましたよ、本当に」
「キミの目的をそろそろ教えてくれませんか?」
「今も昔も一貫してますよ。翼ある大蛇に自由と命を与えることです。生まれたからには当然の権利でしょう? それにあの子は、とっても力があるんです。誰にも押さえつけることなんて、出来やしませんよ」
「……で?」
「種は撒いてあります。後は時が満ちるのを待つばかりですよ」
「それは、この山に何かあるということですか?」
「さあ、どうでしょう」
 漁火は、はぐらかすように笑った。
「待てば、どうなりますか?」
「翼ある大蛇が、真の翼を得ることになるわけです。誰にも止められやしません」
「……決して?」
「そうですね」
 くすり、と漁火は笑みを浮かべた。
「あたしを殺せば、出来るかもしれませんね」
「そうはさせませんよ」
「頼りにしています。――あんたもね」
 漁火は頭上に目を向けると、第六式が飛び下りてきた。
「オーケー、オーケー。オレ様、オマエ、協力するネ! オレ様、大活躍、オマエ、大興奮!! ヒャッハー!」


 翌日、新風 燕馬、ザーフィア・ノイヴィント、リューグナー・ベトルーガーの三人は再び山にやってきた。落とした携帯電話を見つけたリューグナーは、ボイスレコーダーが作動しているのに気付き、再生してみた。
『……彼らを「神」の元へ行かせて構わなかったのですか?』
 録音された会話から、漁火が何かを計画しているらしい、という報告がハイナの元へ届けられた。

担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

お待たせしました。「魔の山へ飛べ」リアクションをお届けします。
実はプライベの後、風邪を引いてしまいまして(今も残っていますが)、結構長引いたので、予定より遅くなってしまいました。先週中にはお届けしたかったのですが。症状が出たのが月曜の夜、火曜の朝から酷くなったので、月曜にどこかで貰ったかなーと思っていましたが、PLさんの一人がやはり風邪を引いたと仰っていたので、もしかしたらプライベ会場で移ったのかもしれません。他の皆さまは、大丈夫でしたでしょうか?
熱はなかったのですが息が出来ずにフラフラしていました。ちょっと前半に出た人は、申し訳ないことをしたかな、と思っています。体調管理をしっかりせねばと反省(今度からはプライベでもマスクするか!)しております。

以下はネタバレも含みますので、本文に目を通されてからこちらを読むことをお勧めします。


今回のメインは二つ。
1.山の探索
2.神さまに会うため頂上へ向かう
です。
想定外だったのが、御前試合上位三名が全員揃って平太の方についていったことでした。一人ぐらいは佐保&匡壱と動くと思ってたんですよ……。
更に、漁火とシャムシエルに関しては、1の場合のみと決めていましたので、2で探した人は残念な結果になってしまいました。

1は、人数が少ない上にほとんどの人と妖怪が殺気立っていたので、結果、漁火はやりたい放題ということに……。一応、「何かしている」という情報は届いていますが。
なお、録音された内容からは、何者かが漁火に協力しているものの、東 朱鷺さんであるということは分かっていません。今後、PCさんは気を付けて行動してください。

2.やっと出せましたオルカムイ。「神さま」の正体です。漁火ともオーソンとも関わりのある人物です。
まだ色々謎があるようですが、ぼちぼち出せていければと思っています。


ベルナデットを元に戻すには漁火を生きて彼の前に連れていかなければなりません。しかし、漁火の企み(詳しくは次回)を頓挫させるには、彼女を殺すしかない……?
次回は、ようやく漁火の決着編……になる予定です。
ではまた、お会いしましょう。