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今日はハロウィン2023

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今日はハロウィン2023
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リアクション

 ホラーなオープンカフェに向かう道々。
「ハッピーハロウィン。お祭りを楽しみに妖怪の山から来たの?」
 ルカルカは出会った妖怪骨女に声をかけた。
「ハッピーハロウィン。えぇ、人が沢山集まると聞いて」
 着物を着た骨女はカタカタと笑いながら答えた。
「自分の姿を見て貰いたくてか」
 『博識』を有するダリルは骨女の目的を察した。
「えぇ、人間であった時はそれはもう醜くて……でも今は白い肌に細い腕を持つ素敵な姿を得られて人に見て貰いたくて。名乗り遅れたけど私は牡丹。着物も名前と同じ柄よ。どう?」
 骨女は優雅に頬に手を当てながら軽く自分の事を話した末、自分の姿を褒めて貰おうとするのだった。
 答えたのは
「……着物に映える美しい白だ」
 英照。褒められる要素がほとんど無いにも関わらず上手に褒めた。
「ありがとう。それでは」
 満足した牡丹は自分の姿を見せびらかすためにどこかに行った。
 その姿を見送った後、
「ロー、ナイス!」
 ルカルカはぐっと親指を立て
「確かに骨だから美しい白だな」
 ダリルは英照が発した褒め言葉にうなずいていた。
 この後、無事にホラーカフェに到着し、賑やかに過ごした。

 一方、蓮華。
 双子の悪戯から解放された後、蓮華は鋭峰と並んで歩いていた。
「……あの、トリック・オア・トリートを誰かとしましたか(二人きりになれたのはいいけど……どうしよう……さっきのどきどきが)」
 蓮華は頭は鋭峰と手に手を取って踊った事でいっぱいだが、何とか鋭峰を楽しませようと精一杯話しかける。
「いや、してはいないが。そもそも渡せる物を持っていない」
 鋭峰はざっくりと一刀両断。ここで鋭峰が何か持っていれば交換などで楽しめたろうに。
「……そうですか……そういう、私もありませんでした」
 蓮華は自分も手ぶらである事を思い出し、話題を失敗したかと思って少しがっくり。
 そんな蓮華の横顔を見た鋭峰は思いやってか
「……どこかで一服して行くか」
 いつもの声音でフォローを入れた。
「はい。あのカフェテリアはどうですか。その、トリートという事で私が御馳走します!」
 蓮華は自分を気遣ってくれたと感じ取り元気を取り戻し、笑顔になった。
 カフェテリア『宿り樹に果実』出張店にて蓮華達は楽しく過ごしてからまた通りに戻った。

 カフェテリアを出た後。
「すみませんが、記念写真の撮影をお願いしていいですか?」
 ローズが皆と記念撮影をするために走り回っている現場に遭遇した。
「構いませんよ。撮影する物はありますか? もしなければサービスでご用意しますよ」
 撮影機器を持ったスタッフはにこやかに対応していた。
「持っていますので撮影だけお願いします」
 ローズは準備したばかりの撮影機器を見せながら答え、スタッフを連れて仲間の元に急いで行った。

「……記念写真を撮影する人もいるんですね。当然と言えば、当然ですよね。これだけ姿が変わりますしハロウィンですから(……団長と一緒に記念写真もいいかも……でも)」
 蓮華は鋭峰に話しかけながら頭の中で色々考えては胸はいっぱいになっていた。
「そうだな。よく見れば、ちらちらと撮影しているな」
 鋭峰は周囲に視線を巡らせた。珍しい姿になったのが嬉しいのかあちこちで写真を撮っている人がいた。
「ですから……私達も撮りませんか?」
 蓮華は思わずぽろり。心の中で記念撮影について考えていたためか無意識に出てしまった。
「ふむ、記念撮影か」
 即断ると思いきや鋭峰は少々考え込んでいた。
「……あ、あの、団長がお嫌でしたら」
 嫌がっていると思った蓮華は急いで言葉を挟んだ。
「嫌ではないが、トリートにはならないな。君にトリートを貰いながら返さないのはと思ったが、やはりここは……」
 鋭峰は蓮華にトリートを貰った事を考えていた。写真ではトリートにはなり得ないか、お菓子の方がいいかと。
「それでしたら……是非お願いします!」
 鋭峰が記念写真撮影を嫌ってないと知り、蓮華はぱぁと表情を明るくし、深く頭を下げてお願いするのだった。
 そして、二人は近くのスタッフに声をかけ記念写真撮影となった。

 記念撮影現場。

「撮影しますよ〜。あの、すみませんが女性の方、もう少し寄って下さい」
 スタッフは撮影機器を構えながら鋭峰と離れて立つ蓮華に寄り添うように指示を出す。
「……はい。団長、すみません」
 蓮華は顔を赤くしながら恐る恐る鋭峰に接近。
「あぁ」
 鋭峰はたった一言。ただ嫌な顔はしてはいなかった。
「それでは、ホラーなポーズをしたり腕を組んだりお好きなポーズをお願いしますね」
 あとはポーズだけとなった所でスタッフは余計な事を口走った。おそらくは蓮華達を恋人でも思っているのだろう。
「……は、はい(……腕を組むって……したいけど……さすがにそれは……というか、団長と近いだけで……もう死にそう)」
 蓮華は近くに寄り添っているだけでもう頭の中身が茹で上がりつつあるというのにしたい腕組みまでしたらどうなるか。もう胸中を隠し切れていない。

 結局、
「団長、このままでいいですか? 何かお試しになりたいポーズがありましたらお付き合いします」
 蓮華は寄り添う以上の事は諦め、鋭峰にポーズのリクエストを訊ねた。
「いや、私もこのままでいいが」
 さすがに鋭峰も奇抜なポーズをするような方ではないのでこのままとなった。
「それなら、これで行きましょう」
 蓮華は鋭峰の意見を確認した後、スタッフに伝えて写真撮影を行った。

 無事に終了し写真の送り先について話し合いをした後、
「はい。お疲れ様〜。プリント出来次第、お二人にお送りしますね〜」
 スタッフはにこやかに去った。
 残った二人は、
「団長、一緒に写真に写って頂き、ありがとうございました」
 蓮華は丁寧に礼を言った。鋭峰と踊っただけでなく一緒に食事をしたり写真を撮ったりと満足そのもの。
「君は写真ぐらいで大げだな」
 大袈裟な蓮華に鋭峰は口の端に軽く笑みを浮かべていた。
 この後、無事に記念写真は蓮華と鋭峰の元に届いたという。

 ハロウィンが終了しルカルカ達と蓮華達が合流した後。
「十分に羽を伸ばせた」
 と礼を言う鋭峰にルカルカは
「恐悦至極に存じます」
 と悪戯っぽく答えた。
「あぁ」
 うなずきながらも鋭峰は微かに笑った。
 そして、高速飛空艇「ホーク」でルカルカ達が鋭峰と英照を教導本部に送った。