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リアクション
7.
遺跡内を制圧し、コントロールルームへ到達したルカルカ・ルー(るかるか・るー)はテロリストのリーダーと相対した。
「殺すつもりはねぇ!下がっててくれりゃいいんだ!」
カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が呼び出した不滅兵団によって残る部下達を牽制する。
夏侯 淵(かこう・えん)が駆け、剣を振るう。
薙ぎ払う剣技によって周囲のテロリストごと圧倒し、リーダーの姿勢も崩れた。
ルカルカの振り上げた刀の峰が肩を打ち、夏侯 淵の剣の腹が身を叩く。
リーダーは倒れ伏すが、まだ意識は残しているようだった。
「……ったく、有能な部下に恵まれて羨ましいことだ。こいつらとは大違いだな」
「投降しなさい。でなければ死よ。貴方の戯言に付き合う暇なんて金団長には無いんだから」
残る少数のテロリストも既に戦意はない。反撃の芽は皆無といえる。
「死、ねえ。そうだな、そいつも悪くないか」
しかしリーダーは薄ら笑いを浮かべたまま。
ルカルカはダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)に頼んでいた作業の確認をとる。
「回路の切断は行ったの?」
「……ああ。先行して破壊した。だが遅かった、確認した時点で既に起動していたようだ」
「そんな! 報告ではさっき起動させたばかりだって――」
「ハ。ああ、こいつのことか?」
リーダーが先程スイッチを押した小型機械を取り出し、投げ捨てる。
「ブラフだよ。爆弾は既に起動した後だ。黙っていても良かったんだが、あのままだと『平和的解決』に流れそうだったモンでね。
こんな結果になって非常に残念だ。お前らの死に際をじっくり観察できないこともな」
銃を取り出し、その銃口を。
自らの頭に、向ける。
「――っ!」
全員が息を呑んで、
――カツン、と石の転がる音が響く。
「……ったく。命を無駄にするんじゃねえよ。自殺なんざ阿呆のすることだぜ」
カルキノスの手によって、リーダーは魔石に封印されたのだった。
封印呪縛によって囚えられた生物の時間は停止する。
「装置を停止させないと! ダリル、解除コードは!?」
「機構が原始的すぎて外部からの操作を受け付けん。パスワードが分かれば早いんだが」
タイミングを見計らったように、通信車からの連絡が入る。
『レジーヌ少尉が解除パスワードを発見した。今から伝えるので急いで制御盤に入力してくれ。パスは古王国語で――』
――灰は灰に。
匣の見る夢は終わり、悲劇の幕は閉じる。
/
『夢を見る匣』の本体、巨大結晶を見上げながら少女は独り佇んでいた。
その姿を維持する力を失い、人の形はさらさらと崩れていく。
『……お……ン……』
――おとうさん。
『……ナ……い……』
――ごめんなさい。
それは何に対する謝罪であったのか。
契約者たちが見守る中、少女の作られた器は消滅し眠りにつく。
今度こそ、幸福な夢を。
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