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リアクション
装置解除からしばらく後、エリザベート達護衛組も合流を済ませた。
突然、グリフォンが一瞬にして灰になると同時に
「……殺気だらけじゃねぇか」
『殺気看破』で周囲を警戒していた白銀は低姿勢で『超感覚』による警戒に切り替えた。
「これは大変な事になったね」
と北都は宮殿用飛行翼で空でアルテミスボウを構えた。空と地上から大量の魔物が襲撃してきた。まるで魔術師に引き寄せられるかのように。
「来たか。しかし、今はもう魔法が使える」
ベルクは不敵な笑みを浮かべ臨戦態勢へ。
「二人を守りますよ」
「分かった」
フレンディスとジブリールも撮影者と魔術師を守るために戦う。
「これ以上は接近させないよ」
北都は遠距離の敵にはアルテミスボウで威嚇射撃をして
「悪いけど、ここから先へは行かせないよ」
一定の距離に敵が接近して来た場合は逆に接近して『百獣拳』を叩き込み、片っ端から片付けて行った。
「あともう少しだっていうのに、なんだって」
白銀は『神速』で敵が自分を認識する前に動き、二刀の霊断・黒ノ水で切り裂いていく。 時には
「飛べなくてもこれくらいは出来るんだぜ?」
『軽身功』で壁を駆け上がり、側面から上方から低空飛行の敵に攻撃を喰らわせ墜落させていく。
「魔法で片付けさせて貰うぜ」
ベルクは必殺の術『渾爆魔波』を放ち、空の魔物を一掃。
「フレンディスさん!」
ジブリールはリターニングナイブズによって魔物を引き寄せ、
「行きます!」
フレンディスが『正中一閃突き』で次々と急所を突き、とどめを刺していく。ジブリールは不殺生の約束を貫いているため、とどめを刺すのはフレンディスの役目。
「次から次へときりがないわね」
美羽も得意の蹴りで応戦。
「撃ち抜くでありますよ」
吹雪は射撃で空の敵を追撃させていく。
戦える者が多くいたためかあっという間に魔物は一掃された。
改めて
「……ようやく」
撮影者は魔術師に近付き、衰弱もあってかおぼつかない様子で両手を思いっきり伸ばした。
「……(あの見覚えのあるあれは……)」
「……(あれを持っているのは……聞いた話から考えると形見かな)」
ベルクと北都は撮影者の両腕にある銀の腕輪、袖に隠れて今まで見えなかったが腕を伸ばした事によって明らかになったそれに既視感を覚えると共に心当たりの人物に思い当たっていた。
それはこの場にいる者全員も同じだった。
「……あれは見覚えがあるでありますよ」
「うん、私もある」
吹雪と美羽。
「舞花ちゃん、あれ見覚えがあるね」
「そうですね」
ノーンと舞花。
「……シリウス、もしや」
「あぁ、無いとは言えねぇな」
リーブラとシリウスも。
とにもかくにも撮影者と魔術師は統合し、元に戻り一つの存在になった。
休む間もなく、この騒ぎを完全に収集するため分離現象を発生させ、歪に出現した平行世界を帰還させ、魔物と天変地異も大人しくさせ来訪者達を送り届けた。
騒ぎは収束したが、終わりではなかった。長い衰弱の影響か仕事を終えるなり撮影者は気を失い、その場に倒れてしまった。
「すぐにここから出して休ませるのじゃ」
アーデルハイトの指示で討伐者達は彼を抱え、遺跡を脱出した。
その後、撮影者はイルミンスール魔法学校が責任を持って保護する事となった。
遺跡の取り壊しは後日撮影者の事が片付いてから行われる事となった。