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リアクション
■七夕祭り・4
「……願い事を書いてからお店を始めましょうか」
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の子孫の御神楽 舞花(みかぐら・まいか)は屋台を出す前に手早く短冊を手にしていた。
「願い事は……(皆が笑顔で過ごせる日々が続きますように、ですね)」
舞花はすぐに願い事を書いた。
そして
「これを笹に吊してから私も頑張りましょう」
舞花は短冊を笹に吊してから自分のやるべき事を始めた。
祭りに参加する多くの人を楽しませるために。
屋台。
「短冊に願い事も書いた事ですし、私は美味しい食べ物を売って七夕イベントを盛り上げるのに貢献するべくこの屋台を出しましょう」
舞花はてきぱきと準備を始めた。
魔法のエプロンを纏い、地祇の鉄板を用意してから
「……食材も機材も大丈夫ですね」
『資産家』と『用意は整っています』で必要な機材や食材は調達済み。もちろん『根回し』でイルミンスール魔法学校から営業許可は取ってある。
「本日は祭りですから私一人では回りませんから……」
舞花は連れて来たメイドロボに手伝いを頼む。
「……お好み焼きと焼きそばを作りましょう(夜とは言え夏で熱い物の提供ですから麦茶のサービスも)」
舞花は早速メイドロボと力を合わせて熱々のお好み焼きと焼きそばを軽やかに作り始める。
さすがに夏に鉄板での料理は作る方も暑いが
「焼きそばにお好み焼きはいかがですか?」
表情には一切出さず、笑顔で呼び込みと接客をするのだった。
営業開始後。
「いい匂いがすると思ったら……」
焼きそばやお好み焼きの香しい匂いに誘われ貴仁が現れた。丁度、願い事を書き終えた後だ。
「いらっしゃいませ!」
舞花は最高の笑顔で客を迎えた。
「焼きそばを一つお願いします」
貴仁は人差し指を立てながら注文した。
「はい、焼きそば一つですね」
舞花はすぐさま調理に入った。
しばらくして熱々の焼きそばが出来上がり、メイドロボに焼きそばを貴仁に渡した。
続いて
「こちらはサービスでお配りしています麦茶になります。こちらもどうぞ」
舞花がメイドロボが焼きそばを渡している間に『ティータイム』で用意した冷たい麦茶を差し出した。
「ありがとうございます。冷たい麦茶ですか、これはいいですね」
ありがたく麦茶も頂き屋台を離れた。
そして
「なかなか美味しいですね」
美味しく食べ歩きをしながら祭りを楽しんだ。
次に訪れたのは
「小腹が空いたわね」
メシエとデートをするリリアだった。
「焼きそばとお好み焼きがあるみたいだけど……」
「焼きそばがいいわ」
注文する物を訊ねるメシエにリリアは予め決めていたのか即答であった。
「はい、少々お待ち下さい」
注文を聞いた舞花はすぐに調理に入った。
しばらくして、焼きそばは完成し、サービスの麦茶と一緒にリリアに渡した。
受け取ったリリアは美味しそうに食べながらメシエと共に行った。
「ありがとうございました」
舞花はよく通る声で客達を見送った。
続いて
「舞花さん、こんばんは」
「舞花さん、あの、焼きそばとお好み焼きをお願いします」
ジブリールとフレンディスが現れた。
「こんばんは。焼きそばとお好み焼きですね」
舞花は挨拶をしてから注文の品をすぐに作り上げてから
「どうぞ。麦茶もご一緒に……お祭り楽しんで下さいね」
麦茶と一緒に出来上がった商品をフレンディスに渡した。
「はい。舞花さんも頑張って下さい」
「頑張ってね」
フレンディスは商品を受け取ってからジブリールと共に舞花を励ましてから仲間の元に戻って行った。
「ありがとうございました」
舞花は去る二人を見送った。
その後も舞花は商売に励み、暑さにも忙しさにも負けず、繁盛させたという。
夜明け。
「……無事に夜明けを迎える事が出来ましたね」
舞花は無事にこの時を迎える事が出来て心底安堵していた。
そして、
「……願い事が光になって空に昇る……美しい光景ですね。これは是非……」
眼前に広がる光の粒子が天に昇る幻想的な風景に心を奪われると同時に独り占めするにはもったいないと持参していたデジカメで撮影して保存して祭り終了後、御神楽夫妻にメール送信して感動を伝えたという。