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死神動画 前編

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死神動画 前編

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■エピローグ

「あの馬鹿、勝手に一人で判断するなんて、何やってるかですぅ」
 モニターで、帰ってこない返事を待ちながらエリザベートはどうにも苛ついているようだった。
 エリザベートの後ろでは、すぐに魔王を助けに行くべきだ、事件の解決が優先だと議論が交わされている。
 だが、エリザベートの考えは既に1つ。
「あの馬鹿コピーをさっさと助けに行って内部から死神動画をぶち壊してやるですぅ!」

 エリザベートが決意を新たにしている横で、鋭峰は皆の集めた情報をまとめていた。
 人々の死に様を知り、動画として公開する彼ら。
 彼らの運営する、死神動画の構成は現代の技術では成しえる事の出来そうもない知識で組み上げられていた。
 サーバーへの不正アクセスも、先から答えを知っていれば実現可能なのではないか。
「未来人、か」
 恐らく、動画サイトを運営している人物の正体はそう言う事なのだろうと鋭峰は考える。
 場所も正体も判明した以上、そちらは教導団や他のメンバーに任せておいて問題はなさそうだ。
「だとすれば、アレは何だ?」
 動画に登録し、自分の死を知ったものを消そうとしてくるローブの人物。
 彼らの率いている地球に伝わる空想上の神話の存在に酷似した犬のような物。
 今、最も危険視する存在は間違いなくこちらだと確信できていた。
 襲われた契約者達に話を聞けば、誰もが自分の動画が更新された直前に襲われているという。  
 死神動画が死に様を公開した後に、書き換わった動画に合わせて襲ってくる意図は全く読めない。
 だがしかし、今回の変死事件を引き起こしているのは間違いなくそちらである。
「未来を知り、書き換える罪人、か」
 そう言えば、今回の事件の被害者も死ぬことさえなければこのパラミタに置いて多大な影響を与える人物になったのではないか。
 襲われた契約者達も自分の死を回避し、更なる人々を救い、未来そのものを書き換えていくのではないか。
「ふむ……」
 鋭峰はそう考えるなり、傍にあったパソコンの前に座り、死神動画を開く。
「私は死神動画に登録する。教導団団長が自らの未来を知り、死を回避する。奴らにとってこれほど許しがたい事はあるまい」
 鋭峰の言葉は、その場に居た人々を驚かせる。
 そんな彼らの姿を見て、悪魔ルナティックは本当に楽しそうにしていた。

担当マスターより

▼担当マスター

蘭鈴六

▼マスターコメント

おやおや、皆様が集めて頂いたにも関わらず、全ての情報が明らかにされていないご様子!
折角ですのでこちらに一覧として公開しておきましょう。
何、気にすることはありません、ワタクシ楽しんでおりますので。

■死神動画の運営
団長様もおっしゃっておりましたが、恐らくは未来からやってきた者達でしょう。
居場所は空京市街地、有事の際には人ごみを利用して逃げるつもりでしょうかね?

動画サイトのセキュリティや構成には目を見張る物がありましたが、
未来を人に教えて救うという救世主にでもなったつもりなのでしょう。
ああ、全く持ってクダラナイ。

■ローブの人物
様々な場所に現れ、犬の様な物を用いて動画を見た者を殺しているようです。
しかし、無差別に全てを消しているわけではなく、ある程度力を持つ者がターゲットのようですね。
勿論、貴方方の様な素晴らしい力の持ち主であれば直ぐに牙を剥いてくるでしょう。

■犬の様な物
正に、犬のようであった犬ではない存在です。
微笑ましことに得体のしれぬ彼らとじゃれつき、捕まえて頂いた彼女のおかげで彼らの能力も判明しているのですよ。
・半透明で、視認し辛いがよく見れば見ることは可能
・身体能力は軍用犬に近いものがある
・無臭で、無音
・針の様なデバイスから出現する

そして、極め付けに彼らはあの長い舌を用いて、獲物の『時』を啜るのです。
一度吸われてしまえば貴方の時は彼らの胃袋の中、二度と体が動くことはないでしょう。

しかし、所詮は犬。斬り捨ててしまえば時は戻ってくる。
身を持って証明していただいておりますので、安心できますネ?

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またルナティックにマスターコメント欄を勝手に使われていました、蘭鈴六(らん すずろく)です。
ご参加いただいた皆さん、お疲れ様でした。

自分達の死に様、如何でしたでしょうか。

事件の全貌が見えてきた矢先、更なる障害が発生しましたが、
皆様のおかげで無事に解決への道は進んでいるようです。

次回は死神動画における後編の話を執筆する予定です。
引き続きご参加いただけると幸いです。