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リアクション
「弾幕を薄めるな! 各員、砲撃続行!」
「了解! これ以上、迅竜に手出しはさせないよ!」
クローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)とセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)は砲座で奮闘していた。
親睦会より数日後。
遂にスミスの放った銀色の機体が迅竜を襲撃してきたのだ。
それだけではない。
敵の中には新たに確認された金色の機体もいる。
きっと、指揮官機だろう。
彼等は圧倒的な力により、迅竜の防衛戦力と戦いを繰り広げている。
泰輔、レイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)、フランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)、讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)の四名は絶妙のチームワークでトレーロを駆って敵を迎え撃っている。
彼等だけではない。
玖純 飛都(くすみ・ひさと)と矢代 月視(やしろ・つくみ)の二人も、かつてイルミンスールの森やヴァイシャリーの街で行われた戦いで使用した有機メカを更に改良し、応戦している。
だが、それでも敵の力は強大だ。
みるみるうちに、迅竜の防衛戦力は押されていく。
迅竜が押されているのは、敵が強大なのはもちろん、もう一つの理由があった。
竜系列、およびそのパイロットであるエース達が迅竜を一時的に離れていたのだ。
大破した竜系列を改修する為には迅竜の設備だけでは足りなかった為、各校に協力を要請。
各校が保有する設備にちょうど送り込んだ所だったのだ。
『なんという力だ…これまでのどれとも違う圧倒的な戦力……! ……迅竜!一時退却し体制の立て直しを進言する! 私は盾となり撤退時間を稼ぐ!』
グレート・ドラゴハーティオンのハーティオンの声が響く。
一方、ブリッジでは――
「いくらなんでも無茶ですぜ!」
声を上げるルース。
それを制止したのは、他ならぬ鈿女だった。
「……あたしも撤退に賛成よ。そうね……ここで引けば被害が出るかも知れない。でも、私たちが全滅すれば誰があの新型を止められるのよ」
表情はつとめて冷静に、鈿女は言う。
「撤退の時間を稼ぐって言ってる奴らがいるのよ。甘えましょう、明日の為に。ハーティオン、皆……帰って来なさいよ……!」
その様子を聞いていたハーティオンは静かに言う。
『ありがとう。鈿女博士。そして、すまない。ドラゴンランダー』
『ガオオオオン!(……負け戦につき合わせてすまん? バカを言え、負け前提で戦う愚か者が何処にいる。 強大な敵を砕いてこそ己の力を実感出来るのだろうが! やる事はいつも通りだ!敵を砕くぞハーティオン!)』
『感謝する』
『ガオオオオン!(フン。にしても強い敵だ。ほう……圧倒的なこの敵の戦闘力! いいぞ、戦闘はこうでなければいかん!)
二人が言葉を交わした後、バグベアードから通信が入る。
『イカン……コレマデノデータヲ上回ルコノ性能……! ハーティオン、コレ勝チ目無イゾ! ……ソレデモ……行クカ、ヤハリ』
『ああ。いくぞ! グレート勇心剣・一文字切り!』
必殺技を繰り出すハーティオン。
だが、それもあっさりと防がれた。
更には『グレート勇心剣』もヘシ折られ、ハーティオンもまた力及ばず撃墜されていくのだった。