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「今年こそは、優勝よ」
 アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が気合いを入れました。
 修練場には、たくさんの観客が集まっています。
「ふふふふ、負けないんだな」
 モップス・ベアー(もっぷす・べあー)も不敵に笑います。
「ライバルは、潰すですら」
 キネコ・マネー(きねこ・まねー)が、ライバル心をむきだしにします。
 第四回の魔法勝負大会が開かれているのです。
 狭い柱の上に立って、互いに魔法で攻撃しあうわけですが、負けると下には……。
「そんな、ばかなあ!」
 アッシュ・グロック(あっしゅ・ぐろっく)が、すっぽんぽんにされて、魔法スライムからペッと吐き出されました。
「勝者、フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)!」
 柱の上でゼイゼイ言いながら、フィリップ・ベレッタが杖を掲げて勝ち名乗りをあげました。アッシュ・グロックは、またも不幸だったようです。
「さあ、日頃の鍛錬を示すのですぅ!」
「おー!」
 エリザベート・ワルプルギスの言葉に、選手たちが気合いを入れました。

    ★    ★    ★

「今年のベストセラーは何になりますかねえ」
「さあ、どうなりますかねえ」
 イルミンスール魔法学校の大図書室で、司書さんたちがカウンター上の写真を見あげてささやきあいました。
 そこには、過去の読書大会でベストセラーに選ばれた魔導書たちの表紙写真が代々並べられています。
 カウンター前の閲覧広場に席を設けると、参加する魔導書とそのパートナーたちが続々と集まってきました。
「みなさん、お静かに。それでは、今年の読書会を開きたいと思います。みなさん、表紙を開いてください」
 司会の秘書さんが、そう参加者たちに告げました。

    ★    ★    ★

「それでは、これ以降はフリータイムとなりますので、皆様、頑張ってお相手をゲットしてください」
 司会のシャレード・ムーン(しゃれーど・むーん)の声が、シャンバラ宮殿内のレストランで行われている合コン会場に響き渡りました。
「絶対に、玉の輿ゲットよ!」
 グッと、野望に燃える吉井 真理子(よしい・まりこ)です。
「あはははは、美味しいのだあ」
 かと思えば、ビュリ・ピュリティア(びゅり・ぴゅりてぃあ)のように、ただ御飯を食べに来ているような者もいます。
「リーダーとマサラさんが、いい人ゲットしたぐらいですからあ、私たちにもチャンスはありますよお」
「その通り」
「とにかく、ゲットよ!」
 ゴチメイ隊であぶれている、チャイ・セイロン(ちゃい・せいろん)ペコ・フラワリー(ぺこ・ふらわりー)リン・ダージ(りん・だーじ)も気合いを入れていました。
 はたして、ここから結婚に到るようなカップルが、また誕生するのでしょうか。

    ★    ★    ★

「はっはははあ、ぶっちぎりだぜ!」
 シャンバラ大荒野横断デコトラレースも、終盤にさしかかっていました。トップを走るのは、王 大鋸(わん・だーじゅ)シー・イー(しー・いー)のペアです。
 それを追いかけるようにして、神戸紗千の痛飛空艇が追います。
「絶対優勝して、賞金は孤児院へ回すんだぜ。気合い入れんぞ、シー・イー」
「うむ」
 さすがに、優勝にかける意気込みが違います。そのまま、王大鋸のデコトラは、ゴールへとむかって疾走していきました。