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リアクション
エピローグ
斯波大尉という大きな犠牲を払いながらも、三隻の飛空艦と御座船は、遥か下ではあるが、ナラカの地表が見える所まで辿り着いた。
「あと、100キロという所か……そろそろ」
1号艦内。
長曽禰少佐が呟くや否や、ナラカの地上から何かが飛来した。
◇ ◇ ◇
御座船スキーズブラズニル内。
「鳥? いや、なんだあの長い首は!」
それはあまりにも長い首長竜の首だった。
100キロも伸びた首の先端、頭部は御座船に次々と飛びこむ。
狙われたのは、
「板前さん、大丈夫ッスか!!」
首長竜の頭部はダイヤモンドの騎士に噛みついたのだ。
大帝の驚きに騎士は首を振る。
『仔細ございません。
この程度の噛みつきなど……』
首長竜の口から鮮血がほとばしった!
噛みついた瞬間、歯が砕け散っていたのだ。
騎士は落ち着いた様子で無力化した首長竜の頭部を刎ね、首をナラカへ捨てた。
「これが帝国の盾の実力か」
「帝国、最硬……」
あまりの硬さに部下である龍騎士たちですら目をむく。
それらの囁きは、ダイヤモンドの騎士の耳には届いていなかった。
ただ、密かに憂いる。
(恐竜が襲ってきたということは、過去の恐怖を払いきれないのだろうな。
だが、それでも僕は……)
再び飛空艦内。
ナラカを目前にして、長曽禰少佐のところに直接、都築少佐が赴いている。
本来ならば、ここに斯波大尉の姿もあるはずだったが。
「“メイルシュトローム・オブ・カオス”という武器を知っているか?」
長曽禰少佐の言葉に、都築少佐は頷いた。
「董卓が使った、人間の思考を実体化する武器だろ?」
かつて鏖殺寺院が董卓に渡した超マジックアイテムである。
思考を実体化するという能力の代償は大きく、使用された地域一帯は不毛の土地になったと聞く。
「これから降りる地域は全体が“それ”だ」
「それならそれで楽じゃないか? 何でも自分たちの優位に進められる」
「自分の望んだことだけが実現するのならな。
それに、そうした環境で進化した生物もいる」
「まさに混沌、てわけか。考えたくねえな」
「そのための予測装置だが、どの程度使えるのかね」
「そうだな。……っておい!」
都築少佐はレーダーの表示に驚いて艦の外を見た。
外に全長100キロの“何か”がそびえていた。
先程まではまったく存在しなかったはずの何か。
そしてその物体は、静かに律動を開始した。
【奈落の底の底 後編へ続く】
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担当マスターより
▼担当マスター
九道雷
▼マスターコメント
お待たせいたしました。前編のリアクションをお届けします。
長曽禰少佐と共に、華々しく初登場したはずの斯波大尉が、あれやこれやの判定の結果、いきなり死ぬ展開になってしまいました。
犠牲が出る程度の苦戦だったとご理解いただければと。
どうせ死ぬなら、もっと強大な敵を相手に華々しい最期を遂げさせてあげたかったのですが、個人的な好みで、地味な戦いの中で地味に死ぬのが一番かっこいい、とか思っちゃうんですよねえ。(そんなの、この派手派手なゲーム向きではありませんよね……)(いや勿論、派手派手なのも大好きなんですが)
長曽禰少佐や都築少佐は、彼女がまとも(?)な死に方をしたことに驚いたようですが……。
3号艦は、責任者不在となってしまいましたので、次回、PCさんの中から希望者を募って就いて貰うのはどうかな……? と考えております。
それでは、次回はいよいよナラカです。
皆さん、次回も頑張ってくださいませ。