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【創世の絆】超巨大イレイザーを討伐せよ!

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【創世の絆】超巨大イレイザーを討伐せよ!

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決着

 核のコントロールが不能であるとわかった今、もはやこのイレイザーの完全な機能停止をするためには、核の破壊しか選択肢がなくなった。

「こないだせっかく頭を破壊したのに……結局取り逃がしちゃうことに……。
 でも、今度こそ仕留めるよ!」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が安置された巨大な水晶を見て言った。
「僕は入り口で、ジャマが来ないようにするよ」
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が蒼炎槍を構えて、ヘビたちのいる部屋を睥睨する。もし邪魔しに来た場合はヘビを不必要に傷つけないよう、槍からの炎でけん制するつもりだった。ギフトの力があれば心強い。あくまでも保護を最優先として動くべきだと、コハクは考えていたのだ。一見小柄な元気少女と温厚そうな少年に見えるが、2人は今までにも数々の強敵と戦い続けてきた。今度こそ、確実にこの核を破壊して絶対に巨大イレイザーを止めてやる。その強い意志が全身に漲っていた。涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)も美和に頷きかける。 
「……こいつの首を落としたがそれでも死んでないとはタフというか化け物というか。
 しかし、私たちが取り逃がしたせいで中継基地が大変なことになったのもまた事実。
 今度こそこの化け物の息の根を止めてみせる!」
ヴァルキリーの集落 アリアクルスイド(う゛ぁるきりーのしゅうらく・ありあくるすいど)がその場の全員に向かって呼びかけた。
「こないだはボクらがイレイザーを倒しきれなかった。けど、みんな今度こそは倒すって思っているでしょう?
 あの水晶、すごく堅固そうだし、全員で一斉に攻撃したら良いと思うんだ。
 そのほうがもしあれに何かの防衛機能があったとしても、分散されると思うんだよね」
「そうだな。俺もイレイザーとの最後の対決をすべくやってきた。全身全霊をかけてこいつを破壊する所存だ!
 だが全員一致で、というのは良い。協力させてもらおう」 
松平 岩造(まつだいら・がんぞう)がうなるように同意した。岩蔵は蒼炎の龍皇剣の別名を持ち、単独での白兵戦も得意とするが、他者との協力も惜しまない。ここは皆で力を合わせ、協力して攻撃すべきとの判断を彼も下したのだ。
「私も依存はない」
三又の剣を両手に構えたファルコン・ナイト(ふぁるこん・ないと)が短く答えた。桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)は、傍につき従う狼型機晶生命体ヴァナルガンドを大剣の形にし、両手でしっかりと柄を握り、構えながら頷いた。
「そうだな。インテグラルとの決戦前に後顧の憂いは断っとかなきゃな」
煉は氷雪比翼の飛行スキルを使い、背中にある遺跡経由で単身巨大イレイザーに潜入したのだった。歴戦の飛翔術での加速を生かし、グレイシャルハザードによる斬撃と氷結で進むのに邪魔となるヘビ型アヴァターラを蹴散らし、一直線にここまでやってきたのだ。
「最後の対決、決めてやるぜっ!!」
東洋龍のドラゴニュート、ドラニオ・フェイロン(どらにお・ふぇいろん)が、その古代日本の僧侶といった風情とは裏腹な乱暴な口調で言い、水晶を緑の瞳で睨めつける。老爺の姿だが、その眼光と物腰がが剣の使い手であることを示す武者鎧 『鉄の龍神』(むしゃよろい・くろがねのりゅうじん)は、にいっと笑った。
「わしも異存はないぞ」
武者鎧の右手には触れ方を誤っただけで切り裂いてしまうというティアマトの鱗、左手にはパイルバンカー内蔵シールドが構えられている。
「中継基地を取り戻す、と言う意味でも……協力してかかる必要が……ありますね」
紫月 昴(しづき・すばる)が小さな声で言った。白い肌に長い黒髪の、おとなしい少女といった印象だが、長きに渡り剣客として生きてきた意志の強さを、勘の鋭いものならそこに見分けることができるだろう。
「巨大イレイザー……これ以上、残しておくわけにはいかない……確実に、排除しましょう」
昴はそう言って、白い顔を上げた。傍に寄り添う九十九 天地(つくも・あまつち)も頷いた。
「わらわも賛成です。特別な保護がないということはそれだけ堅固であるということ。
 みなの力が必要となりましょうぞ」
「じゃ、全員で行こうか!」
「ちょいまってな。万一のために……」
逸る美羽にドラニオが言って、攻撃勢全員に護国の聖域とエンデュアをかける。
「どれほど効果があるのやらわかりませんが……」
天地が言って、英霊のカリスマを発動させた。
「よし、行くぞ!!!! 今日で終わりにしてやる、イレイザ−!」」
水晶に向かって呼びかけた岩蔵は、鬼龍手とドラゴンアーツ、ヒロイックアサルトを発動して攻撃力を溜めた。レーザーマインゴージュ2本を構え力一杯斬り込んでいく。巨大な水晶に傷を負わせる事だけを考え、則天去私を叩き込む。
「俺の全てをお前にブチ込んでやる!」
ついで岩蔵は咆哮とともに、2本の刀を再び振り上げると、ランスバレストで台座まで突き通さんばかりの凄まじい突きを見舞った。
「これで仕舞いだ!!!」
ファルコンがアシッドミストを水晶の上に降らせ、三又の剣を力一杯斬りつける。すぐに歴戦の必殺技を発動させてトライデントを強いた則天去私を力いっぱい打ち込んだ。
「消えうせやがれ!」
ドラニオは乱暴な動作で統治の王錫と歴戦の魔術を水晶に向けて解き放つ。
「お前さんも年貢の納め時、じゃな」
武者鎧はティアマトの鱗で水晶に切りつけ、至近距離からシールドの打ち出す杭に則天去私を乗せて放つ。その動きは優雅で、日舞でも舞っているかのようだ。
 アリアクルスイドはアーマーの力で最大限その力を引き出されたホエールアヴァターラ・バズーカを水晶に向かって撃つ。
「さあ、これでとどめだ〜!!」
 涼介はアリアクルスイドの背後に立ち、フェニックスとサンダーバードを召還した。
「前回はメルヴィア大尉救出のためにクリスタルを無傷で手に入れる必要があった。
 そのせいでこのイレイザーに致命的なダメージを与えることが出来なったが……。
 今度こそこのイレイザーを永遠の眠りに付かせるとしますか」
涼介が全ての魔力を籠め、凍てつく炎、神の審判を水晶めがけて叩き込み、召還獣がそれを援護する。
 昴は蒼竜刀『氷桜』で、水晶に向かいファイナルレジェンドを叩き付けた。
「砕け散れっ!!!!」
普段の温和でおとなしい少女の姿はそこにはなかった。長い黒髪を乱し、眼光鋭く、猛々しいまでの闘姫がそこにはいた。
 煉が自在で 闘気を青白く輝く無数の剣に変えた。天井まで高く舞い上がった光の剣は、豪雨のように水晶に向かって降り注ぐ。そして降り注ぐ闘気の剣と併せて貪狼の腕輪と倍勇拳を使う。これにより稲妻の素早さと凄まじい膂力とを併せ持たせた、機晶剣ヴァナルガンドで渾身の一撃を水晶めがけて切りつける。
「ギフトの力、最大限に使わせてもらうぞ! この一撃、貫き通してみせるっ!」
美羽が核に向けて、イレイザーキャノンからとどめの一撃を放つ。
「いい加減壊れなさーーーーい!!!」

 全員の渾身の攻撃が炸裂した。凄まじい魔力と闘気で部屋の中が歪んで見える。巨大な水晶は白熱する光を放ち、激しく脈動した。その輪郭が大きく膨らんだように見えた瞬間、鈍い音を立ててそれは破裂した。爆発するような砕け方ではなく、ガシャリと割れたような感じだった。膂力あるいは魔力の全てを注ぎ込んだ者たちは、その場によろよろと座り込む。
 台座や壁に走っていた青白い光は全て消え、イレイザー内部の光源の不確かな明かりも消えた。外部では触手が全ての動きを止め、再生機能も停止した。闇の中でぐったりと座り込む契約者たちの耳に、聞きなれない声が聞こえてきた。
『あー、せいせいしたぜ。ったく、オレを勝手にテンパらせやがって。かったりいったらねえぜ。
 その石っころを壊してくれてありがとよ』
かすかに闇の中でほの白く光っている姿、それはヘビ型ギフトだった。コハクがギフトに向かって呼びかける。
「正気に戻ったんだね? それなら、今後は自分たちに力を貸してくれないか?」
ギフトは頭をぐいっともたげた。
『日を改めてオレに挑戦して来いや。オレが認めたやつになら、力を貸してやらないでもないからよ』
そして破壊された核のほうにあごをしゃくって言葉を続ける。
『このクソッタレのせいで俺も今万全の調子とはいえねえしな。
 ……ってわけでオレはしばらくどっかで休むぜ。 んじゃな』
ヘビ型ギフトはそれだけ言うと、残っていたアヴァターラたちを従えてどこへともなく姿を消した。

 かくして巨大イレイザーの機能は完全に停止した。中継基地は守られたのだ。