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【空京万博】取り戻せ! アムリアナの花嫁衣装!

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 第1章 カラミティサンダースとアイシャ女王

■□■1■□■ 災難を呼ぶ女・雅羅

シャンバラ女王のアイシャ・シュヴァーラ(あいしゃ・しゅう゛ぁーら)と、
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)
そして学生たちは、アトラスの傷跡の遺跡に入って行った。

「きっとこっちに違いないわ!」
雅羅が、根拠のない自信の元に、突き進んでいく。
(大丈夫でしょうか……)
一方、アイシャは、雅羅の災難体質を気にしていた。

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
白星 切札(しらほし・きりふだ)が、いきなり落とし穴に落ちていった。
「え、どうしたの?」
雅羅が罠のスイッチを踏んだせいだが、本人は気づいていない。

「うう……服がボロボロになってしまいました……。
着替えを……探さないと……」
頭から出血し、眼鏡は割れて、コンタクトもなくなり、
白いコートは黒々となってボロボロになった切札が、
復活して現れる。

「きゃあああああ、お化け!?」
雅羅が、切札を遺跡の幽霊と勘違いしてパニックになる。
雅羅は、心霊現象が大の苦手なのである。

「ちょ、待ってくださ……」
「いやあああああああああああああ!?」
切札の言葉は聞かずに、
雅羅が、バントラインスペシャルを発砲しながら、
遺跡の奥へと走って逃げていった。
「ぐはっ!?」
撃たれた切札が、地面に倒れる。

そして、地響きのような音が響いて、トラップが次々と発動する。
雅羅がどんどんスイッチを踏んでいったのだ。
「きゃああああ!?」
「アイシャ様あぶなーい!」
西シャンバラ・ロイヤルガードの葛葉 翔(くずのは・しょう)が飛び出して、
アイシャの代わりに落とし穴に落ちる。
「きゃー、天井が落ちてきました!」
「うおおおお俺が支えている間に逃げてくれ!」
「きゃー、大岩が転がってきました!」
「アイシャ様! 避けて! ぐぶっ! ごわああああああああああ!?」
翔が、アイシャを突き飛ばして、自分が大岩に巻き込まれていっしょに転がって行った。
「だ、大丈夫ですか?」
「ま、まだまだ……」
ボロボロになりつつも、緑竜殺しを杖代わりにして翔が立ち上がる。
「翔さん、ありがとうございます!
あなたのような方こそ、ロイヤルガードの鑑です!」
「お、おう……当然のことをしたまでだぜ!」
アイシャに感謝され、絶賛されつつ、翔がかっこつけて笑う。
しかし、すでに立っているのがやっとであった。

「このままでは、全滅してしまいます!
そこで、僕が名案を思い付きました!」
湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)が、眼鏡の奥の瞳を怪しく光らせる。
「雅羅さんが災難体質なら、雅羅さんとそれ以外の人で行動すれば
災難はすべて雅羅さんに降りかかって安全に進めるんですよ!」
「ええっ、でもそれじゃ、雅羅さんは!?」
心配するアイシャに、凶司がさらに言う。

「大丈夫です。よく今までの事を考えてください。
雅羅さんは災難には襲われますが
『絶対に自分は災難で致命傷を負わない』んですよ!
つまり、僕らが雅羅さんの傍にいた方が被害は広まってしまうんです!」
「た、確かにそうかもしれませんが……」
ズタボロになった翔を見て、アイシャが首をかしげる。
「……けして雅羅さんが邪魔とかハブりたいとかってわけじゃないですよ!?
ほら、雅羅さんが災難を引きつけてくれるから僕らが安全に進める!
そそそ、そう考えれば……」
「何よそれ。自分さえよければいいっていうの!?」
雅羅ににじり寄られて、凶司が叫ぶ。
「近づかないでください! 災難女!」
「な!?」
「というわけで、ここから動かないでくださいね!
僕たちは先に進みますから!」
凶司は、どんどん先へと行ってしまった。
「よ……よし。じゃあ雅羅さん、先行って様子見てくるよーっ!」
「危険は私たちで探していくから、安心して着て頂戴。
私は別にこの方法を信じてるわけじゃないけどね」
エクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)も、そう言って先に進むが。
「キョウジ、でも、なんだか、雅羅さんがかわいそうじゃないかなぁ……」
「バカ、災難に巻き込まれてもいいのかよ!?」
「そ、それはそうだけど……」
凶司に言われて、エクスがうつむく。
「凶司理論はともかく……アイシャ様はもちろん、
万博の顔の雅羅ちゃんが怪我しちゃうのはまずいわよねぇ。
ここは、あたしたちでがんばりましょぉー」
長姉のセラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)に言われ、エクスもうなずいた。

しかし、その直後。

「は、話が違うじゃないかキョウジーッ!?」
「な、なんですって……!?」
「ば、ばかな僕の理論は完ぺきのはず……ぎゃああああああー」
エクスとディミーアと凶司が、鏖殺寺院の罠にかかり、
網にかかって動けなくなった。

「わはははははは!
鏖殺博覧会の見世物にしてくれるわ!」

「俺が居るうちはこの二人に指一本触れさせねぇぜ!」
翔が、かっこよく言いつつ、アイシャと雅羅の前に立つが、
身体はすでにボロボロのため立ちふさがるだけにする。
「というわけで、あとよろしく」
「よろしくって言われてもー!」
「この状況見て言いなさいよ!」
「僕たち動けないんですけどー!?」
エクスとディミーアと凶司が、翔にツッコミを入れる。

「ここはあたしの出番よねぇ……」
セラフが、銃を構えるが。
「わははは!
ちょうどいい!
ヴァルキリーの三姉妹とは見世物にぴったりだ!
さあ、この衣装を着るのだ!」
「きゃああああ!?」
あっというまに、セラフも叩き伏せられてしまった。
「やだ、やめてよぉ……こんなのやだよぉ……」
エクスが泣き、
「こんな屈辱……!」
ディミーアが怒りに震え、
「ちょ、ちょっとやめなさい……よぉ……!」
セラフも抵抗するが、むなしく、
全員、最低限の布しかない衣装に着替えさせられるのだった。
「って、なんで僕まで!?」
さらに、凶司も、誰得なのかわからないが、同じ衣装に着替えさせられてしまう。
「……これもロイヤルガードの仕事だからな」
翔が、アイシャの目を覆って、目の前の光景が見えないようにする。
「キョウジのバカーッ!」
「後で覚えてなさいよ……」
「たしかに、こうなったのは凶司ちゃんの責任よねぇー」
「ええっ!? 僕も同じ目にあってるじゃないか!?」
エクスとディミーアとセラフに睨みつけられ、凶司が慌てる。

「エッチな衣装のヴァルキリーと地球人を手に入れたぞー!」
こうして、鏖殺寺院メンバーは、着替えさせた4人を連れ去って行ってしまった。

「アイシャ女王!
鏖殺博覧会の目玉はおまえだー!」
「待て!」
東シャンバラ・ロイヤルガードの緋桜 ケイ(ひおう・けい)が飛び出し、アイシャの身代わりになる。
「ケイさん!?」
「安心してくれ! これもロイヤルガードの務めだ!
すぐ脱出してくるぜ!」
「なんでもいいが美少女ゲットだ!」
ケイも、鏖殺寺院メンバーに連れ去られてしまった。