波羅蜜多実業高等学校

リアクション

■□■２■□■　イングリットとなななとコンパニオン衣装

（とりあえず、パビリオン的にはイングリットさんの方かな？
と思って着いてきたのですが）
東雲　いちる（しののめ・いちる）は、イルミンスール生なので、
“シャンバラの伝統”パビリオンのイングリットに協力しようと思ったのだった。
「なななさんの言う電波というのはわからないのですが。
電波は大事ですよね。携帯電話も電波がないと駄目ですし。
うん、だからきっと大丈夫です、よね？」
「ビビビッ、電波は大事だよ！
遮断してしまうと大変なことに！」
いちるの天然発言に、なななが電波発言で返す。
「なななの言う電波はいちるが思ってるものと違うと思うわ……。
そんなところも可愛いのだけど♪」
エヴェレット　『多世界解釈』（えう゛ぇれっと・たせかいかいしゃく）は、
いたずらっぽく笑うと、コンパニオンの衣装を手にして言った。
「ふふふ、それよりいちる、コンパニオンガールの衣装を着てみない？
どれも似会うと思うわ♪
ちゃんとデジカメも用意してるのよ♪」
「ええっ、私がですか！？
は、恥ずかしいです……」
赤くなるいちるだが。

「わーん、恥ずかしいですーっ」
そこへ、白石　忍（しろいし・しのぶ）の泣き声が聞こえてきた。
忍は、パートナーに無理やり、未来コンパニオンの衣装を着せられたのだった。
「ううっ、みんなこの格好だって言ってたのに……。
旅費がないからって来てくれないし……。
その分、コンパニオン姿のパネルを頼んだって……」
パートナーへの愚痴をつぶやく忍を見て、
エヴェレットが言う。
「ほら、かわいいじゃない？
いちるも着たほうがいいと思うわ」
「却下ですっ」
いちるはエヴェレットに突っ込むのだった。

★☆★

「こんな古い遺跡内でも電波を受信できるなんて、
なななさんは本当に素晴らしいですね。
イングリットさんのバリツも頼もしいです。是非妙技を拝見したいものです」
蓬生　結（よもぎ・ゆい）は、本気でなななやイングリットを尊敬していた。
（花嫁衣裳は女性にとって大切なもの。
それを巡っての争いなどあってはなりませんわ）
イハ・サジャラニルヴァータ（いは・さじゃらにるう゛ぁーた）は、
いざというときには、獣をけしかけることができるよう、準備していた。

「リスペクト電波を感じるよ！」
「普通に視線を送ってくださってるのでは……」
結に尊敬のまなざしで見られて、そう言うなななに、イングリットが苦笑する。

「うわぁ〜、この遺跡結構深そうだよ。
銃型ＨＣや光精の指輪を持ってきてるから帰り道や光源は問題ないけど、
なななさんの案内を地図にするとこんな感じだもん」
ヴァルキリーの集落　アリアクルスイド（う゛ぁるきりーのしゅうらく・ありあくるすいど）が、
パートナーの涼介・フォレスト（りょうすけ・ふぉれすと）に地図を見せる。
アリアクルスイドは、コタローと同じく、情報をシェアして、
効率的に探索を進めているのだった。
「なるほど、まあ、ずいぶんと遠回りをしているようにも見えるけど、
それにしてもかなり広い遺跡だね」
涼介が冷静につぶやく。

すると。

「鏖殺博覧会に展示してくれるわー！」
鏖殺寺院が襲撃してきた。

「わたくしが相手ですわ！」
バリツ使いのイングリットは、積極的に前に出る。
「なななも宇宙刑事だから戦うよ！」
なななも、かまわず前に出る。
「よし、フォローは任せてくれ」
涼介が、魔法で後方支援を行う。
先輩として、新入生を守るためにサポートに回るのが、今回の涼介の目的だった。
イルミンでも屈指の良識人の一人なだけはある。

なりゆきでついてきた
大洞　剛太郎（おおほら・ごうたろう）だが、
パワードスーツの性能を生かして、なななを守ろうとする。
「そのスーツ、かっこいいね！
なななも、３倍の電波を受信してがんばるよ！」
（電波を受信したらどうなるのでありますか？）
そう思う剛太郎だが、
聞くとどうなるのか怖いので聞けない。

（大丈夫でしょうか、剛太郎様……）
コーディリア・ブラウン（こーでぃりあ・ぶらうん）は、
護衛のため、なななにべったりの剛太郎がデレデレしていないか心配していたのだが、
実際にはなななにペースを崩されて挙動不審になっている、
剛太郎のことを心配していた。

「逃げる奴は鏖殺だ！　逃げない奴はよく訓練された鏖殺だ！」
セレンフィリティ・シャーレット（せれんふぃりてぃ・しゃーれっと）が、
マシンピストルを乱射しながら叫ぶ。
「ホント、遺跡は地獄だぜ！！　ついでになななはマジ電波だぜー！！」
なななを護衛してきたストレスと、戦闘でハイになったためであったが。
「うわあ……」
アリアクルスイドが、ドン引きして見つめる。
「世の中にはいろんな人がいるんだ」
涼介が、冷静に言うと。
「って、かわいそうな人みたいな扱いにするんじゃねー！
ホント、なななはデムパだぜー！！」
セレンフィリティが、ヤケになって叫ぶ。
（セレンだってなななのこと言えた義理じゃないわよ）
セレアナ・ミアキス（せれあな・みあきす）は、
普段からメタリックブルーのトライアングルビキニの上に、
ロングコート姿のパートナーに、心の中でツッコミを入れるが、
セレアナ本人も、ビキニではないが、同様のコートの下はメタリックレオタード姿なのであった。

「ここは、私たちに任せて、先に行ってください！」
「私たちが、ここは食い止めますわ！」
結とイハが、なななやイングリットたちを促す。

「まったく、花嫁衣裳がどれだけ大切なものか、わかっていらっしゃらないのかしら」
「……ふと思ったのですが、
あの、イハさん、花嫁衣装なんて着たこと、ないですよね？」
「私の花嫁衣装、ですか？
……さあ、どうでしたかしら。忘れてしまいましたわ」
イハに微笑まれ、結は慌てて首を振る。
「い、いえっ、なんでもありません」