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第24試合

 
 
『さあ、第24試合となりました。
 イーブンサイド、悠久ノ カナタ(とわの・かなた)パイロット、緋桜 ケイ(ひおう・けい)サブパイロットによるエンライトメント
 対するオッドサイド、雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)パイロット、ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)サブパイロットによるメカ雪国ベア
 これは、因縁の対決でしょうか』
 エンライトメントあらためグレートとわのカナタちゃんは、琴音ロボをベースとしている。その外観はミニ袴の巫女さんに近く、主武装は薙刀である。
 メカ雪国ベアは離偉漸屠をベースとしており、デザインの元となっているのは雪国ベアだ。全体的にかなりの改良が施されており、重装甲のパワー型となっている。特に特徴的なのは巨大なマフラーアームで、格闘性能はかなりの物を有している。
 ステージは、薔薇の学舎のデュエルスタジアムであった。
「これはガチの戦いであるな」
「こいつはガチだぜ」
 コックピットの中で、悠久ノカナタと雪国ベアがつぶやいた。イコン戦では因縁もちの二人である。
「カナタ、ちょっとは落ち着け」
「ベア、どうどうどう」
 緋桜ケイとソア・ウェンボリスたちがなだめるが、そんなこっちゃ聞いていない二人であった。
 スタジアムの端の地面が左右に分かれて、下からエレベーターがせり上がってきた。
『ででってーででってー♪ でっでけでけてーじゃーんじゃーんじゃーん!!』
 なんだかちょっと調子の外れたテーマソングがアカペラで流れてきた。
「メカ雪国ベア、参上だぜ!」
 メカ雪国ベアの姿がゆっくりと現れる。組んでいたマフラーアームを解き、その下から本来の腕を組んだイコンのフェイスが現れた。
『可愛らしい白熊の姿を再現しつつも、メカとしての頑強な力強さを感じさせる完璧なフォルム。瞳は美しく、青く輝く。耳はセンサー、尻尾は補助ブースターなど、細かな部分も飾りではなくしっかりと機能を持つ。そして、見る者を圧倒する巨大なマフラーアーム。そこから繰り出される必殺の拳が敵を討つ!』
 長々と雪国ベアがメカ雪国ベアの自慢を述べていったが、はたして何人がちゃんと聞いていただろうか。もちろん、対戦相手もそんなことは聞いちゃいなかった。
 スタジアムの反対側には、なぜか鳥居が現れていた。それをくぐって、千早を被ったエンライトメントが小走りに現れた。
『刮目せよ! これぞイコンオブイコン!』
 そう言うと、エンライトメントが千早を脱ぎ捨てた。巫女然としたイコンがその全容を現す。
『グレートとわのカナタちゃんよ!』
 そう言って、エンライトメントがヒュンと薙刀を振って風を切った。
「違う、グレートとわのカナタちゃんだ!!」
 そう言って、エンライトメント――ではなく、グレートとわのカナタちゃんがヒュンと薙刀を振って風を切った。
この征野、妾が制する! 今宵こそ決着をつけようぞ!」
「今は昼間だがな。またぶっ飛ばすぜ!」
 ポーズをつけて挑戦状を叩きつけるグレートとわのカナタちゃんを、メカ雪国ベアが鼻で笑ったように見えた。
「ふっ」
 微かに笑った悠久ノカナタが、グレートとわのカナタちゃんの袖に隠したマジックカノンを問答無用でぶっ放した。マフラーアームでガードしつつ、メカ雪国ベアも頭部に内蔵したマジックカノンで応戦する。
 ひらりと、グレートとわのカナタちゃんがジャンプして攻撃を避けた。
「長引かせては不利か。これだけは使いたくはなかったが、仕方あるまい……。ケイ、その赤いボタンを押せ!」
 空中からメカ雪国ベアにむかいながら悠久ノカナタが言った。ばっちこいっと、メカ雪国ベアがマフラーアームを広げて待ち構えている。
「これか?」
 言われるままに、緋桜ケイが赤いボタンを押した。
「さあ、こいや。シャイニングベアクロー!
 マフラーアームが目映く輝き始めた。
 そこへ、グレートとわのカナタちゃんの袖からにゅるりと飛び出したちくわサーベルが飛んでいった。
「あんじゃ、こりゃあぁ!!」
 思わず受けとめてしまったメカ雪国ベアが、マフラーアームでちくわサーベルを左右に引き千切る。
この力、受けてみせるか!」
 メカ雪国ベアの体勢が開いたその瞬間、グレートとわのカナタちゃんの薙刀が脳天から振り下ろされた。銀色の髪を靡かせて着地したグレートとわのカナタちゃんの前で、メカ雪国ベアが真っ二つになる。
えっとー……な、なんかえらいことになってますう!?
「はははは、今日はこのくらいに……」
 唖然とするソア・ウェンボリスたちを乗せたまま、メカ雪国ベアが爆散した。
 
    ★    ★    ★
 
『勝者、エンライトメント――グレートとわのカナタちゃんです!』