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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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19)

「せっかく瀬蓮ちゃんがヴァイシャリーに帰ってきたんだから、
久しぶりにヴァイシャリーをゆっくり見て回りたいな」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)の提案により、
親友である高原 瀬蓮(たかはら・せれん)とともに、
ゆっくりとヴァイシャリーを観光することになった。

「ヴァイシャリー観光といえば、やっぱりゴンドラだよね」
「うん、やっぱり、ヴァイシャリー湖を見るのはここが一番綺麗だよね」
美羽の言葉に、瀬蓮が笑顔でうなずく。

ゴンドラの上で、美羽は、大きなお弁当箱を取り出した。
「じゃじゃーん!
今日は、瀬蓮ちゃんと一緒に食べるために、
腕によりをかけて作ってきたんだ!」
「わあ、美羽ちゃん、すごーい!」
美羽の豪華なお弁当に、瀬蓮が瞳を輝かせる。
「クリスマスの時は、瀬蓮、あんまり、美羽ちゃんのお手伝いできなかったみたいだから……。
今回もお手伝いできたらよかったんだけど」
「そんなこと気にしなくていいよ!
瀬蓮ちゃんには、今度、ゆっくりお料理を教えてあげるから。ね?」
「うん! ありがとう、美羽ちゃん!」

美羽の作ってきたお弁当は、
定番のハンバーグやエビフライ、から揚げ、ポテトサラダなど。
それに、一口サイズのサンドイッチにおにぎりと、
バラエティ豊かなものが、いろいろ食べられるように工夫されていた。
「すごーい。これ、全部、美羽ちゃんが作ったの?」
「うん。練習すれば、瀬蓮ちゃんも美味しく作れるようになるよ。
今度、作り方を教えてあげるね」
「うん、楽しみにしてるね! 今度は、玉子が爆発しないといいなあ」
「あはは……」
そんなふうに、お弁当とおしゃべりを楽しみつつ、
2人は、ヴァイシャリーの水路から見える街並みや、
雄大なサルヴィン川の景色を眺めたりして、
ゴンドラの旅を楽しんでいた。

「こうやって、また瀬蓮ちゃんと一緒にいられるようになって……本当に嬉しいな」
「うん、瀬蓮も、こうして、美羽ちゃんと、
ゆっくり過ごせるようになって……とってもうれしいよ」
瀬蓮は、美羽ににっこりと微笑んだ。
「今日は、ほんとに、ありがとうね。美羽ちゃん」
「ふふ、こちらこそ。
……あ、そうだ!」
美羽は、ふと思いついたように、デジカメを取り出した。

「船頭さん、今日の記念に、写真を撮ってもらってもいいですか?」
「ああ、もちろんいいとも」
船頭さんは、仲良く肩を寄せ合う美羽と瀬蓮の
ヴァイシャリーの街をバックにした写真を撮影した。
「どうもありがとう!」
美羽は、瀬蓮にウインクした。
「後で、写真も百合園の寮に送るね!」
「うん、ありがとう!」
瀬蓮も、笑顔でうなずいた。

こうして、夕日のヴァイシャリー湖をバックに、
2人はお互いの顔を見つめ、微笑んだ。
「本当に、こんな毎日が、ずっと続くといいね」
「うん、もちろん。私は実現させてみせるよ」
瀬蓮の言葉に、美羽は力強くうなずいたのだった。