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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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37)

九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)は、
空京の町に、長曽禰 広明(ながそね・ひろあき)と出かけていた。
(こんなふうに、長曽禰さんとお出かけできるなんて)
予想外の出来事に、ローズは、幸せをかみしめた。

「本当によかったのか?
オレみたいな男とでかけるより、
同世代の奴と出かけた方がよかったんじゃ……」
「そんなことないです!」
長曽禰の言葉に、ローズはすぐさま首を振った。
「私、長曽禰さんのことを、
もっといろいろと知りたいんです。
それに、普段、任務でお忙しい長曽禰さんに、
リラックスした時間を過ごしてほしくて……。
だから、一緒に過ごしていただいて、とてもうれしいんです」
ローズの笑顔に、
長曽禰も、笑みを浮かべた。
「そうか。なら、いいんだ。
九条には医療チームとして世話になることが多いからな。
おまえも、休日はリラックスして休めよ」
「ありがとうございます!」
ローズは、深くうなずいた。

2人は、こうして、
空京の町をゆっくりと歩く。
「オレにも娘がいたら、こんな感じかもな」
長曽禰が、ローズの横顔を見て、そうつぶやいた。
(できれば、もう少し、大人にみられたいな。
……長曽禰さんと並んで歩けるようになりたいな)
その言葉は、口には出さずに。
ローズは、ただ、長曽禰とこうして一緒にいられる幸せをかみしめていた。

そして、別れ際に。
「今日はありがとうございました。
日頃の感謝の気持ちを込めて作りました。
どうぞ受け取ってください」
「おお、ありがとう」
ラベンダーの香を焚き染めた便箋に、
手作りのビターチョコレート。
コーヒーが好きな長曽禰に配慮したものだ。
「じゃあ、またな。
寒いから、身体には気をつけるんだぞ」
「はい!」
ローズは元気よく返事をして、
笑顔で長曽禰を見送ったのだった。